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機動戦士ガンダムRSD 第28話 明けない夜

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ボナパルト、聞こえるか?
これより貴艦に合流する」
 ガーティー・ルーのブリッジからネオ大佐がボナパルトに着艦した。
「了解。
ようこそ。
アプローチ、どうぞ」
 ガーティー・ルーとミネルバがそばに着陸するとネオ大佐は、艦長と新型モビルスーツ受領と挨拶のためステラ少尉とスティング少尉を連れて行った。
「またえらく辺鄙なところにつれてきたな。
大体今度配備されるモビルスーツって何なんだ?
俺も配備されるのか?」
 スティング少尉の興味は、新型モビルスーツに向いていた。
「いいんだ。
君たちは、知らないことが多すぎる」
 そのままネオ大佐は、奥に行ってしまった。
スティング少尉とステラ少尉は、なんとなく彼についていった。
「いまさらそれも知らなくていいことさ」
 彼らの隣にはデストロイガンダムがいたが暗くてよくわからなかった。
ネオ大佐は、ジブリール大統領とのやり取りを回想していた。
「まあ、なんにでも見込み違いというものがあるよ。
つまりあの艦隊は、君たちの手にあまるという結論を出したんだ」
 ジブリール大統領が音声通信でネオ大佐に通信を入れていた。
ネオ大佐は、仮面を取り軍服を脱ぎ始めた。
「では、どうしたものかと考えた。
幸いデストロイは、完成してね。
そしてレクイエムの建造計画も始まった。
これをコロニー軍に知らされるとまずいんだ」
 ネオ大佐は、裸になるとシャワーを浴びた。
「そこで君たちは、完成したデストロイでベルリンで陽動破壊作戦を行ってほしい。
その間にモスクワでは、レクイエムを完成させる。君たちがあの艦隊を全滅させていればこんな作戦をやらなくてよかったんだけど仕方ない。
僕らは、早くあの宇宙にある宇宙人の住処をひとつ残らず葬り去らなければならないんだ。
いいか、今回は敵の殲滅ではない。
戦果なんてどうでもいい。
ただ敵の目を集めていればいい。
今度こそそれならできるだろう?
ネオ」
 ネオ大佐は、自分が左遷させた気がして屈辱的だった。

                                     ※

 アークエンジェルは、海中から浮上した。
ここは、大西洋であり吹雪が吹き荒れていた。
「浮上完了。
推力移行します」
 ノイマン少尉がアークエンジェルの状態を艦長に報告した。
「周辺に異常なし。
目標点まで約90です」
 ダリダ曹長が索敵状況を艦長に報告した。
「でも寒そう」
 ミリアリア少尉が外の状況を見て思わずぶるっと震えた。
「実際寒いぞ。
フィヨルドのドッグは」
 ノイマン少尉が悪戯っぽく言った。
「じゃあ温泉に入りたいな」
 ミリアリア少尉が思わず本音を言った。
「いいわよ。
体調管理は、しっかりしないとね」
 ラミアス艦長が温泉に入ることを許可した。
 キラ准将は、オーブ兵士たちにアークエンジェルのこれまでのいきさつを話した。
「それでは、スカンジナビア王国に身を潜めていたのですか?」
 オーブ兵士たちは、アークエンジェルがどのようにして世界状況をつかんでいたか確認した。
「はい。
国王とごくごく一部の人間しか知らない情報でした。
でも本当にありがたいと思っています」
 キラ准将は、スカンジナビア王国には感謝してもしきれない恩ができたと感じていた。
「コロニー軍の攻撃を受けたときも真っ先に救援の手を差し伸べてきたのもあの国でしたな」
 キラ准将の説明を受けてオーブ兵士たちは、いっそうスカンジナビア国王への感謝の気持ちが深くなった。
「まだ僕たちは、そういう味方がこの世界にはいるということを実感できます。
この恩を返すためにも僕たちは、生きて勝利しなければなりません」
 キラ准将は、皆を鼓舞した。
「はい」
 オーブ兵士たちは、キラ准将に敬礼した。
キラ准将も敬礼した。
 キラ准将は、オーブ兵士たちと別れると窓から外をぼおっと眺めていた。
「お邪魔していいかしら?」
 ラミアス艦長だった。
「すみません。
こんなところでサボってて」
 キラ准将は、ラミアス艦長に謝った。
「いいわよ。
あなた一人で本当にがんばっているもの、また」
 ラミアス艦長は、気にしてなかった。
「大丈夫?」
 ラミアス艦長は、キラ准将を見るとそういった。
キラ准将の表情は、暗くなった。
「何で自分は、守ろうとするものをひとつもサオトメの手から守れないんだろうと思って」
 ラミアス艦長は、視線をキラ准将から外に移した。
「何でまた守ろうと決心したものがサオトメの鎌の餌食になるんだろうと思って」
 ラミアス艦長は、重い息を吐いた。
「本当にサオトメの言うとおり僕には、人を守る力なんてないんじゃないかって。
僕では、あの人を超えることはできなんじゃないかって」
 キラ准将は、ラミアス艦長の前ではただ一人の人間として話せていた。
「キラ君」
 キラ准将は、うつむいた。
「でも大切な誰かを守ろうとすることは、とてもいいことよ。
世界のことは、確かにわからないけど。
でもね大切な人がいるから世界を愛せるんじゃないかって私は、思うの」
 ラミアス艦長は、自分の考えを言った。
「マリューさん」
 キラ准将は、少し疲れが取れた気がした
「きっと皆そうなのよ。
だからがんばるの。
地球軍、オーブ軍そしてコロニー軍は戦ってるんでしょ?
ただやり方というよりむしろ守りたいものの対象の違いが戦いを生んでるんじゃないかな。
守りたいもののために他人の大切なものを奪う。
だから戦いは、終わらない。
きっと私たちから多くの大切なものを奪ったサオトメだってきっと必死に守りたいものがあるからこそあそこまで強いんだと思う。
だから余計戦わなくすることは、難しいんだと思うけど。
いつか手を取り合える時代がきっと来るわ。
だからそれまでは、あなたはあなたでがんばって」
 ラミアス艦長は、キラ准将を元気づけた。
「はい」
 キラ准将は、少し元気が出た。
「ね」
 そういうとラミアス艦長は、キラ准将の頭に手を乗せた。

                                       ※

 ステラ少尉は、自分の新たな愛機となるデストロイガンダムと対面していた。
ステラ少尉は、専用のノーマルスーツを着ていた。
「君の新しい機体だよ」
 ネオ大佐は、ステラ少尉にデストロイガンダムの説明を受けていた。
「ステラの?
新しい?」
「そうだ。
ステラは、今度はこれで戦うんだ。
でないと怖いものが来て私たちを殺す」
 そこの言葉にステラ少尉の表情が暗くなった。
「殺す。
ステラも?」
 ネオ大佐は、うなずいた。
「ネオも?
シンも?」
 ステラ少尉は、自分の大切なものを言った。
「そうだ」
 ネオ大佐は、肯定した。
「いや、そんなの。
死ぬのは、いや」
 ステラ少尉がネオ大佐の軍服の左袖を両手で力強く握った。
「ならやらないとな」
 ネオ大佐は、ステラ少尉の顔を上げさせた。
「ステラならできるだろ?
怖いものは、皆なくさなくちゃ」
 ネオ大佐は、ステラ少尉にすべきことを言った。
「怖いもの?
なくす」
 ステラ少尉は、兵器としての顔になった。
 艦隊は、ベルリンに向かった。