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Lovin’you afterCCA15

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パイロットの男がゾクリと身体を震わせる。
「ああ、俺もだ。それで、次の瞬間には被弾してるんだ。コックピットを狙われてたら死んでたな」
「そうだな。今思えばワザと外してくれてたんだ」
「だろうな…」
あの乱戦でアムロにはそれだけの余裕があったのだ。
パイロット達はゴクリと息を飲む。
そんな二人の戦いを見ながら、カミーユが眉を顰める。
「アムロさん…」
「どうした?カミーユ」
「いえ、アムロさんの動きが…」
「ああ、そういえばあんた、グリプス戦役時にアムロと一緒に戦ってた事があったんだっけ?」
「ええ、今日のアムロさんは…まるで出会った頃…シャイアンから脱走してきて直ぐの頃みたいだ」
自信なさげで、“迷い”、“怯え”そんなイメージを受ける。
「ああ、なんか迷ってんな。ありゃ」
普通の人間から見ればそんな印象は全く受けないが、レズンやカミーユは流石に場数が違う。アムロの僅かな動きに違和感を感じていた。
「あっ!」
カミーユが声を上げた瞬間、アムロのコックピットにペイント弾が命中する。
「勝負あったな」
レズンが鼻で笑いながらモニターに映る二機を見つめる。
「笑ってて良いんですか?結構な額をアムロさんに賭けてたでしょう?」
カミーユに向かってレズンがニヤリと笑う。
「違うよ。私が賭けたのはあの馬鹿総帥にだ」
「ええ!?」
普段からアムロと仲の良いレズンなら、絶対にアムロに賭けていると思っていた。
「何故!?」
「あんな迷いだらけで余裕の無い顔した奴が総帥に勝てるわけないだろ?腐っても赤い彗星だ。腕は確かだろう?」
不敵な笑みを浮かべるレズンに、カミーユは言葉が出ない。
そして思う。
『この人には一生敵わない』と。

◇◇◇

騒然としたドックへと、双方かなり破損したサザビーとνガンダムがドックインしてくる。
観衆の大半がアムロの勝利を想像していただけに周囲には動揺が広がっていた。
「嘘だろ…俺、アムロ大尉に賭けてたのに…」
「俺だってだよ!それより結構破損してんなぁ…今日は徹夜だぞ!」
メカニック達のボヤキが聞こえてくる中、アムロとシャアがコックピットから出てキャットウォークへと飛んでいく。
キャットウォークへと手を掛け、ヘルメットを外すアムロの腕をシャアが掴む。
「アムロ、約束だ」
「……分かってるよ!」
そんな二人を、下からカミーユが不安げに見上げる。
「アムロさん…」
「まぁ、私達がジタバタしたって仕方ないだろ?」
「そりゃそうですけど…」

と、賭けを取り仕切っていた男を中心に周囲が騒めきだす。
「おい!レズン少尉が大勝ちだ!」
「いや、もう一人総帥に大金賭けてるのがいる…って、チーフ!?」
男達の叫び声に、カミーユが驚いて隣に立つメカニックチーフに振り返る。
それに、チーフがニヤリと笑って応える。
「まぁ、年の功って奴だな。パイロットの心情くらい手に取るように分かるさ。それに賭けに私情は禁物だからな」
レズンと二人、カミーユに向かって余裕の笑みを浮かべる。
「はいはい、俺はまだまだですよ!」
「まぁ気にすんなよ。カミーユは二人に近過ぎて気がつかないんだよ」
「そんな慰めいりません」
「ははは!それより面白そうだから見に行くぞ!」
「え?」
そう言ってレズンはカミーユの手を引き、二人の後を追った。


ロッカールームに続く通路では、アムロが壁とシャアの腕に挟まれて身動きが出来ないでいた。
「アムロ、約束だ。聞かせてもらおう。手紙の送り主、“ロバート・ミュラー”とは何者だ?」
逃げ場の無い状況に追い込まれながらも、アムロはシャアの視線から逃れるように顔を背ける。
「アムロ!」
怒気を含んだその声に、アムロの肩がビクリと震える。
「アムロさ…!」
思わずカミーユが間に入ろうとするのをレズンが止める。
「レズン少尉!?」
「カミーユ、黙ってな」

カミーユとレズンが見守る中、アムロがボソリと呟く。
「…さんと…している人…」
「何?アムロ、よく聞こえない、もう一度言ってくれ」
「…だから…地球で…母さんと一緒に暮らしている人…」
「は?」
思わぬ答えにシャアが言葉を失う。
「もう良いだろ?ちゃんと答えたんだから」
唇を噛み締めて俯向くアムロに、シャアは何か深い事情がありそうだと、アムロの肩に手を置く。
「良くは無いだろう?詳しく事情を話しなさい」
「……」
「アムロ?」
「…嫌だ…話したくない…」
「アムロ…」
アムロの母親は一年戦争当時、地球のロサリトにある難民キャンプに身を寄せていたらしいが、その後の消息は掴めないままだった。
シャアの方でも、アムロと結婚する際に一応調べてみたが、戦後の混乱で情報が錯綜した一年戦争当時は、難民の戸籍管理がきちんとされておらず、母親を見つける事は出来なかった。
その時、アムロにその事を告げたが、「別に探さなくていい」と言われ、二人の関係が微妙なものである事は何となく察していた。

「…母上の…居場所が分かったのか?」
「……」
「その、ロバート・ミュラーからの手紙には何と書いてあったのだ?」
「……」
「アムロ?」
優しく問いかけるがアムロは俯いて何も答えようとしない。
シャアは小さく溜め息を吐くと、アムロをギュッと抱き締める。
「…っ!シャア!?」
「アムロ、約束しただろう?一人で抱え込まないでくれ」
「……」
「アムロ…」
「…嫌だ…言いたくない…」
「アムロ?」
「嫌だって言ってるだろ!」
アムロはシャアの腕を振り解くと、走り去ってしまった。
「アムロ!」


「アムロさん!」
思わずアムロの後を追おうとするカミーユの肩を、誰かが掴んで引き止める。
振り返ると、そこにはブライトが立っていた。
「カミーユ、二人の問題だ。お前が口を挟む事じゃない。レズン少尉も、覗き見とは趣味が悪いぞ」
「艦長…」
「あ…はいはい。で?ブライト大佐は今回の事、色々知ってるんだろ?」
「レズン少尉?」
「でなきゃ模擬戦なんて許可しないだろう?」
不敵な笑みを浮かべて視線を向けるレズンに、ブライトは溜め息混じりに頷くと、二人をフリールームへと促した。

フリールームに入ると、飲み物を手にブライトが二人の前に座る。
「で?ロバート・ミュラーってのは何者だい?」
レズンの問いに、ブライトが一呼吸を入れてから答える。
「ロバート・ミュラー氏は…地球でアムロの母親と今現在一緒に暮らしている医師だ」
「アムロの母親と?」
「ああ、アムロは五歳で母親と離れ、父親と共に宇宙に上がった。父親の仕事の都合でいくつかのコロニーを転々としていたそうだ。その間、母親とは一切会っていなかったらしい」
「ご両親はあまり仲が良くなかったんですか?」
カミーユは自身の両親の事を思い出し、思わず確認する。
「詳しくは知らんが…まぁ、父親のテム・レイ博士は研究にのめり込むタイプの技術者だったからな。あまり家庭を顧みなかったかもしれない」
「そうですか…」
事実、アムロの事も殆ど放置状態だったと、昔フラウが言っていた。
女の子だったアムロに男の格好をさせていたくらいだ。そんなでは母親が愛想を尽かしても致し方ないだろう。
「確かテム・レイ博士はもう亡くなっているんですよね?」
作品名:Lovin’you afterCCA15 作家名:koyuho