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Lovin’you afterCCA15

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ただあの時は、久しぶりに会った我が子の変化に唯々驚いてしまったのだと。
女の子である筈の娘が男の格好して軍人になっており、目の前で自分を守るために人を撃ったのだ。
5歳の幼い娘の思い出しかない母親には、あまりにも衝撃的過ぎたのだと。
そして、自分の言葉が娘を酷く傷付けてしまった事を深く後悔していた。
どうしてあの時、優しい言葉を掛けてやれなかったのかと…あの子を気遣ってやれなかったのかと…。そんな自分は母親失格なのだと自分を責めていたと。
だからこそ、戦争から無事に帰還した娘が、英雄としてメディアに取り上げられていても、会いに行けなかったのだと…。

しかし、アクシズショックで娘の戦死を聞いた時、一言…謝りたかったと後悔した。
そんな時、スウィート・ウォーターでのテロ事件の事が報道され、娘が生きている事を知ったのだ。
直ぐにでも会いたいと思ったが、ニュータイプ研究所の事を知り、娘が地球に来るのは危険だと、自分から連絡を取ろうとはしなかった。
そんなカマリアを見かねたミュラーが、カマリアに内緒でアムロに連絡を取ったのだ。
ミュラーはカマリアの事を連邦やニュータイプ研究所に知られるのは危険と判断し、はっきりとは内容を告げず、アムロにだけ分かるような内容で連絡を取った。
その為、シャアの誤解を招くような事になってしまったのだ。


一時間後、アムロの元にメイド達が押し寄せて来たかと思ったら、髪を黒く染められ、服を着替えさせられた。
そしてそれが終わった頃、髪を黒く染めたシャアが部屋に現れた。
「準備は整ったようだな。では行くぞ」
「ちょっ!シャア!どう言う事だ?行くってどこに…」
「地球だ。今から君はアリシア・ミュラー、私はレオナルド・ミュラー。父親に会うために地球に行くのだ」
「は?」
「さぁ、シャトルの時間が迫っている。急ぐぞ」
「え?そんな!ちょっと…」
アムロが何かを言う間も無く、手を引かれてエレカに乗り込む。
「シャア!どう言う事だ?地球って…!それに執務はどうした?」
「仕事の方は気にするな。予め前倒しで二日分処理済みだ。急用があればナナイから連絡が入る事になっている」
「地球って…ミュラーってどう言う事だ!」
「君のお母上に会いに行く」
「私は会いたいなんて言ってないだろう!?」
「口ではな。でも本心は会いたいだろう?」
シャアの言葉にアムロは一瞬息を飲む。
「…っシャア!だからって!貴方が地球に降りるなんて…危険だろう!?」
「それは君も同じだ。だからこその変装だ。安心したまえ、偽装IDもある意味本物だからバレることはない」
あまりにも用意周到なシャアに、アムロがまさかと思う。
「シャア…貴方まさか…あの人と連絡を取っていたのか?」
「ああ。あの後、ミュラー氏と連絡を取った。安心したまえ、連邦にバレるようなヘマはしていない」
「そう言う事を言っているんじゃない!」
「アムロ、もう心を偽るな。お母上は生きているのだ。会えるのならば…会えばいい。私にはもう叶わないからな、君には後悔して欲しくない」
「シャア…」
シャアの母親は幽閉され、結局シャアやセイラさんと会う事なく亡くなったと聞いた。
そう、シャアは望んでももう二度と母親とは会えないのだ。
アムロはシャアの腕を掴んでいた手を離し、座席に腰を落とす。
「ごめん…」
「何を謝る?」
「だって貴方に迷惑を…」
「君の母上ならば私にとっても養母だ。会いに行くのに何の問題もあるまい?」
「シャア…」
大人しくなったアムロの肩を、シャアがそっと抱く。
「アムロ、大丈夫だ。何があっても私が側にいる…」
「…うん…。ありがとう…シャア…」


シャトルを乗り継ぎ、地球に降り立った二人は、ロサリトに向けてエレカを走らせた。
周囲に付かず離れず二人を守る気配を感じる。
おそらくナナイが付けた護衛だろう。
それに気付きつつもシャアは何も言わず、目的の場所へと急ぐ。
そして、アムロの目の前に懐かしい景色が広がる。
昔とは色々変わっているが、通りの街路樹やふとした場所は昔のままだった。
そして、エレカは懐かしい家の前で止まる。
一年戦争寺はジオン兵によって荒らされていたが、今は昔の静けさを取り戻していた。

アムロはシャアに手を引かれ、玄関の前へと歩みを進める。
そして、呼び鈴を押すと、開いた扉の中から、白髪混じりの品の良い男が姿を現した。
「貴方が、ロバート・ミュラー氏ですね」
シャアの言葉に、予め連絡を受けていたのだろう。ロバートがコクリと頷く。
「ようこそ。お待ちしていました」
そして、シャアの後ろに立つアムロへと視線を向け、優しく微笑む。
「ああ…君が…、おかえり…」
その言葉に、アムロの胸が熱くなり瞳に涙が溢れる。
「あ…」
「さぁ、どうぞ。長旅で疲れたでしょう」
そう言って家に中へと二人を促した。
家の中に入り、アムロは家の中を見回す。
そこは朧げに覚えている我が家だった。
ポーチを入ると居間があり、その奥にはダイニングとキッチン。
いつもそこからは母が作るおやつの、甘い香りがしていた。
「懐かしい…」
思わず漏れた声に、ロバートとシャアが微笑む。
「彼女は今、眠っているから。まずはこちらでお茶でもどうぞ」
居間のソファに座ると、暖炉の上にはいくつもの写真が飾られていた。
そこには父と、幼いアムロ、そして笑顔の母が写っていた。
その写真を見ながらシャアが微笑む。
「あのアムロの幼い頃の写真はライラにそっくりだな」
「ふふ…そうだね…」
そんな二人の元にロバートが紅茶を置く。
「ありがとうございます」
「こちらこそ、不躾な手紙を送ってしまってすまないね」
「そんな!本当に…連絡をありがとうございます」
少し戸惑いがちなアムロに、ロバートが小さく微笑む。
「色々思うところはあっただろう?」
「あ…いえ…その…」
言い淀むアムロの頭をそっとロバートが撫ぜる。
「本当に、来てくれてありがとう」
「Mr.ミュラー」
「ロバートで良いよ。私もアムロと呼んでも?」
「え、ええ。もちろん」
「ところでその髪はやはり変装で?」
「ええ、すみません。こんな…」
「いやいや、無理を言ったのはこちらだ。よかったらそこのバスルームで落とすといい」
「あ、そうですね。それじゃ、お借りします」
「ふふ、君の家だ。遠慮することはない」
「あ…はい」
アムロが髪を流しに行っている間、ロバートと二人きりになったシャアはカマリアの容態を確認する。
「肝臓を患っていてね。今日はそれでも随分調子が良いんだよ」
「我々が来ることを彼女には?」
「いや、言ってない…。けれど…何か感じているんじゃないかな。今朝はなんだかソワソワしていたんだ」
どんなに離れていても、親子は心のどこかで繋がっているのかもしれない。
それに彼女はアムロの母親なのだ。
そんな能力(ちから)があってもおかしくはない。
「そうですか…」
そこに、髪を元の赤茶色に戻したアムロが戻ってきた。
それを見つめ、ロバートが目を細めて微笑む。
「ああ…やはり親子だね。そっくりだ」
その言葉に、アムロは複雑な表情を浮かべる。
そんなアムロの肩をシャアがそっと抱きしめる。
作品名:Lovin’you afterCCA15 作家名:koyuho