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テイルズオブジアビス 星の願いが宿る歌

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「ガイ!そっち行ったぞ!」
「まかせろ!」
 飛び跳ねる黒い魔物を正面で待ち構えるガイの手には小型のカプセル。その手元からカチッと音がして、ガイはカプセルを魔物に投げつけた。
「ギギッ!」
 魔物の前で一瞬譜陣が浮かび上がり、すぐさま透明な箱の様なものが魔物を取り囲んだ。魔物はそこから抜け出そうと箱の中で跳ね回るが、壁はビクともしない。フィフィが箱に近付いて威嚇するようにピリッと電撃を放つと魔物は途端に大人しくなった。
「いいねえ。優秀、優秀」
 遠巻きに眺めていたレヴィンが手を叩きながら近寄ってくる。ルーク達はそれを睥睨して迎えた。
 あの後、レヴィンの案内で新たな病室へ連れていかれ、同様に魔物の分解を行うことになった。やはりベッドの数と同じだけの魔物を一気に相手取ることになり、覚悟はしていたものの骨が折れた。何より、今回はただ消せば良いのではなく「捕獲せよ」とのお達しがあったため一層神経を使う作業になった。
 現れた八体の魔物を残り一体にするまで、合体させないよう撹乱しながら立ち回り、更にはレヴィンから預かった音機関を扱って魔物を捕獲する。
「失敗してもまだ次の部屋があるから大丈夫だぞ」
 といういい笑顔付きのレヴィンの台詞もルーク達にプレッシャーをかけた。絶対に失敗したくない、と強い決意の下で駆け回った疲労感は言いしれない。
 捕獲された魔物を前に上機嫌なレヴィンを見て、ルークは大きく息を吐いた。
「うまくいって良かったわね」
「本当にな…」
 流石に疲労の色が見え始めたルークを労うように、フィフィが頬に擦り寄る。毛並みのいい尻尾が頭を撫でた。ティアがいかにも羨ましい、といった風に見てくるので、
「フィフィ」
 手の甲に乗るよう仕草で指示して、ティアの肩に移動させてやる。フィフィはティアの頬にも擦り寄って尻尾を振った。
「っ…♡」
 ティアは堪えているつもりかもしれないが、口元が緩むのを隠しきれていなかった。ルークは見て見ぬ振りをすることにして、魔物を囲んで作業に勤しむレヴィン達の様子を窺う。
「…ふん、ほぼ予想通りだ。あとは放射線量を測れば…」
 レヴィンは手元の計器を見ながら何か呟いている。マークもその数字を一所懸命に記録しているようだった。
「何してるんだ?」
「さあ、俺にはさっぱり」
 そばで見ていたであろうガイに尋ねるが彼にも分からないらしい。
 魔物が消えたことで先程まで眠っていた患者達が目を覚まし、シュウを始めとする医師達が部屋へなだれ込んでくる。周囲が一気に慌ただしくなったことでレヴィンとマークは腰を上げた。
「全員目を覚ましたか」
 最初はそのレヴィンの言葉を聞き流すところだったが、その意味に気付いてルークも部屋を見渡す。
「…まだ魔物は生きてるのに」
 マークが抱える透明な箱の中で、かなり弱っているが魔物は蠢いている。出てきた魔物を消滅させない限り、病からも解放されないのだと思っていたがそうではないのかもしれない。
「俺たちはこれから研究室(ラボ)でこいつの解析を行う。諸々の説明はその後だ」
「どのくらい掛かるんだ?」
 もしかしたら何日か滞在することになるかもしれない。そう思ってルークは何気なく聞いた。
「三ヶ月」
「は!?」
「…と言いたいところだが、そうも言ってられん。三時間後に二階の“音素動態学研究室”へ来い」
 分からなければその辺の奴に聞け、とレヴィンは歩き出してしまった。マークもぺこりと頭を下げ慌ててその背を追う。ルークは二人の背中を見送りながら呟いた。
「…ほんっと苦手だわ、ああいう奴」
 だろうなぁと横でガイが苦笑する。
「なんで?」
「ジェイドの旦那と同じタイプだからな」
「ああ」
 なんだかものすごく納得した。