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逆行物語 真六部~幸福な人生~

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ローゼマイン~最期の逆さ紡ぎ・開始~



 私はローゼマイン。私はマイン。私は本須麗乃。妖怪本スキーと言われた頃から、私は人に迷惑を掛けても平気だった。我が儘三昧で、それを叶えてくれる人以外は必要ないと切り捨てて来た。私の我が儘は多くの人を巻き込んだ。
 その癖、我が儘が叶わないと苦しんで、悲しんで、人のせいにした。余りに身勝手に生きてきた。
 死んでから自分の横暴さに気付いた私は後悔したし、自分の行動を客観視して、本当にエーレンフェストに酷い事をしたと思った。
 だから粘り勝ちで獲得した、今回の逆行は、エーレンフェストの為に、養父様の為に生きたい。私はそう願っていた。その為に色んな事を決めた。ライゼガングに力を持たせない方法で、“ローゼマイン”になる方法なんかはあっと言う間だった。
 私は養父様の実の娘と言う設定で洗礼式を行う事になり、お父様と呼べる事になった。
 勿論、平民の家族も大事で、皆と一緒に歩いて行ける様に、どう道を広げるかも考えた。その設定は簡単にお父様と父さんを繋げた。二人はあっと言う間に仲良くなったし、貴族と平民の垣根がそこだけ消えて、皆で家族になれた。
 ベンノさん達と作り上げた産業は領地の産業になって、皆で盛り上げていく。
 私とフェルディナンドはその光景がとても好きになった。
 とは言え、気掛かりが全く無い訳じゃない。順調に行く中で、これだけは私が手を出さなければならないと思っているのは、フィリーネの件だった。放っておけば、コンラートが虐待されてしまう。それが判っていて、起こるのを待っている訳には行かない。ヨナサーラが子供を産むまでに介入すれば、虐待は防げそうだし、家族の溝も生まれないかも知れない。
 そう思って私はフェルディナンドと兄様に相談した。
「何も無いのに、介入するのは遣り過ぎだ。」
「確かに介入するなら今が一番だな。」
 …意外な事に2人は正反対の態度だった。
「ヴィルフリート?」
「叔父上…。」
 フェルディナンドは兄様の言葉に少なからず驚いている様だ。兄様は何だろう…、呆れてる?
「もしかしてフィリーネとハイデマリーを重ねてませんか?」
 眉をぎゅっと寄せて、それから少し片手で揉みほぐし、フェルディナンドを見ている。
 …夢の中だからもろ精神年齢が出る。お祖父様な兄様には貫禄がありすぎて、呆れられるとちょっと怖い。
 フェルディナンドも多分、一線を引いている。
「…そうかも知れぬ…。」
 フェルディナンドは少しして、認めた。
「フィリーネの件、思い出して見ましたが…、ヨナサーラの言い分もまともに聞いてない様ですし、カッシークの立場も考えてませんよね。全く公平なジャッジではありませんでしたね。」
 私は兄様の言葉に、遠い記憶を呼び覚ました。フィリーネが可哀想で、コンラートが可哀想で。2人の母親の形見を取り返して…、!
「赤ちゃん…。」
 あの時の光景の中、通り過ぎてしまった存在を今更ながら思い出した。