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代打の代打
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はじまりのあの日13 一緒と内緒の古都巡り

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「へ~これって堅いヤツがあんだね、カイトアニさん」
「そだよ、Mikiちゃん。生菓子の『生』タイプ。焼き菓子のタイプ」

駅では買わなかったという、都の名物。心なしか、アホ毛クエスチョンマークのMikiちゃん。カイ兄の提案で。まずは、京の都と聞いて、思い出さない人はいないのでは、というレベルの『名物』を買い込む

「他にも、餡が入ってないのとかね~。薄いお餅版の」
「めいぶつも、おくがふかいですね」

めー姉の言葉に、リュウトくん腕組み、うなずきながら

「わ~、リュウトくん、おとなみた~い。ユキもはじめてしった~」
「拙者モ初めて知ったでゴザルよ姫」
「変わり種も増えましたよね~」

感心する、ユキちゃん。アル兄とピコ君も、物珍しそうに。ピコ君、アホ毛が♪っぽい形に

「お、センセ、チョコなんてのもあるじゃん。買ってこ~ぜ」
「へぇ、チョコレートですか、リリィさん。興味深いですが、合うんでしょうか」
「へ~。そんなにあるなら、バナナとかないのかなぁ」

ご機嫌のキヨリリ、先生とおねぇ。チョコの物を手にするリリ姉。キヨテル先生に見せながら。その後ろ、頭の後ろで、手を組む片割れが
言う
「あるじゃない、レン。チョコバナナの生」
「って、あるの、がく兄」

レンにバナナ生を見せる彼。箱ではなく、袋詰め、小分けにされているタイプのもの

「みかんもあるけど、買う、リン。果物の中で、一番好きだったじゃない」

私の好物を覚えてくれた、優しい彼

「わ~、みかん好き~。じゃ、一つだけお小遣いで買っちゃ―」
「あ、すみません。このチョコバナナと、みかん。一つずつ」

片割れの物も含め、即座に買ってくれる

「え、良かったのにがっくん。お小遣い持ってきたから」
「わっ、マジ、がくにい。ぅあ~なんかごめんね」
「あらあら。二人ともお礼言わなきゃだめよ。全く神威君、甘々なんだから~ぁ」

すぐ近くで見ていためー姉。そういうめー姉も、天使様達のリクエスト名物を買ってあげていた

「人の事は言えなくな~いメイコ、ありがとな。リュウト、ちゃ~んと『ありがとう』言ったかな」

しゃがみ込み、リュウト君を撫で回しながら、聞く紫様

「はい、にいさま」
「大丈夫よ神威君。みんなお利口さんなんだから」

買って貰った、名物生菓子をリュックサックにしまうリュウト君。実の弟と、彼の微笑ましいやりとり。よく見ると、リュウト君、リュックの中には、複数の小分け名物が入っている。天使組の生菓子を、背負ってあげるお利口さん

「わ~ほんとにありがとね、がっくん」
「ありがと、がくにい。チョコバナナ大好き」
「こんな事くらい、子供は大人に甘えていいんじゃな~い」

微笑みながら、手渡してくれる彼。わたしとレンの頭を撫でる。彼の言葉で初めて思う『子供のままではイケナイ』と。そうだ、昼間だって、タクシー、昼食、和菓子屋さん。お代はすべて、大人組が払っていた。甘える子供のままではダメだ。何故か思う。ただしその思いは、結局『子供』の範疇を出ない考えだったけれど。箱で買った生菓子は、此所でも指定日配送。結局大人組が支払いをする。お店を出て、お土産通りを進む。色々なものが目に入る

「っす、がくサン、ちょっと寄んないすかこの店。模造刀も、結構置いてあっす」

ある店の前、通り過ぎようとしたとき、勇馬兄が目を輝かせた

「おいおい、お前は居合い刀、持ってるじゃない。しっかもアレ結構な名刀」

勇馬兄の刀は、紫様も認める代物らしい。けれども

「でも、やっぱ刀はテンション上がるっす」
「おお、拙者も一振り、欲しいものでゴザルナ」

人の欲求にキリは無し、勇馬兄、子供のようにはしゃぐ。アル兄も入店希望。刀好き二人、完全にテンション沸騰。これは当然の流れだった、が

「がくにい、おれも入ってみたい」

怖ず怖ずと申し出た片割れ。意外な申し出、こちらは全員驚く

「お、以外じゃない、レン。刀に興味あったっけ」
「い、いや、刀ってゆ~かさ。がく兄も勇馬兄も、鍛えてるじゃん。テト姉だって。さっきの先生も強かったし。おれ、学校とかで、部活もやってないから。お、おれもさ、体鍛えたくて。鍛えて、いつか護れるように成りたい」

メンバーの視線が、レンに集中する。確かに、スポーツ競技はやっていないわたし達。ただし、歌って踊るには体力が要る。重量級の衣装を着て、歌劇を演じる必要だってある。歌い手として、普段から、そういう意味では、かなり鍛えていた。軽い走り込みやストレッチ。軽度の筋肉トレーニング、ダンスの確認なんかは毎日だ。大人組は、仕事の合間に、プロスポーツ選手並のトレーニング。その甲斐あってか、学校の体育テストなどでは、いつも五指の内に入ってた。でも、片割れがあの日言ったのは、それとはちがう意味の『鍛錬』

「がく兄が言うみたいに。護りたいじゃん、大切な人。そんな、危ない目に遭うこと無いけどさ。みんなとか、大切なひ―、あ、い、今の無し。わ~わ~」

独白をしていたと気がつくレン。真っ赤になって話しを打ち切る。もう遅い

「何言ってんの、レン。見上げた心がけじゃない。鍛えて護るってその心音。さすが、尊敬する双子様。俺、自慢の弟『筆頭』惚れる男気じゃな~い」
「まぁ、将来、レンくんに護っていただく可能性がある。なんだかワタシ、幸せですわ~」
「ね~ルカ姉。わ~レンくん、何かかっこいいよ~」

うわべのお世辞ではない。心からの賛辞を贈る彼。レンの頭を撫で回す。何故だか、幸福感に浸る、ルカ姉、ミク姉

「デハ、勇馬殿同様。レン殿も、神威殿に弟子入りされると良いでゴザル」
「あ、う、うん。がく兄、弟子にして。一緒に鍛えてよ」
「わ、神威道場の開幕ですね~、かむさんっ」
「殿が師匠の、一流派ができたね~」

片割れの真摯な願い。ピコ君と兄の言葉に、頬が緩む彼

「弟子って程のもんじゃない。俺は師範でも無いわけだから」
「かむぅい、お前師範代の位(くらい)持ってたじゃね~か、居合い。武道も併せて何十段だったかにゃ~、元格闘家様よ」
「うっす、レンがおれの弟弟子(おとうとでし)っすね」

可笑しそうにテト姉が突っ込む。勇馬兄は、子分が出来たかのような物言い。笑みを、獰猛なものに変える、紫様

「重音、イヤミで言ってんのか。お前も似たようなもんじゃな~い。勇馬、歌い手としては、レンのが先輩だから、な」

彼とにらみ合うテト姉。でも、二人とも楽しそう。ビビっているのは勇馬兄。御師様には太刀打ちできない

「はは、そんなに段位持ってるんだ。殿ほんとにハイスペックだね」

カイ兄、カナワナイという顔。紫の彼、今度は微笑んで

「何言ってんのカイト。お前のが高性能の超アニキじゃない。俺らは、武術馬鹿ってだけ。まぁ、レンも見たいなら仕方がないな、入ろうか。でも、別の店行きたいんじゃない、オンナノコは特に」

と、女性筆頭、めー姉に向かって片目を瞑る

「そうね~、アタシは別の店が良いわ。気遣いありがと神威君」
「私もです、神威さん。子供達と他を。模造刀とはいえ、刀はちょっと物騒ですので」

彼の心遣いに、上がる声。別行動を申し出る、めー姉、先生

「なら、ウチもセンセと別の店~」