二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

黄金の太陽THE LEGEND OF SOL28

INDEX|6ページ/10ページ|

次のページ前のページ
 

「いい加減になさい、メガエラ! 人の子の命を蔑ろにするなど、女神としてあってはならないことです!」
 メガエラは平手打ちを食らった頬に手を当て、呆然としていた。
「復讐を果たす事があなたの性だというのは分かっています。ですが、今は私怨に走ってはいけません。デュラハンを討つことは天界の問題、人の子を犠牲にすることは絶対に許されないのですよ!」
 唯一敬意を払うイリスに叱責を受けたことで、メガエラは少しずつ平静さを取り戻していった。
「……ごめん、なさい」
 そばにいたアズールは、どの世界の理にも存在しないものを見たかのように、その目を飛び出そうなほどに見開いた。
「め、メガエラさんが素直に謝ったやと……!? こ、こんなこと、世界はやっぱり終わるんちゃうんか!?」
 どれほど自分に非があったとしても、決して謝罪するような事は、アズールの知るメガエラにはなかった。
 アズールは、メガエラが初めて謝罪する姿を信じられなかった。
「アズール、デュラハンの代わりに死にたいのかしら?」
 失礼極まりない言葉に怒りを見せるものの、メガエラは言葉だけで止めておいた。自らの怒りよりも、イリスへの敬愛の方が勝った結果であった。
「シバ! シバ! くそっ、イリス早く回復を!」
 ガルシアは、何度も名前を呼びながら、昏睡するシバを揺り動かした。
「落ち着け、ガルシア。どうやらオレ達はデュラハンの野郎にハッタリかまされてたようだぜ」
「シン、それはどういう……」
 シンが答える前に、ガルシア自身が気が付いた。
 意識こそないものの、シバはすぐに死ぬような状態ではなかった。
 呼吸は安定しており、脈も普通の速さである。一ヶ月近く何も飲まず食わずだった人間の状態とはとても思えなかった。
「一体何故……」
「魔脈、とは違うが、似たようなものがシバの中に見える。放っておけばヤバいのは変わらないが、そいつのおかげでシバは生きている。つまり、デュラハンはハッタリかましてでも、シバをオレ達に渡したくなかったみたいだな」
 シバは、アネモスの巫女と呼ばれ、デュラハンがイリスの力を得るための媒体とされていた。
 媒体とするアネモスの巫女は、清浄なる身体であり、更に生きている必要があった。そのために、不浄となる血の汚れにまみれる事や、自決し、死なれる事はデュラハンにとっては非常に都合の悪いことだった。
 デュラハンは万一に備え、自らの再生の源たる魔脈の欠片をシバに植え付ける事で、舌を噛み千切るなどの自殺をされても生き返り、十分な栄養がなく、衰弱死もしないようにしていたのだった。
「ひとまず魔脈のようなものは放っておこう。奴の再生力は嫌ってほど分かるだろ? シバが元気を取り戻してから消すってのでも遅くはない」
「……そうだな」
 デュラハンの詳しい意図は、ガルシアらには分かりかねたが、魔脈の効力は身をもって知らしめられている。忌ま忌ましい代物ではあるが、活用しない手はなかった。
「さて、デュラハンがどこに行ったのか分からないが、もうここに用はない。ここから出よう」
 シンは提案した。
「待ってください。エレメンタルスターの回収を忘れていますよ。探さなくては」
 イワンが言う。
「それには及ばぬ。私が押さえておいた」
 ユピターが、エレメンタルスターと思しき珠を手に持っていた。地のエレメンタルを司る黄金色に輝くそれは、まさしくヴィーナススターに違いなかった。
「さすがユピターさんやな。なかなかしっかりしとるやないか」
「いや、私にできたことと言えばこれくらい。後はずっとデュラハンに操られていた。操られ、壊してしまわなくて何よりだ」
 ユピターは謙遜する。
「ふん、そうね。聖騎士団団長のくせにそれしかできていないんだから、威張れることじゃないわね」
 メガエラはやはり、心無い言葉を口にする。
「メガエラ」
 イリスは呼びかけた。メガエラが振り向くと、イリスは少し険しい顔をしていた。
「……分かったわよ」
 メガエラはイリスの表情だけで、咎められたと感じ、それ以上何も言わなかった。
 メガエラは、怒られてふて腐れた子供のように俯いたかと思うと、何かに驚いたようにイリスを二度見する。
「どうしたのです、メガエラ。そんなに目を見開いて?」
「嘘、嘘でしょ……?」
 メガエラの驚きは、この世のものとは思えないものを見てしまったかのようだった。
「一体何ですか、はっきり仰いなさい」
 イリスは、はっきりしないメガエラに、心意を話すように促す。するとメガエラはとんでもないことを口にした。
「イリス……胸が小さくなってるわよ」
「なっ!?」
 さすがのイリスも突然すぎる宣告に驚かずにいられなかった。
「いきなり何を言い出すのですか!?」
 イリスは赤面し、胸元に手をあてがる。するとメガエラはその胸元に顔を近づけてきた。
「やっぱり、二、三ミリくらいだけど、縮んでるわ……」
 周りの者には分かりようがないほどの変化であるが、メガエラにはよく分かっていた。
「ちょっと、メガエラ……!」
 メガエラは、イリスのドレスの中に手を入れ、実際に触ることで確かめた。
「これは、四、五ミリは小さくなっているかも。しかも、ち、乳首がへこんでいるじゃない!?」
 メガエラは尚も、イリスの乳房をまさぐり続ける。
「……んっ! ちょっ……! いい加減に……んああ!?」
 性感帯を刺激され続け、イリスの声は吐息の混じる色めくものになった。
「これは、押し潰そうとでもしないとならないはずよ。一体誰が……許せない!」
 メガエラに新たな怒りが爆発すると、それに比例するようにイリスの胸を弄くる力も増した。イリスの喘ぎ声も大きくなる。
「……んんっ! もう、止しなさい!」
 イリスは堪りかねてメガエラの手を振り払った。メガエラの攻めからは逃れたものの、イリスの息はまだ荒いままだった。
 全てを見ていた一同は、女同士で性的な行為をしている二人を前に、顔を赤らめていた。ただ一人、イリスの胸をおかしくしてしまった男を除いて。
――ヤバい、ヤバいぞこれは……!――
 イリスの方はさっき、ロビンとメガエラを正気に戻す手伝いをすることで許してくれたが、メガエラはまずかった。
 復讐の女神の名は伊達ではなく、何かに恨みを持てば、どうあってもその対象を消し去らなければ気がすむ事はない。彼女にバレれば間違いなく殺しにかかられるに違いない。
「ん? ジェラルド、どうしたんだ。顔色は悪いし、汗までかいて?」
 ロビンが訊ねてきた。
「へっ!? いや、オレは別に……ああ、あれだ、あれ、デュラハンの罠の影響が少しあるんじゃねえかな、うん。なんか体が熱いしっ!」
 メガエラに悟られないよう、必死に言葉を取り繕ったジェラルドであったが、演技が過剰になりすぎている。
「本当か? 具合が悪いにしてはずいぶん元気そうだけど?」
 ジェラルドの演技はやはり不自然であり、ロビンは追求する。
「いや、本当にオレは……ってロビン、お前?」
 ジェラルドは、ロビンの顔を見ていると、ふと、ある変化に気が付いた。
「ん? どうかしたか、ジェラルド?」
「お前、もとに戻ってないか?」