二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

テイルズオブジアビス 星の願いが宿る歌

INDEX|23ページ/60ページ|

次のページ前のページ
 

 道中、士官をつかまえてインゴベルトの居場所を訊ねると諸侯と謁見中とのことで、しばらくガイと共に控室で待たせてもらうことにした。
 部屋に入るとフィフィが一番日当たりのいいソファの上を陣取った。体を丸くして、完全に寝る体勢だ。ガイがその横にミュウを下ろして自らも腰掛ける。その向かいのソファに腰を下ろしながらルークがミュウに訊ねる。
「なあミュウ。そいつの言ってること、お前なら分かるのか?」
 大人しいとはいえフィフィも魔物だ。ソーサラーリングを持ったミュウなら、魔物同士フィフィの言葉を通訳してもらえるのではないかと思ったのだ。
「みゅぅぅ…それが、フィフィさんのお声は聞こえないんですの」
「なんだそれ」
「ミュウが話しかけてもお返事がないんですの。あと、人間さんの言葉は分かってるみたいですの」
「どうしてわかるんだよ?」
「頷いたり、首を振ったりしてくれて結構わかりやすいぞ」
 なあフィフィ、とガイが言うとフィフィが目を薄ら開けて耳をピクピクと動かした。しかしまた直ぐに目を閉じてしまい、眠りについていく。
「たまたまなんじゃねえの」
「そうかなぁ」
 ガイがフィフィの頭を撫でるとふさり、と尻尾が揺れた。
「言われてみればそいつの鳴き声聞かねえな」
「ジェイドが言うにはフィルフィスパニアは人間でも聞こえる声を出すらしいんだが」
「ふーん…」
 これまでのフィフィの行動には何かと意味を感じる事が多かったので、もし意思疎通が叶うのであればと思ったがそうはいかないらしい。絶対に何かあるはずだと思うからこそ少し腹が立った。
「…バーカ」
「!」
 フィフィは耳をピンと立てたかと思うと、バッと体を起こし、ひと足でルークに飛びつく。
「うわっ!?」
 ルークの顔面を力強く踏みつけて頭にしがみつくと、バリバリと髪を引っ掻きだした。
「わーー!?バカ!やめろ!!」
「あーあ…」
 本日二度目の頭皮への攻撃。必死に抵抗するがフィフィは器用に飛び跳ねて少しずつ、着実にルークにダメージを重ねていく。憐れに思ったガイがソファから立ち上がり、フィフィをルークから引き剥がした。また何本か、髪をもっていかれていた。
「くそぉ……」
「今のはルークが悪いな」
「やっぱりフィフィさんは言葉がわかってるんですの!」
「あーそうみたいだな!」
 フィフィはガイの手に抱えられながら、フー!と鼻息を荒くしていた。
「他のみんなに対してはこんなことないんだけどな…なんでルークだけ特別扱いなんだ?」
「知らねえよ!全然嬉しくねえし!」
 ルークは頭頂部を撫でながらソファに深く体を沈める。気が立ったフィフィを宥めながらガイもソファに戻った。その顔は少し笑っている。
「…なに笑ってんだよ」
「いや、なんか懐かしいなと思ってさ」
 みんなで旅をしていた頃を思い出したんだ、とテーブルに用意されたコーヒーを手に取るガイの表情は穏やかだ。
「ミュウもそう思いますの!」
 ミュウがソファの上で跳ねる。フィフィはそれを見やって、我関せずといった体(てい)でまた丸まってしまった。
「そういやみんな、まだバチカルに残ってたんだな」
 今更ながら、かつての仲間達がキムラスカに留まっていることに言及した。それぞれ立場がある身だ、とっくに本国や教団に帰っていてもおかしくない。ガイはコーヒーに口をつけて微かに笑った。
「みんなお前たちが心配だったんだよ」
「そっ、か」
 ガイの言葉を素直に受け止めきれず、変な顔になるルーク。ティアやガイに関してはそうかもしれないと思えたが、次に思い浮かんだジェイドやアニスは正直想像できなかった。それが伝わったのかガイはまた笑った。
「医者や治癒術士(ヒーラー)を呼び寄せたり、前例を探して文献を読み漁ったり…ジェイドもアニスも駆けずり回ってたんだぞ?」
 まあ想像つかないよな、と言うガイ。
「ティアもほとんど眠れてなかったみたいだし」
「え?」
「ずっとナタリアとお前に付きっきりでさ。ちゃんとお礼言ったか?」
「…」
 そういえば言っていない気がする。目の下の隈には気付いていたが、自分たちに付きっきりで過ごしていたからだとまでは想像していなかった。
「…そんなの、知らなかったし」
「お前なあ」
 少し考えれば分かるだろう、とガイが呆れた顔をする。
「あとでちゃんと言うんだぞ」
「わーってるよ!」
 ガキ扱いすんな、とそっぽを向く。
「そういうとこだろ」
 だからガキ扱いされるんだよ、とガイはやはり笑って言った。