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スライムの衝撃1~友の声~

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太陽が中天に差しかかるころ、四匹はようやく寝床を離れ、いまゆったりとした空間に出たところだ。ダニエルが熟睡していたのだ。レベッカが明け方に目を覚まし、交代を申し出たので、彼女に見張りを任せることにして、ダニエルは睡眠をとることにしたのだった。

先頭を行く姉妹は騒がしく、後ろをついていくダニエルとレベッカは無口だ。

「ベスっていつもああなの? 警戒心なさすぎじゃない?」
「友だちになったことがないからわからないけど、これはひどいね」
「あ、いまエラ姉のほう見たでしょ。サマンサでもいいのに、彼女を選んだ」
「ちょうど大きな声を出したから目が動いただけだよ」
「わたしを見て」
「見てるよ」
「ほんとに?」
「心配しなくていいよ」
「じゃあ、いますぐ姉妹とはさよならしちゃお。早くわたしたちだけに――」
「それはやめたほうがいい」
「なんでよー、どうせあの姉妹とは昨晩だけの予定だったじゃない」
「これも生きる術だよ。いま別行動をとるのは得策じゃないと思う」
「もー……いつになったら、わたしたちだけに――」

姉妹の尋常ならざる悲鳴に、ダニエルとレベッカの身が竦んだ。

眼前で、重たげな地響きと土埃が立ち上り、ダニエルたちは激しく咳き込んだ。土埃に涙を溜めながらも、うっすらと目を細め前方を見遣る。土埃の奥に、堂々たるキングスライムの影が見えた。

ダニエルは、すぐにそれがかつての仲間だとわかった。側頭部に黄色のリボンが、額にホクロがあったからだ。これほど特徴的なキングスライムの容姿を好むのは、かつての仲間しか存在しなかった。

少なくとも、ダニエルとレベッカは一般的なキングスライムにしか、これまでに会ったことがなかった。

ダニエルとレベッカが、姉妹の前に踊り出た。決して姉妹を庇うわけじゃなく、キングスライムと話がしたかったからだ。

「なんだ、そのホクロは!?」
「なによ、そのリボン!?」

二匹の言葉を聞き流し、キングスライムは、下卑た視線でダニエルとレベッカを見下ろした。

「ベスと一緒か。お似合いだな」
「答えろよ!」
「関係ないだろ!」

ダニエルは歯噛みした。自分以外にホクロをもつスライムが存在していたとは思わなかったのだ。だが、自分のホクロが一番かっこいいと自負していた。他の誰にも劣るわけがなかった。

かつての仲間は、ダニエルとレベッカの代わりを早くも引き入れていた。このままでは、自分たちの生き抜く術が失われてしまう。いつまでもベスと行動を共にするわけにもいかなかった。

今度会ったら、また仲間に戻してもらおうと思っていた。何度も謝って、許しをもらおうと思っていた。それしか生きる道は残されていないのだから。

キングスライムのあちこちに残る傷痕が生々しく、痛ましかった。

「ごめん、ほんとに。何度謝っても足りないくらいだ。けど、もう一度仲間にしてくれないか。許してほしいんだ」
「はあ? ボクたちがどんな目にあったと思ってるんだよ!」
「でも仲間じゃないか、同じスライムだろ。一度は受け入れてくれた。また他のキングスライムと遭ったら、攻撃される前に分散すればいい。そうすればすぐに誤解は解ける」
「もう遅い! 気づいたんだよね、おまえたちが薄汚い橙色だってことに。ベスと同じ汚れた色しやがって」