機動戦士ガンダムRSD 第35話 天空の自由と正義
アレキサンドリアは、かつてあのアツシ・サオトメが配備されていた艦隊である。
その部下たちも相当腕を上げている。
こちらは、多くのエースパイロットを失っており兵器の質及び人的資源両方とも地球軍が劣っていた。
バルドフェルド大佐は、全滅を覚悟していた。
それでも希望だけでも残そうと奮起していた。
「振り切れ。
下げ舵15」
エターナルのモニターには、予測降下ポイントが映し出されていた。
マールスの編成がグフイグナテッドカスタムに接近していた。
※
キラ准将とアスラン准将は、アークエンジェルのブリッジに着いた。
途中カガリも合流してブリッジに一緒にいった。
アークエンジェルのモニターには、エターナル同様の予測降下ポイントが映し出されていた。
「最悪なことにかつてサオトメが所属していたη艦隊に発見されたらしいの。
突破が無理ならポッドだけでもこちらにおろすということよ」
キラ准将とアスラン准将の動揺は、計り知れなかった。
「そんなのだめだ」
突然声を上げたキラ准将に皆は、驚いた。
「あれは、失われちゃいけない力なんです。
だからカガリ。
ルージュとM1アストレイとブースターを貸して」
キラ准将は、アスラン准将を見るとうなずきあってブリッジを出た。
「キラ、アスラン」
ブリッジにいた皆が2人に声をかけた。
「全員で2人のサポートを」
ラミアス艦長が皆に命令した。
※
そのころアナハイムでは、ガンダムサイガーMk-3の最終調整が行われていた。
η艦隊からの報告は、報告兵からサオトメに伝えられようとしていた。
「何だ?」
サオトメがガンダムサイガーMk-2の最終調整を行いながら質問した。
「ドゴス・ギアからです」
報告兵は、コックピット内でサイコミュテストを行っているサオトメに電報を見せた。
サオトメは、それを受け取った。
「暗礁宙域内にてドゴス・ギアもどきにナスカ級3隻を発見。
俺には、η艦隊に帰艦しろというのか」
サオトメは、ドゴス・ギアもどきに赤いゲタ背負いガンダムが配備されている可能性を考えて判断した。
「サイコミュ受信の調整終了」
そういうとサイコミュ受信に必要な機械をはずした。
その異常さにサイジョウ元帥が気づいてガンダムサイガーMk-3のコックピットに来た。
「出るのか」
サイジョウ元帥は、サオトメがやろうとしていることに気づいた。
「灯なんて入らないぞ」
サイジョウ元帥は、サオトメに警告した。
「方法は、あるはずです」
サオトメがそういうとサイジョウ元帥がサオトメの胸倉をつかんだ。
「今出れば犬死するだけだぞ」
サイジョウ元帥は、サオトメに犬死なんてしてほしくなかったためきつく言った。
「私は、皆から国を救った英雄と祭られています。
しかしそんな英雄より好きな女性を守れる男になりたいんです」
そういうとサオトメは、サイジョウ元帥の胸倉をつかんでいた手を放した。
「サオトメ」
サイジョウ元帥は、それ以上何もいなかった。
「すみません。
絶対に深追いは、しません。
敵を追い払うだけです」
今ガンダムサイガーがどういう状況なのかは、サオトメ自身が一番よく知っていた。
「わかった」
サイジョウ元帥は、あきらめてコックピットの前から出た。
すると不意にガンダムサイガーMk-3が動き出してサイジョウ元帥は、押された。
サオトメは、ガンダムサイガーMk-3のマニピュレーターでサイジョウ元帥を受け止めた。
「サイジョウ元帥、ブースター装備のゲタとマスドライバーを頼みます」
サオトメがサイジョウ元帥に指示を出した。
「わかってる」
サイジョウ元帥は、そういってガンダムサイガーMk-3のマニピュレーターから降りた。
そして心配そうにガンダムサイガーMk-3を見上げた。
サオトメは、このところずっと作業に追われており睡眠不足だった。
しかも今使える武装は、基本武装のみの軽装である。
※
マールス部隊は、グフイグナイッテッドと交戦を始めた。
η艦隊は、ナスカ級を無視してドゴス・ギアもどきにミサイルを撃ってきた。
※
それは、エターナルでも確認できた。
「ミサイル、来ます」
「迎撃。
面舵10。
下げ舵20」
エターナルから迎撃ミサイルが多数発射されミサイルは、すべて迎撃された。
※
スダルシャナがナスカ級一隻に大口径ビームキャノンを撃った。
そして斜線上にいた数十機のグフイグナイテッドカスタムと共にナスカ級を撃沈した。
※
それは、エターナルでも確認できた。
「アンティータイム、撃沈されました」
オペレーターが報告した。
「マン・マシーンが多数護衛艦隊を突破しました」
オペレーターがマン・マシーンの動きを報告した。
「マン・マシーンを取り付かせるな。
対空かかれ」
オペレーターの報告にバルドフェルド大佐は、冷静に命令した。
※
キラ准将とアスラン准将は、OSの書き換えを行っていた。
「電圧やほかのスペックは、どうするんだ?」
マードック曹長がキラ准将にどう調整するか質問した。
「すべてストライクと同じで」
キラ准将は、使い慣れたストライクガンダムと答えた。
「M1アストレイは、イージスとお願いします」
アスラン准将も答えた。
「わかった」
マードック軍曹は、短時間でストライクルージュをストライクとM1アストレイをイージスと同等スペックにまで整備した。
※
ドゴス・ギアが撃った長砲身単装大型メガ粒子砲で一隻のナスカ級が撃沈した。
η艦隊は、ドゴスギアもどきへの攻撃を強めていった。
ハリオが撃った単装メガ粒子副砲で4機のグフイグナイテッドが撃墜した。
※
η艦隊から撃たれたミサイルを58mmCIWSで全弾迎撃した。
スダルシャナが大口径ビームキャノンを撃ちとうとう最後のナスカ級を撃沈した。
※
それは、エターナルでも確認できた。
「護衛艦隊撃沈」
オペレーターが悲痛な声で報告した。
「モビルスーツ隊、壊滅」
バルドフェルド大佐は、予期していたこととはいえこんなに早く全滅するとは思わなかった。
※
作品名:機動戦士ガンダムRSD 第35話 天空の自由と正義 作家名:久世秀一