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ディアブロスプリキュア!

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黒薔薇町 くろばら商店街

「ご協力お願いしますっ!! お願いしまーす!!」
 人が賑わう商店街で、レイはチラシ配りに一生懸命だった。
悪魔は人間と契約して対価をもらうことで力を蓄える。レイが配っているのは悪魔を召喚するための魔法陣が描かれたチラシで、それを召喚してくれそうな人に配っているのだが……
「ママ、なにあれ?」
「シッ、関わっちゃいけません」
 そもそもまともな人間はそのようなインチキまがいな怪しいチラシなど受け取ろうとはしない。敬遠され、誰も近付こうとはしないのだ。
 ひどいときには町の子どもたちから水鉄砲で標的にされたり、犬にはおしっこをひっかけられたり、あげくの果てに客引きと勘違いされ警察に通報されて必死に逃げ出したこともある。
 あまり芳しくない状況。段ボール箱には思わず目を背けたくなるほど大量のチラシの山。レイは重い溜息を吐いた。
「はぁ……堅気の人間から契約をもらうことがどれだけ大変か、リリス様は知らないんだ……」
 ついネガティブなモードに堕ちそうになりつつも、お仕えする主のため、めげずにチラシ配り続けることにした。そんなとき――足音が近づき、レイの下へと歩み寄ってきた。
「お?」
 目の前に立つのは赤色のラインが入ったローブを着こなす壮年の男性だった。
「よ、よろしくお願いします!!」
「…………」
 レイは数少ない契約機会と思って彼にチラシを手渡した。男はチラシを黙って受け取り、それをちらっと一瞥するとそのまま立ち去っていった。
 男が立ち去っていく様子を、レイは怪訝(けげん)そうに見ながら、内心不安に思った。
「なんだ……あの男。ものすごく嫌な気配を感じた」
 悪寒が走るレイに背を向け歩いていた男は、チラシを見ながらスマートフォンのようなアイテムを耳に当て、仲間内に連絡する。
「……こちらエレミア。やはりターゲットはこの近くに潜んでいる模様。大丈夫、ここは私が仕留めるよ」
 言った瞬間、魔法陣が印刷されたチラシを思い切り強く握りつぶした。

           *