はじまりのあの日14 秘密の贈り物
と、キヨテル先生、急に顔を引き締め
「ですが、日常のお化粧やマニキュアは、もう少し慎んで頂きたい所ですね。こういう軽率な行動も程々に、です。リリィさん、降りてください」
お小言を言う。たちまちにしかめっ面、リリ姉
「あ、何それっ、マジの先生みて~な説教じゃん。イイじゃんべっつに~。普通だっつ~の、ウチくらいの化粧なんて普通だっつ~のっ。化粧すんなって~の、センセッ」
「おいコラ、リリ、なんつ~」
リリ姉、降りようとしない。衝突と見なした彼、妹を『指導』にかかろうとした声。メンバーにも、緊張感が走る。が、キヨテル先生、完璧な微笑みを浮かべ
「まぁまぁ、神威さん。日頃のお化粧のリリィさん、素敵ですよ」
紫様『お』という、表情。何を言うのか興味深げ『素敵』の言葉に、リリ姉、途端に頬が朱色。メンバーも、事の流れが変化したことを認識する
「ですが時折なさる『小悪魔』メイクは、いただけません。公演時は別として、です。私の見解で申し訳ありません。Adem eptidin bilinur『人は外見で分かる』他国のことわざです」
先生微笑み、でも、目は真剣。リリ姉、先生と見つめあう格好
「日本には真逆のことわざもありますが。リリィさん『常日頃』の美しいリリィさんでいてください。心まで『悪魔』にならないでくださいね。それだけです、小言を言ってしまいました。申し訳ありません。ただ『担任の先生』からのお願いです」
「担任、センセ、ウチのタンニン」
完全に乙女顔のリリ姉、頭に湯気が発っている。気がする
「列車の中で仰いましたね『引率の先生』と。皆さんもですが、リリィさん、私のことを『先生』と仰います。私はリリィさんの担任ですよ。数年間、日々を共に過ごした『可愛い教え子』へのお願いです」
その言葉を聞き、リリ姉、目が潤む。召され顔で、先生にもたれかかる
「リリィさん、リリィさん。ダメですよ、悪戯が過ぎます」
苦笑しつつ先生がたしなめるが
「ウチしゃ~わせぇ~(幸せ)ウチのキヨテルセンセ~」
脱力したように先生にもたれ掛かったまま動かない
「お~ぃ、リリ、良かったじゃな~ぃ。これだけ想ってくれる『担任の先生』滅多にいな~い」
見上げて観た、紫様、あえてのドヤ顔をしている
「あ~ら、先生、やっぱりスミに置けないわねぇ」
頬に手を当て、ウィンク、めー姉。キヨテル先生、アタマの上に疑問符
「ぅ~わぁ、萌え萌え~」
「わかる~、IAちゃ~ん」
萌え上がるのは、IA姉、めぐ姉
「で、やっぱ撮ってるっす、ミクが」
「これはいつものことである」
目を光らせ、撮影中のミク姉、苦笑いの勇馬兄。あきれ顔のカル姉は珍しい
「氷山さん、Makeup(メイクアップ)は女性の嗜みですわ。礼儀作法の一環ですの。ふふっ、ワタシも留学先のMom(お母さん)に教わりましたわ」
ルカ姉、艶っぽく微笑みながら。そう、ルカ姉は帰って来た日、薄化粧を纏っていた、香水も。メイクの仕方やその意味は、留学先の英国で教わったらしい
「ええ、ルカさん。私も母からそう教わりました。度を超して欲しくない、という、ただの老婆心です。さあ、リリィさん、しっかりしてください」
「はぁ~ぃ、センセェ」
先生、眉を下げる。さすがに今度は降りるリリ姉。ただ、先生の横にもたれ掛かって座る。甘えるネコのようだ
「ルカ姉、お化粧ってしなきゃならないの。じゃあ、わたしもお化粧、した方がイイのかな」
わたし、疑問を口にする。舞台や撮影で化粧を施されることはあっても、日常、しかも自分の意思でメイクすることはなかった。その程度に子供だった
「そうですね、リンちゃんくらいのお歳なら、興味が湧くかもしれませんわ。今度教えて差し上げましょうか」
最もだ、という表情のルカ姉、に
「イヤ、まだ早いとおもうけどなぁ、オレっ」
「ま~だ早えんじゃね~『マセガキ』になんの、関の山ッス~」
何故か慌てるカイ兄、ヘラヘラ笑う勇馬兄、小馬鹿にしたっぽい。わたしの心、さすがに『カチン』と音が鳴る。以前も似たような展開があった
「カイ様、めっ。りんりんも大人準備、お化粧練習するする~」
「勇馬、ちょっと非道くな~い。リンちゃんだって女の子だよっ、なにその言い方ぁ」
カル姉に注意され、カイ兄萎んでゆく。Mikiちゃん怒りながら猛抗議。だけどこの時は、紫様、意外と穏やかで
「いいんじゃない、リン。Lady(レディ)の嗜みだ。そろそろ、そんな歳じゃない。ただテルの言うように、品の無いのはちょっとな。センスのイイ、ルカに教えて貰ったら。勇~馬、地元帰ったら『セッキョ~』な~あ」
笑いながら言って、頭を撫でてくれる彼『大人』や『化粧』など、今まであまりわたしの会話に上らなかったキーワード。あの日から登場しはじめた。と言って、突然、わたしが変わる訳では無い。彼の対応も同じく。縮み上がる勇馬兄
「ぽ兄ちゃん~っ、暴力はダメっ。でも勇馬君もめ~っ。ダメだよっ、あんなこと言っちゃあ。女の子だったら、傷つくよっ。今度言ったら、お姉ちゃん怒っちゃうよっ」
めぐ姉、強い口調はもの凄~く珍しい。つり上がる眉も。ただめぐ姉、怒った顔も可愛らしい。勇馬兄をお説教したのは、真摯な気持ちの表れ。わたしを『妹』と見なしてくれる
「デリカシーなさ過ぎ。ウチだったら、勇馬引っぱたいてるわ。てか『妹』馬鹿にされて、マジ切れそうなんだけど~ォ」
「リリィさんも、暴力はいけません。勇馬さんの『言葉の暴力』も、感心しませんが」
神威の『おねぇ』リリ姉も、目が据わる。引き留めながら、目が細まる先生。みんなから『注意』の集中砲火
「サ~セン。マジ、サ~センでした」
に、半泣きで頭を下げる勇馬兄。すると紫の彼
「ふぅっ、拳骨沙汰になんざしない、めぐ。それに勇馬、お前『良いこと』も言ってるぞ」
お師匠様の救け船(たすけぶね)勇馬兄、あ、泣いちゃった。めぐ姉、寄って行って、今度はいいこイイコ
「リンちょっと『おこ(怒る)』モードなったかも、だけどさ。ヘタな化粧すると『マセた娘(こ)だな~』なんて思われちゃうわけ、勇馬が言ったみたいに」
なでなでしてくれるので、わたしの気持ち、穏やかに
「これから『大人の世界』興味出るかもだけどさ、歳に合わない事ヤルと、危ない目に遭っちゃう。そうならないように、気を付けようじゃない」
撫で続けてくれる彼、ああ、気持ちいい。いいこイイコされる勇馬兄、めぐ姉に涙を拭いて貰う
「歳に『合う』範囲で、覚えていこうじゃない。大人の嗜みをさ。ねぇ、リン。レンも、さ。勇馬、泣くんじゃない。でも、リンには謝ろうじゃない」
優しいやさしい紫の彼。その言葉で、ささくれ立った場の空気が、穏やかなものへ戻っていく
「ごめん、リン」
「はい、よくできました、イイコ、勇馬君」
今度は『弟』を褒めてあげるめぐ姉。抱き寄せて、なでなで。勇馬兄、逆に役得
「そうそう、レンくんもオシャレしようよ、リンちゃんと同じ~。がくさんに教えて貰っちゃおうっ『神威道場』繋がりで~」
「素晴らしいアイディアですわ、ミクさん。レン君も大人びてきていますから。男性としての嗜みですわぁ」
「ですが、日常のお化粧やマニキュアは、もう少し慎んで頂きたい所ですね。こういう軽率な行動も程々に、です。リリィさん、降りてください」
お小言を言う。たちまちにしかめっ面、リリ姉
「あ、何それっ、マジの先生みて~な説教じゃん。イイじゃんべっつに~。普通だっつ~の、ウチくらいの化粧なんて普通だっつ~のっ。化粧すんなって~の、センセッ」
「おいコラ、リリ、なんつ~」
リリ姉、降りようとしない。衝突と見なした彼、妹を『指導』にかかろうとした声。メンバーにも、緊張感が走る。が、キヨテル先生、完璧な微笑みを浮かべ
「まぁまぁ、神威さん。日頃のお化粧のリリィさん、素敵ですよ」
紫様『お』という、表情。何を言うのか興味深げ『素敵』の言葉に、リリ姉、途端に頬が朱色。メンバーも、事の流れが変化したことを認識する
「ですが時折なさる『小悪魔』メイクは、いただけません。公演時は別として、です。私の見解で申し訳ありません。Adem eptidin bilinur『人は外見で分かる』他国のことわざです」
先生微笑み、でも、目は真剣。リリ姉、先生と見つめあう格好
「日本には真逆のことわざもありますが。リリィさん『常日頃』の美しいリリィさんでいてください。心まで『悪魔』にならないでくださいね。それだけです、小言を言ってしまいました。申し訳ありません。ただ『担任の先生』からのお願いです」
「担任、センセ、ウチのタンニン」
完全に乙女顔のリリ姉、頭に湯気が発っている。気がする
「列車の中で仰いましたね『引率の先生』と。皆さんもですが、リリィさん、私のことを『先生』と仰います。私はリリィさんの担任ですよ。数年間、日々を共に過ごした『可愛い教え子』へのお願いです」
その言葉を聞き、リリ姉、目が潤む。召され顔で、先生にもたれかかる
「リリィさん、リリィさん。ダメですよ、悪戯が過ぎます」
苦笑しつつ先生がたしなめるが
「ウチしゃ~わせぇ~(幸せ)ウチのキヨテルセンセ~」
脱力したように先生にもたれ掛かったまま動かない
「お~ぃ、リリ、良かったじゃな~ぃ。これだけ想ってくれる『担任の先生』滅多にいな~い」
見上げて観た、紫様、あえてのドヤ顔をしている
「あ~ら、先生、やっぱりスミに置けないわねぇ」
頬に手を当て、ウィンク、めー姉。キヨテル先生、アタマの上に疑問符
「ぅ~わぁ、萌え萌え~」
「わかる~、IAちゃ~ん」
萌え上がるのは、IA姉、めぐ姉
「で、やっぱ撮ってるっす、ミクが」
「これはいつものことである」
目を光らせ、撮影中のミク姉、苦笑いの勇馬兄。あきれ顔のカル姉は珍しい
「氷山さん、Makeup(メイクアップ)は女性の嗜みですわ。礼儀作法の一環ですの。ふふっ、ワタシも留学先のMom(お母さん)に教わりましたわ」
ルカ姉、艶っぽく微笑みながら。そう、ルカ姉は帰って来た日、薄化粧を纏っていた、香水も。メイクの仕方やその意味は、留学先の英国で教わったらしい
「ええ、ルカさん。私も母からそう教わりました。度を超して欲しくない、という、ただの老婆心です。さあ、リリィさん、しっかりしてください」
「はぁ~ぃ、センセェ」
先生、眉を下げる。さすがに今度は降りるリリ姉。ただ、先生の横にもたれ掛かって座る。甘えるネコのようだ
「ルカ姉、お化粧ってしなきゃならないの。じゃあ、わたしもお化粧、した方がイイのかな」
わたし、疑問を口にする。舞台や撮影で化粧を施されることはあっても、日常、しかも自分の意思でメイクすることはなかった。その程度に子供だった
「そうですね、リンちゃんくらいのお歳なら、興味が湧くかもしれませんわ。今度教えて差し上げましょうか」
最もだ、という表情のルカ姉、に
「イヤ、まだ早いとおもうけどなぁ、オレっ」
「ま~だ早えんじゃね~『マセガキ』になんの、関の山ッス~」
何故か慌てるカイ兄、ヘラヘラ笑う勇馬兄、小馬鹿にしたっぽい。わたしの心、さすがに『カチン』と音が鳴る。以前も似たような展開があった
「カイ様、めっ。りんりんも大人準備、お化粧練習するする~」
「勇馬、ちょっと非道くな~い。リンちゃんだって女の子だよっ、なにその言い方ぁ」
カル姉に注意され、カイ兄萎んでゆく。Mikiちゃん怒りながら猛抗議。だけどこの時は、紫様、意外と穏やかで
「いいんじゃない、リン。Lady(レディ)の嗜みだ。そろそろ、そんな歳じゃない。ただテルの言うように、品の無いのはちょっとな。センスのイイ、ルカに教えて貰ったら。勇~馬、地元帰ったら『セッキョ~』な~あ」
笑いながら言って、頭を撫でてくれる彼『大人』や『化粧』など、今まであまりわたしの会話に上らなかったキーワード。あの日から登場しはじめた。と言って、突然、わたしが変わる訳では無い。彼の対応も同じく。縮み上がる勇馬兄
「ぽ兄ちゃん~っ、暴力はダメっ。でも勇馬君もめ~っ。ダメだよっ、あんなこと言っちゃあ。女の子だったら、傷つくよっ。今度言ったら、お姉ちゃん怒っちゃうよっ」
めぐ姉、強い口調はもの凄~く珍しい。つり上がる眉も。ただめぐ姉、怒った顔も可愛らしい。勇馬兄をお説教したのは、真摯な気持ちの表れ。わたしを『妹』と見なしてくれる
「デリカシーなさ過ぎ。ウチだったら、勇馬引っぱたいてるわ。てか『妹』馬鹿にされて、マジ切れそうなんだけど~ォ」
「リリィさんも、暴力はいけません。勇馬さんの『言葉の暴力』も、感心しませんが」
神威の『おねぇ』リリ姉も、目が据わる。引き留めながら、目が細まる先生。みんなから『注意』の集中砲火
「サ~セン。マジ、サ~センでした」
に、半泣きで頭を下げる勇馬兄。すると紫の彼
「ふぅっ、拳骨沙汰になんざしない、めぐ。それに勇馬、お前『良いこと』も言ってるぞ」
お師匠様の救け船(たすけぶね)勇馬兄、あ、泣いちゃった。めぐ姉、寄って行って、今度はいいこイイコ
「リンちょっと『おこ(怒る)』モードなったかも、だけどさ。ヘタな化粧すると『マセた娘(こ)だな~』なんて思われちゃうわけ、勇馬が言ったみたいに」
なでなでしてくれるので、わたしの気持ち、穏やかに
「これから『大人の世界』興味出るかもだけどさ、歳に合わない事ヤルと、危ない目に遭っちゃう。そうならないように、気を付けようじゃない」
撫で続けてくれる彼、ああ、気持ちいい。いいこイイコされる勇馬兄、めぐ姉に涙を拭いて貰う
「歳に『合う』範囲で、覚えていこうじゃない。大人の嗜みをさ。ねぇ、リン。レンも、さ。勇馬、泣くんじゃない。でも、リンには謝ろうじゃない」
優しいやさしい紫の彼。その言葉で、ささくれ立った場の空気が、穏やかなものへ戻っていく
「ごめん、リン」
「はい、よくできました、イイコ、勇馬君」
今度は『弟』を褒めてあげるめぐ姉。抱き寄せて、なでなで。勇馬兄、逆に役得
「そうそう、レンくんもオシャレしようよ、リンちゃんと同じ~。がくさんに教えて貰っちゃおうっ『神威道場』繋がりで~」
「素晴らしいアイディアですわ、ミクさん。レン君も大人びてきていますから。男性としての嗜みですわぁ」
作品名:はじまりのあの日14 秘密の贈り物 作家名:代打の代打