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Lovin’you afterCCA16

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不貞腐れるシャアにナナイが更に笑い出す。
突貫工事で作られたこのコロニーでは、とにかく色々な不具合が多くて整備に費用が掛かる。
先週も太陽光パネルの件で予算追加申請が上がってきた。
そろそろ大掛かりな改修工事に掛からなくてならないだろう。
しかし、それには莫大な費用が掛かる。
シャアが統治する様になって、スウィートウォーターは随分と生活レベルも向上し、貧富の差も無くなってきたが、未だに職の無い者も多く、税収はそう多くない。
その為、各コロニー向けの事業などを立ち上げ、収入を得てはいるが、まだまだ統治して十年も経っていない若い統治国家だ、全てが上手くは回っていないのが実情だ。
軍備費を削ればとの意見もあるが、和平条約を結んでいるとはいえ、油断は出来ない。
また、連邦以外でもテロ組織などの脅威もある。市民の身の安全を考えるとそれを削る事は難しい。
となれば、いかに効率良く、費用を抑えて且つ完璧な設備に改善させるかが課題だ。
その為にはまず、現状を細かく把握し、対策を考える必要がある。
技術者としての目のあるアムロを同行させ、今日の視察となったのだが、視察後にシャアとナナイが所長と話している間に、アムロが暇だからと現場に顔を出した事から、先程の事態へと転がった。

普段公務が忙しく、中々一緒に過ごす事の出来ないアムロと、折角一緒に日中を過ごせると思っていただけに、シャアの落胆は大きい。
「一緒にランチをと思っていたのに…」
「仕方ありません。実際に今日の不具合は早急に対応が必要なものでしたし、アムロ大尉が気が付いてくれなければ、数時間の停電に陥っていた可能性もあります」
「…そうだな…、彼女にはいつも助けられる」
そのニュータイプ能力でいち早く危険を察知し、その豊富な工学知識と技術者としての技量で対処してくれる。
彼女は自分を戦闘だけに特化した歪なニュータイプだと卑下するが、決してそんな事はない。その技術者としての根底があるからこそ、一年戦争や先の戦争でも戦闘に対応出来たのだ。

「そう気を落とさないで下さい、明日は午前中のスケジュールを空けておきました。ゆっくりアムロ大尉とお過ごし下さい」
「本当か!?」
「はい」
「よし!次の公務へ急ぐぞ」
俄然ヤル気を出した上司に、やり手の側近は笑顔で応える。
「はい、では参りましょう」
明日の分、いつもよりハードスケジュールだがいけるだろうと心の中で算段しながら…。


どうにか公務を終わらせてナナイと共に屋敷に帰ると、子供たちがシャアを迎え入れてくれた。
「お父さん、おかえりなさい!」
「ただいま、ライラ。準備はどうだ?」
「完璧よ!」
「流石だな」
「ふふ」
「ナナイさんもお疲れ様です」
ナナイの今日の激務を労い、カイルが声を掛ける。
「お疲れ様です。カイル様も今日は公務でお忙しいかったでしょう?」
「僕の方は大した事ないよ」
今年、十四歳になったカイルは、ジュニアハイをスキップで卒業し、ハイスクールに通いつつシャアの公務も手伝っている。
「「ぱぱおかえり~」」
もうすぐ三歳になる双子達も揃ってシャアに抱き付いてくる。
「ああ、ただいま、アッシュ、ルーク」
二人をまとめて抱き上げて部屋に入っていくと、カミーユとファ、そしてジュドー達が待っていた。
「お疲れ様です。クワトロ大尉」
「ああ、カミーユも今日は仕事だったのだろう?」
「ええ、でも今日はアルフレッドさんの調整のお陰で早くあがれました」
カミーユは現在スウィート・ウォーターに完全移住し、ファと共にアルフレッドの勤める病院で医師として働いている。
「そうか、それは良かった。アルフレッドはどうした?」
「アルフレッドさんは保育所に寄って、ミリーちゃんを迎えに行ってから来るそうなのでそろそろ…」
と、カミーユが言いかけたところでアルが娘のミリアムを抱えて姿を現わす。
「遅くなりました!」
「「ミリー!!」」
シャアの腕に抱かれていた双子が一斉にアルが抱くミリーへと身を乗り出す。
もうすぐ一歳になるアルとナナイの娘のミリアムは双子のお気に入りだ。
二人はアルの腕の中のミリーを覗き込むと、嬉しそうにその頬を撫ぜて微笑む。
「ミリー!今日も可愛いね!」
「ミリー、大好き!」
しかし、そのミリーはみるみる不機嫌になり、双子の手をペシっと弾いてそっぽを向いてしまう。
「おやおや、嫌われたな。お前たち」
ニヤリと笑う父親に、双子がぷうっと頬を膨らませる。
「アッシュがいっぱい触るからだろ!」
「ルークこそ!」
そんな二人を尻目に、ミリーはカミーユへと手を伸ばす。
「みーゆ!」
カミーユがミリアムを抱き上げると、さっきの不機嫌は何処へやら、嬉しそうにカミーユにしがみついて甘える。
ナナイ譲りの栗色の髪と顔立ちは、まだ幼いながらもとても可愛く、カミーユも嬉しそうにミリアムを抱き締める。
「こんばんは、ミリー。元気だったかい」
「あうっ!」
「ミリーはカミーユ君が大好きだなぁ。でも君にウチの子はあげないよ」
アルがニッコリと、しかし笑っていない瞳でカミーユに告げる。
「アルフレッドさん、流石にそんなに守備範囲は広くありませんから」
そう答えるカミーユに、側で聞いていたジュドーが笑う。
「そういえば、ライラちゃんもアルフレッドさんに夢中だったよね!」
「ジュドーくん!?」
昔の事を掘り返され、焦るアルを今度はシャアが睨みつける。
「そうだったな!アルフレッド!」
「貴方も今更何言ってるんですか!」
そんなやり取りを、横でファとナナイが微笑ましく見ていると、外からエレカが到着した音が聞こえて来た。
「あ、アムロさんが帰ってきたんじゃないですか?」
ファの言葉に皆が一斉に動き出す。


約束通り18時前に作業を終えて、アムロは護衛兼運転手のギュネイと共に屋敷に到着した。
エレカの後部座席から、ミラー越しにアムロはふとギュネイに視線を向ける。
「ねぇ、ギュネイ。今日って何かあったっけ?」
アムロの問いに、ギュネイは一瞬目を見開くと、クスリと笑う。
「さぁ?どうでしたっけね」
「何だよギュネイ、その笑いは」
「いや、別に。さあ、着きましたよ」
ギュネイに促され、エレカから降りると、玄関から執事が姿を現わす。
「アムロ様、お帰りなさいませ」
「ただいま」
いつもと変わらぬ執事の対応に、やっぱり気の所為かと玄関をくぐる。
しかし、廊下を進んでリビングに向かうと、何故か多くの人の気配を感じる。
「あれ?やっぱり今日何かあったけ?」
うーんと悩みながらもリビングの扉を開けた瞬間、パンっパンっという音と共に中から大量の紙吹雪や花弁が溢れ出す。
「わぁ!!!」
「「happy birthday!アムロ!」」
その声に、ようやくアムロは今日が何の日かを思い出す。
「あ!」
そんなアムロに子供達が駆け寄って小さな花束を手渡していく。
「お母さん、お誕生日おめでとう!」
「カイル、ライラ、アッシュ、ルーク!」
それを受け取りながら四人をギュッと抱きしめる。
「ありがとう!ありがとう!」
そして、次にピンクの大きな花束を手にしたシャアが微笑みながらアムロの前に立つ。
「おめでとう、アムロ」
「ありがとう!シャア!凄く嬉しい!」
作品名:Lovin’you afterCCA16 作家名:koyuho