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はじまりのあの日18 おやすみの魔法

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わたしは教わった、色々な事を。ただ、やっぱり『友達』や『先輩』と呼べる人は少なかったな、今思う。それが寂しいわけでも、イヤだったわけでもない。というか、気にさえならなかった。彼の側にいられるだけで、かけがえのないメンバーと一緒に居るだけで。わたしは日々が楽しかったから

「解った~ぁ。ありがとう、がっくん」
「素直でよろしいじゃな~い」

脚を組み直し、微笑む。一息にお酒を流す彼。わたしも紅茶を飲み終える。彼のご提案で、歯を磨いていくことに

「そういえばさ、言ってたじゃない、明日のことって」

洗面所に向かいながら。さっきわたしがいった『誤魔化し』提案を真に受けていてくれた彼

「あ、う、うん。ん~っと」

明日のことなど何も考えていなかった。が、言われて、何か必死に絞り出す

「あ、行列ね、何かお芝居、入れたいかも。うん、うんっ、イイアイディア~」

途中から、独り言と思案が混じって言葉になる

「芝居」

不思議そうに聞く彼、わたしと彼だけで打ち合わせた、秘密のお芝居を一つ打とう。考えつくわたし

「何かね、みんなと打ち合わせてないアドリブお芝居。なんか出来ないかな~」
「そ~うか。~、あまり時間はさけないな。何しようじゃない」

歯ブラシを手渡してくれる。ダブルの部屋ならでわ、用具も二つ。しばらく二人。無言で歯磨き

「ん~」

何かうなっている彼。サプライズお芝居を考えてくれている。わたしの方が先に磨き終わって、うがいを済ます。洗面所を出てベッドに腰掛け彼を待つ。自分でも考えてみるが、中々思い浮かばない。そりゃそうだ、デマカセ口実だったわけだし

「ならさ、リン、明日はじめ『楽刀』持ってくれない」

歯磨きを終え、やって来る彼

「レンが俺の所にきた後、一芝居あるじゃない。その後に『姫様、刀をこれへ』とか言うから、持ってきてくれない『仰せのままに~』とか言って」

わたしが言ったデマカセきっかけのお願いにさえ、真剣に応じてくれた、優しい彼。御館様に、刀を差し出す姫。姫様呼びも何だかステキと思って

「あ、いいねっ、がっくん、ヤルやる~。それやろぉっ」

はいご機嫌、単純だよね。今も、彼とすることは、ほぼ全て楽しいから、変わってないか、あの頃と

「決まりじゃない、姫、明日はよろしく願いつかまつる。ワシの『刀(命)』そなたに預けるぞっ」
「ぁははっ、ココロエタ、わたしの御館様~」

芝居がかった声で、演じる彼。上々機嫌で、お芝居返すわたし。何故なのか『わたしの』などと付けて、どうして気付かなかったのか

「よろしくじゃな~い、じゃじゃ馬のお姫様。よ~ぉし、戻ろうか、キミのお部屋。送ろうじゃない」
「おねがぁ~い。もぉ~、じゃじゃ馬ヤメテょ~」

と、言って、じゃじゃ馬姫様の称号、嫌いじゃない。だって、じゃじゃ馬だろうが、彼が『姫』扱いしてくれるんだもの。彼の部屋を出て、歩く