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黄金の太陽THE LEGEND OF SOL28

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 しかし、デュラハンは既にどこかへ逃亡しており、デュラハンの魔術だとしてもその元を砕くことは叶わない。
――くそ、一体どうすれば?――
「止めるんだロビン、メガエラ! 今仲間内で戦ってどうすると言うのだ!?」
 ここにいる皆が妙な魔術にかかっていたと思われたが、ガルシアはどうやら術中にはまってはいないようだった。
――ガルシアも正気だったのか。けど、ガルシアじゃ何も……――
 ジェラルドは思うものの、ガルシアはもちろん、自分自身でも解決策は見出だせないと考えていた。
 このまま手をこまねいていては、同士討ちで仲間は壊滅してしまう。早急に事態を何とかしなければならない。
「そうだ、イリスを起こせば……!」
 どれほど瀕死の傷を負ったとしても、たちどころに癒す不死鳥の翼を持つイリスならば、皆の異常も消し去れるのではないかとジェラルドは考えた。
「そうと決まれば、善は急げだ!」
 しかし、メガエラの目は今、ロビンに向いているが、メガエラに見つかればただではすまないかも知れない。
 故にジェラルドは、誰の目にも止まらぬようにそろりとイリスの所へ近付いた。幸い、メガエラは背中を向けており、他の者達もこれより始まるであろう戦いに、ある種の興奮を覚えていたため、労せずイリスに近寄ることができた。
 イリスは今もまだ眠ったままである。
「起きてくれ、イリス。お前の力が必要なんだ」
 あまり大声で呼びかけては、皆に、特にもメガエラに聞かれる可能性があったため、ジェラルドは少し抑えた声でイリスに呼びかけた。
 しかし、ジェラルドの声が小さすぎるのか、イリスは全く目を覚ます気配がない。
「頼む、起きてくれ……!」
 ジェラルドはイリスの肩に触れ、揺すり起こそうとした。すると、驚くべき事実に気付いてしまった。
「冷たい? まさか……!?」
 イリスの体は、まるで血の通ってない死体のように冷たかったのだ。
 ジェラルドは、最悪の事態の予感を感じながらイリスの腕を取った。
 手首をしっかりと握りしめて脈拍を探すが、その手首も非常に冷たい。
 手首を握って数秒の後、ジェラルドは希望を見出だすことができた。
「よかった、脈はある……」
 小さくはあるがイリスは呼吸もしていた。かなり冷たくなっているが、イリスはしっかりと生きていた。
 しかしそれならば、何故イリスはこれほどまでに冷たいのか。ジェラルドの中で仮説が不意に浮かんだ。
「まさか、石板の中に閉じ込められていたから石に?」
 ジェラルドが考えた仮説は、イリスは封印からは解放されたものの、体はまだ石化したままでいるのではないか、というものだった。
 石の体になっていれば、触れれば冷たく、体の自由が利くはずもない。
 ジェラルドの考えが正しければ、イリスはまだ、完全復活を遂げていないということになる。
「くそ、一体どうすりゃいいんだ……!?」
 早急にイリスを復活させなければならない事態だというのに、何もできず、ジェラルド焦り始めていた。
 ふと、ジェラルドはある変化に気がついた。それは、脈を探ろうと強く握りしめていたイリスの腕に起きたものだった。
「なんだ、温かくなってきたぞ……?」
 先程までは寒空の下に放置された石のように冷たかったイリスの腕が、血が通って肌の色がよくなり、熱を持ち始めたのである。
 その瞬間、ジェラルドは、はたと気が付いた。
「もしかして、オレの特別な力がイリスを……?」
 ジェラルドには不思議な力が宿っていた。それは、魔術や呪いの類が全く通用しない特異体質である。
 魔術の類である以上、例え大岩をも打ち砕く爆発に巻き込まれたとしても全くの無傷でいられるほどの魔封じの力がジェラルドには備わっていた。
 今こうして、謎の魔術にやられ、戦い合おうとしている仲間達の中で正気を保っていられるのもその力のおかげであった。
「イリスに触り続ければ、石化は解けるかもしれない」
 しかし、腕一本でも強く握らなければ 石化した部分はもとに戻らない。イリスの体のあちこちに触れて石化の呪いを解いていては時間がかかりすぎてしまう。
「どうすれば……?」
 ジェラルドは自らに問いかける。
 どうやら、血の巡りがよくなれば石化は解けるということは、握りしめて熱を持ち始めたイリスの腕を見る限り予想できた。
――待てよ、血の巡り? もしかしたら……!?――
 ジェラルドはもう一度イリスの手首を持って脈をはかる。脈はあるが、その強さはあまりない。つまりは心臓の鼓動が弱いということになる。
 そこでジェラルドは一つ策を思い付いた。
「心臓の働きを活性化させれば、一気に全身が温まるかもしれない!」
 しかし、更なる問題がジェラルドに立ちふさがった。
 心臓のある位置は、必然的に左胸である。いくら非常事態とはいえ、女の、それも女神と言う神聖な存在の胸に触れなければならなかった。
 更に悪いことがあった。衣服の上から触れたとしても呪詛を消し去ることはできない。石化の呪いをまさに受けている素肌に触れなければならなかった。
「ぐうう、これはみんなを助けるため……決して変な目的のためなんかじゃないんだ……」
 ジェラルドは自らに言い聞かせる。そして意を決してイリスの衣の襟を掴んだ。
「ええい、ままよ!」
 ジェラルドは一気にイリスの胸元をはだけさせた。小ぶりなイリスの乳房が露になる。
「うおおっ! なむさーん!」
 ジェラルドはついにイリスの胸に触れた。やはり冷たいが、これまでに感じたことのない柔らかさを手にしていた。
 羞恥心を感じながらイリスの胸を触っていると、ジェラルドの思惑通り石化が解けて熱を帯び始めた。後は心臓の働きが活発化するのを待つだけである。
「おかしい、どうして鼓動が弱いままなんだ?」
 イリスの胸を通じて感じ取れる鼓動は、いつまでも強くならない。心臓が活性化している感じを受け取れない。
「はっ、まさか……!?」
 ジェラルドは不意に思い立った。
 皮下にある血管と違い、肉の奥にある心臓までジェラルドの力を伝えるのには、ただ触れているだけでは足りないのではないか、と思ったのである。
 ただでさえ脂肪の塊である女の胸だ。より強い刺激が必要と考えられた。
「くっそー、もう迷っていられるか!」
 ジェラルドは、半ば自棄になりながら両手で胸に触れた。いや、触れたと言うよりも掴みかかった。
 そして押し潰れて破裂しそうなほどに圧力をかけ、イリスに呼びかけた。
「イリス、頼む! 目を覚ましてくれ! オレのしたことなら後でどんなに責めてもいい、だから……!」
 実際に掴んでいるのは乳房だが、ジェラルドは藁をも掴む思いでイリスに声をかけ続けた。
 その時だった。
――……っ!? 鼓動が!――
 ジェラルドの力がついにイリスの心臓まで到達したのか、弱かった鼓動が次第に強くなっていくのを感じた。
「ん……う……」
 更にイリスから声が洩れた。
「イリス!」
 ジェラルドは胸から手を離し、イリスの両肩を掴み、揺さぶった。
「けほ……こほ……。……はっ! 私は一体……!?」
 ついにイリスに残った石化の呪いは消え去り、目を覚ました。
「イリス! 気が付いたんだな! よかった……」