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はじまりのあの日16 バレンタインとリップサイン2

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「そうだ、リン、重音を見て思いだした。さっきはありがとうチョコ。一番ってのも嬉しかった。で、これは、お返しのチョコレート。ホワイトクランキー作った」
「え、がっくんチョコ免除で良かったのに。まさか全員分」

包みから取り出してくる。さっき欲を出していたクセに、何を今更。心の中は驚喜の舞

「いや、リンにだけ。今、こんな風に、みんなでバレンタインパーティー出来るの、リンのおかげじゃない。だから、贈りたくて」

優しい眼差しで告げてくれる

「ここにいるみんな、特別なメンバー。誰かに迎えられた。俺が来た日、いきなり飛び込んで来たじゃない。黄色い弾丸が。それ、俺を迎えに来てくれたリンだった」

可笑しげに笑い、お酒を一口、紫様

「あ~、それがリンと神威君のファーストコンタクトだったのね。アタシ達も初耳だわ~。待ちくたびれてたリンがね、真っ先に飛び出していくんだもの」
「引っ張ってきたね、サムライ姿の殿を。これは、すごそうなヤツが来たって思った。楽刀も、楽器だって分からなかったから。初めは仲良く出来るか不安になったよ」

いつの間にかわたしと彼、メンバーの注目を受けている。あの日のわたしは気付かない。さいわいに『後日談』として、萌え萌えで見ていたということをIA姉から聞かされた。あの日、聞いたらまた変な流れになったはずだ

「そう。で、仲間にしてくれてさ。嬉しかったよ、出迎えてくれる人がいるって。だからさ、頼んだじゃない、テルに。新しい家族達を迎える家長になってくれって。悲しいじゃない。自己紹介おわってさ、一人、真っ暗な『家』帰るの」
「ああ、そうだったんですか神威さん。そこまでの、深い思慮と思いやりがあったんですね。そんなに、大切なお役目を下さったとは。とても光栄ですよ」

キヨテル先生、少年のような笑顔。これまた珍しいリアクション

「そ~だったんだ~神威のに~さん。わ~、に~さんのおかげ~」

両手を胸の前で握りしめ、ときめくIA姉。前のめり

「嬉しかったな~。ゎたしが来た日にね~、皆の前で自己紹介したよね。先生さんの案内でシェアハウス帰るとね、明るかった。電気つけててくれた。先生言ってくれたんだ~『家長のキヨテルです。今日から家族として仲良くしましょうね』って~」
「IAちゃん、ゆきもおなじだよ。それでね『こまったことがあったら、何でも言ってくださいね。言いにくければ、これに書いて下さいね』って。そのひからね、ゆき、こうかんにっきはじめたの『せんせいあのね』っていう」

なんだその可愛らしくて萌え尽きてしまいそうな交換日記。あの日全員が思ったに違いない

「言いにくい事も、日記ならばいかがかと考えまして。ノートを手渡したところ、先程のタイトルが書かれて帰ってきました」

やや、照れ笑う先生

「拙者モ嬉しかったでゴザルよ。右も左も、ワカラヌ時だったユエ。Englishの質問ニモ、親切に応えてクダスッタ。今『家』のリビングに『なにか一言ノート』を置いて下さったのも氷山殿でゴザル」

アル兄、腕組みで壁にもたれ、リキュールを感慨深げに含む

「っす、自分はぶっちゃけ、最初突っかかったす」

勇馬兄の話しも初めて聞く。止めようとする先生をさえぎって、話す勇馬兄

「ストリートの世界って『潰しあい』なトコもあるす。ダンス、歌、どこでもケンカ茶飯事で。超一流のストリートファイターだった、がくサンなら、分かってくれるかも、っす」

その問いに、肯定の印『I love you』のサインで応える紫の彼

「だから『仲良くしましょう』なんて迎えられて。自分、言ったす。そんな馴れ合いでやってけんのかって。テルサン、眼鏡外して言ったす」

ものすごく真剣な勇馬兄。ここまでの真剣モード、歌ってるときを除けば滅多にない

「『このPROJECTは、人を癒すのが目的です。メンバーみんなで進んでいくものです。誰かを蹴落として御自分が目立ちたいなら、今すぐに立ち去りなさい』って。ビビりました。自分、ちっぽけだったす」

眉をさげ頭をかく、勇馬兄

「あ、ね~ねぇ、キヨテル先生って、本気モードの時眼鏡とるよね。ちょっと怒ってる時ってゆ~の。なんで~」
「お恥ずかしい。眼鏡を取ると、私、目つきが変わるじゃないですか、Mikiさん。視力が弱いためなんです、目を細めるの。以前、その目で睨まれると、反抗が出来なくなると言われたことがありまして」

確かに、あの目で先生が怒るとき。迫力は紫の彼の獰猛顔に匹敵する。といって、本当に『怒った』所は見たことない

「あの目は迫力ありました~」
「古都の時、恐かったも~ん」

ピコ君、Mikiちゃんが、笑いながら竦む

「知らない物語があるもんだね~。でも、こうして垣根なく話し合う事ができる。素敵だよね。殿の一言に、そんな願いも籠もってたんだ」

カイ兄、酔っているためか、僅かに顔が赤い。酔いに任せて、めー姉にもたれかかる。撫でナデめー姉

「ま、家長を見事に務めてんのは、テルの器量の大きさじゃない。けど、俺の一言がきっかけでさ。こうやってみんなと過ごせるようになったんなら。その、大元のきっかけは、リンが作ってくれたじゃない。だから、リンには贈りたい、チョコレート。えこひいき~」

わたしの頭に、彼の手が乗る。その手の感触は、いつも通りに心地良い。昔からわたしとレンの頭は、良く撫でてくれる

「そういえばさっきリンちゃんが言ってたよね~、Mikiちゃん」
「あ、そうそう、神威のアニキってチョコ嫌いだったんでしょ」

思い出して、質問IA姉、Mikiちゃんも興味深げ。言われれば、その理由を彼から聞いたことは無かった

「わたしも気になる~、何で、がっくん」

隣の彼をのぞき込む。彼、微笑み返してくれながら

「チョコを、最初に食べたの時の状況だったのかな、今思うと。俺、子供の時から、家じゃ一人のことも多くてさ。あまり間食ってなかった。幼稚園の時だったな。ある日にさ、公園で遊んでたんだよ、ダチ数人と」

彼とわたしの周りに輪が出来る

「夏でさ、喉が乾ききってるところにくれたんだ、ちっさな一口チョコ。半分溶けたどろどろのやつ」

彼が、指で示す大きさは、アル兄のくれた一口チョコとは違うもの

「ばっか甘いうえに、生暖かなどろどろ、しかも変な味でさ。カラカラだった口の中で、粘るおかしな味。一ミリも美味しいと思わなかった。で『もう、これは食べなくて良いな』って思って。以来食べなかった。学校給食でパンに塗るチョコクリームとか、全部ダチにあげてたし」
「あ~もったいない出会い方しちゃったんだね~がくさん」

ミク姉が面白そうに笑っている。メンバーも笑い合う

「デハ、イカニシテ食べられるように。ソノ転機に、リン殿が関わられていると、聞こえるでゴザルが」

女性陣は、もうこの時点で知っていた。でも『彼の立場で』話を聞くと、わたし語りとは、又違うはずだ

「初めて二人っきりで留守番したことがあってさ。俺の、殺風景な部屋見たいってリンが言うじゃない。別に断る理由もないから、まねいたじゃない」
「楽しかったよ~、刀とかグローブ、見せて貰って~」