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逆行物語 真六部~ヴィルフリート~

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最後の逆さ紡ぎ~アウブ・エーレンフェスト~


 成人した私がアウブになった直ぐ。叔父上とローゼマインから父上に名を捧げたいから見届け人になって欲しいと言われた。人としての寿命を父上に捧げると言う事だろう。
 名捧げに懸けられるものが忠誠か隷属かで意味合いは変わるが、状態は変わらない。忠臣は時として、逆らってでも主の間違いを正さねばならない。故に名を捧げる事は余り感心出来ない(叔父上やユストクスの様な特殊な理由があれば話は別だ)。
 だが父上がアウブから下りれば、そんな事は関係無くなる。元・アウブと領主候補生の立場の上下等、理屈で言うば無いも等しい。
 実質的には領地の状態によるが、私がアウブである以上、その理屈で問題無い。
 2人は父上を基準に人としての生を終わらせると決めたのだろう。今度こそ、父上と共に。父上は驚いていたし、受け取れないと言っていたが、口で2人に勝てる訳もなく、押しきられた、と言う訳だ。
「お父様~♥」
「ジルヴェスター♥」
 ローゼマインが成人して、名を捧げたら、益々自重を捨ててきたのか、もう、ベタベタ度が酷い。母上が何かを訴える目で見てくるが知らぬ(父上は慣らされて、話にならぬからな)。母上の心情を慮る必要性を感じぬ。知った事ではない。
 私は忙しいのだ。出来る限り、仕事を割り振っても新産業となる旅行産業は今までに無い概念の産業で、形が安定するまでは、私の手から離せない。
 勿論、何時までもそうであってはならぬ。産業に携わる貴族達の教育(洗脳)にも手は抜けない。私は、エーレンフェストの為に気を抜く事も出来ぬ。
 そんな時、領主会議でアウブ・アーレンスバッハから直に依頼された。エーレンフェストがアーレンスバッハを統治すると言う依頼を。ランツェナーヴェから正式に貿易を切られ、そのマイナスを乗り切る政策を立てるにも、アウブ・アーレンスバッハは老い過ぎた。まだレティーツィア様は幼く、アウブを継げない。
 レティーツィア様をアウブとして養育しながら、代理でアーレンスバッハを納める依頼だ。
 恐らくはエーレンフェストの繁栄に肖り、ランツェナーヴェとの貿易収益の補填したいのだろう。砂糖や香辛料の栽培は気候的にダンケルフェルガーに任せなければならないと気付いてきているのだ。
 今はまだ砂糖のストックもあり、多少は私の遠隔祝福もあって、栽培出来ている分もあるが、遠からずそれでは砂糖も香辛料もなくなってしまう。
 だからと言って、ダンケルフェルガーに渡しても、長期的なアーレンスバッハの収益にするのは難しい。
 考える間でもない。ユルゲンシュミットの外から運び込まれた砂糖や香辛料の苗をエーレンフェスト内小ユルゲンシュミットのダンケルフェルガーに植えればエーレンフェストの利に出来る。建前用の苗をアーレンスバッハから、そろそろ輸入しようと考えていたのだ。
 渡りに船だ(個人的には紅茶やコーヒーの流行りより、チョコレートが嬉しい)、私は申し出を快諾した(現在、小ユルゲンシュミットは魔力を注ぐだけで成り立つ。莫大な魔力がいるが、全属性であれば均等でなくとも構わない為、基準値に足りてない属性以外は下級や身食いの魔力のかき集めで構わない。受け付けはフィリーネ一家。恩を売っておいて正解だった)。

 しかしその数年後、ヒルデブラント王子が次期ツェントとなり、レティーツィア様が嫁ぐ事になり、跡継ぎのないアーレンスバッハはエーレンフェストに吸収された。そしてエーレンフェストは問題を内包しつつも、大領地となった。
 私は問題を解決、若しくは先送りをしながら、領地を安定させていった。