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はじまりのあの日12 古都と公演とガールズトーク

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「でも、あにさますごく強かった」
「バカ正直に、正々堂々闘いすぎなんだよおにぃ」

拳を握るカル姉、ファイティングポーズ。しかめっ面のリリ姉。傷ついてほしくなくて。でも、強い彼が誇りの姉達の言葉

「寂しさもあったけどね。ぽ兄ちゃん『これからはそうそう会えなくなる。仕送りはしようじゃない』って。その辺りでね『お母さん』家に帰ってきたんだけど」

表情がさらに曇るめぐ姉。今は、一緒に住んでいるのに。本当にブラコンさん。でも、表情が曇った理由はそれだけではなかった

「おにぃ、付き合ってた彼女とも別れてさ。オバサン、昼間は家に居ないで仕事。だからウチらは、おにぃみたいに成りたいって。必死に追いかけた」
「そうすれば、あにさまにあえるから。かる達も歌が好きだから」
「がっくん、恋人さんいたんだ」

リリ姉の方に向き直る。かなりの勢いで。リリ姉たちが、歌い手に成るために重ねただろう。その苦心など考えもせず反応した『彼女』という単語。わたしの反応にリリ姉、完全無欠の小悪魔スマイルで。わたしを小突いて

「なんだ~気になるのか~リン」
「あ、う、うん。だって、ほら、わたし知らない話しだから」
「あにさま、もてもて。バレンタインは、ようかんの山」
「え、カル姉、何でようかん」

バレンタインようかん。とてもシュール

「あのね、リンちゃん。ぽ兄ちゃんが、チョコ苦手って情報、いつもすぐに拡散するから。和菓子は好きって言うのも。ほら、前にみんなで、越後に行ったときに買った、あのようかん。ぽ兄ちゃんの好物なんだ~」
「あのツラで長身、細マッチョ。ハイスペックの超おにぃ。優しいし、気配りうめぇし、モテね~方がおかしいっつの」

質問に答えてくれるめぐ姉。リリ姉の言葉。確かに、それは納得がいく。なぜか溢れる、焦りに似た感情

「どんな人だったの、彼女さん」
「ん~、あ、あのね。何となく『今』のルカちゃんに、似た感じの美人さんだったよ、リンちゃん。ぽ兄ちゃんが、音大の時からのおつきあいだったな」
「あ、確かに。初めて会った頃のルカは、もっと子供な感じだったけどさ。最近やたらキレ~だよな。今のルカには似てるかも」

めぐ姉の言葉。脳裏に浮かぶ、ルカ姉の姿。何一つカナワナイ。そんな劣等感

「って~、話変わってるじゃん。リン、おにぃのチョコ嫌い直した話し、続きツヅキ~」

リリ姉に頬を、指でつつかれれて。話しがすり替わっていたことに気付く

「あ、ごめんリリ姉。でも、わたしの知らない、がっくんのお話聞きたかったんだもん」

チョコ克服の話しに戻るわたし。本当はあの日、もっと聞きたかった。彼のことを

「がっくんの部屋に行った後ね、今度はわたしの部屋に来て貰ってね、お茶したの。遊びに行かせて貰ったお礼~」
「わ~ぉ、ダイタ~ン。リンが、おにぃを連れ込んだのか~」
「こらこら、リリちゃん。そんなこと言ったらダメ。ぽ兄ちゃんがいたら怒られちゃうよ~」

苦笑し、たしなめるめぐ姉。その言葉の意味を知らないあの日の私

「その時ね、お招きのお返しににって。チョコレート食べさせてくれたの。いつもより、高級なチョコレート。すっごくおいしかった。でも、がっくん、チョコ苦手って。食べられないの、もったいないな~って思って~」

話すのが楽しくて、思い出が嬉しくて。気持ちが高揚。そのわたしを、微笑みながら見ていた姉達。どんな事を考えて見ていたかは、今も分からない。わたしのおしゃべりは続く

「ホワイトチョコも知らなかったんだよがっくん。食べさせてあげたの。そしたら『甘っ』って言ってたな。でも、おいしいって。その時からね、チョコも食べられるようになったんだぁ」
「だからばれんたいんぱ~てぃ~、することに」
「そうなの、カル姉。それがきっかけ~」

わたしの頭の上。座布団に座っているカル姉がのぞき込む

「あとね、歌披露のお話。この話、するのはめぐ姉達だから。他のメンバーには、ごめんだけどナイショ。わたしとめー姉。カイ兄にミク姉。あと、レンしか知らない。実は、ルカ姉も知らないお話」
「お、メズラシイ。隠し事無しのリンがねぇ」

少し、モードが真剣になるわたし。そう、これはきっと、わたしの中で、生涯誇りに想うこと。自己紹介、歌披露。その席で始めから、わたしと彼のように声を重ねた者。そんな歌い手は誰一人現れなかったから

「うん、リリ姉。これは、これだけは。わたしの中で、一番大切なお話。がっくんとわたしだけのお話だから」
「そんなに大切なお話、聞いていいの、リンちゃん」

心配そうに聞いてくれるめぐ姉。わたしの真横に転がってきて、頭を撫でてくれる

「お姉達だから。めぐ姉達には、知ってて欲しい。がっくんの事も教えてくれたし。でも、ほんとナイショだよ」
「ないしょ。かるは言わない。約束」

言って、わたしとおでこを合わせてくれるカル姉

「ん、ウチも。リンが、ウチらを『お姉』って思って話してくれんだ。約束だ。秘密にする」

彼の部屋で、泣いたあの日のように。リリ姉とゆびきり。親族といっても、やっぱり兄妹だと感じる