はじまりのあの日19 メイコとカイトの
ゲリラCMの効果は抜群で、商店街入り口には人だかりが出来ていた、大規模な。スタッフや警備、商店街の若い皆さんが、バリケードを作る。その中を、歓声浴びながら服屋さんの二階へ。他のメンバーは又別、PROJECTのロゴが入ったトレーラーへ向かう。着替えを済ませ、メイクさんにお化粧して貰う。うん、やっぱり違う。ルカ姉に施して貰ったお化粧の感覚とは。あの日思ったっけ
「よ~しみんな、しっかり可愛く成ったじゃない。気合い入れて行くぞ」
「「「「「「「ぅお~、御館様~」」」」」」」
一階で着替えていた、男の子、そして紫様と合流、店を出る前に気合いを入れる。店を出ると大歓声『かわいいカワイイ』という声や『がんばってね~』等の応援まで。当日、天使様、わたしとIA姉には人力車が用意され、裾を引きずらないようレッドカーペットの上を歩き、乗り込む。それを先導するのが、紫の御館様とレン。まずはステージの前へ移動。ステージにあがると、歓声は瞬く間に大声援に。レンだけさりげなく、ステージ袖へ隠れる。さて、公演の始まりだ。来賓様のご挨拶を、用意された和なイスに腰掛け聴く。最後に主催者代表様のご挨拶。企画したというお兄さん、アイサツの〆が『と言うワケなのでございます。御館様~、どうぞ商店街に救いのお手を~』ノリノリ、跪いて両手を組む。沸き起こるお客さんの笑い。わたし達も吹き出してしまう。すると後方、ステージ袖から
「御館様~~っっっっっ」
飛び出してくるレン。やや焦りが見えるのは、代表様にレンの役目が奪われてれてしまっている感があるからだろう
「御館様にご報告申し上げます」
猛然と駆け寄ってきたレン、紫の御館様の前に、跪いて言う。多少スライディング気味なの面白い
「厳しき時代故、商店街が苦境に立たされ、我らの軍勢に、助けを求めております」
何度も言うけど、ハジメ、あれだけ文句言ったのはどの双子か。弟ノリノリ
「ぉ屋形様~、いかにすれば~」
立ち上がったIA姉は、精一杯、ウロタエテみせる。胸の前で、手を組んで内股
「「「「きゅうちにございます~」」」」
天使様も弱気の声。ただ、その仕草があまりに可愛らしすぎて、見ている人悶絶。紫の御館様、おもむろに立ち上がり
「よく存じ上げた、主殿。レン兵卒、あい解った」
お芝居をする彼。はっきり言う、カッコイイ。と、お客様に向けていた視線をわたし達に移して
「『妹』姫様、幼き者達よ、うろたえるでないっ。堪え忍び、まず戦の潮目を見極めるのじゃ」
そして昨日の夜、打ち合わせた、秘密の小芝居を始めるわたし
「『姉』姫様、刀をこれへ」
「オオセノままに、御館様」
持っていた刀『楽刀』を差し出すわたし。可能な限り、恭しく。うふふ、今わたしは、メンバーみんなも知らなかったお芝居を演じている。彼とわたしだけの、なんて思って、心蕩けたな、あの日。紫様、これまた恭しく刀をつかみ取り、一歩前へ出る。そして今度は、師範代仕込みの居合いよろしく、楽刀を抜く紫様。引き抜くと同時に、楽器の刀、爽やかな音を奏でる。その効果もあいまって、大変に格好イイ
「戦場(いくさば)には、流れが変わるその刹那がある。堪え忍び、知恵を巡らせ、潮目が変わるその『時』見逃すでない。そして時が来たら打って出る。死中に活を見いだすのじゃ」
『御館様』の大歓声が上がる。バックヤードから見つめるメンバーからも、だ。その歓声が静まると
「如何した、その程度の気迫では、苦境に立ち向かえんぞっ。まずは各々方、気を張らずして道が開けようかあっ。そなた達の御声(おんこえ)を、今一度張り上げてみせよっっっ~」
再び上がる『御館様~』の歓声。全員が大盛りあがりする。御館様、今度は楽刀を掲げ、その場全員『エイエイお~』と拳をあげる。八回目で切り上げて
「神威がくぽ、軍勢を率い、商店街の景気づけにまかりこしたぁっ」
「「「「いざ、しゅつじんじゃ~」」」」
集まって下さったお客さんの大声援。紫様に連れられ、ヒヨコの行進が始まる。軍勢と呼ぶには『可愛らしすぎた』というのは、後で聞いた感想。ステージを駆け下り、跪くレン。わたし達もできる限り素早く降りて、人力車へ乗り込む。天使様は、引き手さんが抱っこで乗せてくれる。わたしとIA姉は、ここでサプライズ
「姫様方っ」
人力車の前で跪き、自分の膝を踏み台にして、乗り込みを手伝ってくれる彼。ああ、もうかっこいいの
「ぁりがとう~に~さ~ん」
「がっくん、ありがとう」
IA姉とわたし、小声でお礼。イタズラっぽく笑う紫の彼、こちらも小声で
「御館様の膝は『姉』姫様の指定席じゃない」
今日は『姫様専用昇降台』などと笑わせてくる。全員整ったところで、もう一度勝ち鬨。レンを先頭に、紫の御館様。人力車はIA姉わたしが先頭車、オリバーくん、いろはちゃん二号車。最後、ユキちゃん、リュウト君の三号車、歳の順。広い商店街を練り歩く。もっともわたし達は乗って引かれているだけなので楽だったけど。彼と弟は、それなりの運動だっただろう。歓声に応え、手を振る、お礼を述べる。出陣行列メンバー全員で。眩いばかりに、焚かれるフラッシュ『ほらほら、昨日の歌い手さん』という、前日出会ったであろう人の声。前夜に買い物をし、心配りまで頂いた海鮮屋さんの前。大将さん、店員さん、総出で大歓声。ここで紫様足を止め、報恩のサービス
「昨日(さくじつ)は、御馳走になったのぅ、主殿(あるじどの)大層美味じゃった。観覧においでの皆様方においても、海の幸はこの御店(おんみせ)にて求められるのが良いであろう」
大将さん、感激、大衆喝采。彼のアピールで、このお店は昼までに完売御礼の札が下げられたそうだ。これ以降、IA姉や天使様も、それぞれ心配りを頂いたお店の前でアピールをする。そして、一時間近くかけて、商店街を巡った。最後、ステージ前へ戻ってくると
「さ~、慌ただしくなるわよ、あんた達」
「でも、四十分は歌MC、ダンスで稼ぐス」
「準備整える、えるえる、えるさいず」
先に着替え、ステージ袖に待機していためー姉達に出迎えられる。勇馬兄、今日は小さな鈴付きヘアピンで、前髪分け。カル姉は、扇でアオイデくれる
「おっしゃ、急ご~ぜみんな」
「早き替えじゃない、さ、リン、IAも」
「よ~しみんな、しっかり可愛く成ったじゃない。気合い入れて行くぞ」
「「「「「「「ぅお~、御館様~」」」」」」」
一階で着替えていた、男の子、そして紫様と合流、店を出る前に気合いを入れる。店を出ると大歓声『かわいいカワイイ』という声や『がんばってね~』等の応援まで。当日、天使様、わたしとIA姉には人力車が用意され、裾を引きずらないようレッドカーペットの上を歩き、乗り込む。それを先導するのが、紫の御館様とレン。まずはステージの前へ移動。ステージにあがると、歓声は瞬く間に大声援に。レンだけさりげなく、ステージ袖へ隠れる。さて、公演の始まりだ。来賓様のご挨拶を、用意された和なイスに腰掛け聴く。最後に主催者代表様のご挨拶。企画したというお兄さん、アイサツの〆が『と言うワケなのでございます。御館様~、どうぞ商店街に救いのお手を~』ノリノリ、跪いて両手を組む。沸き起こるお客さんの笑い。わたし達も吹き出してしまう。すると後方、ステージ袖から
「御館様~~っっっっっ」
飛び出してくるレン。やや焦りが見えるのは、代表様にレンの役目が奪われてれてしまっている感があるからだろう
「御館様にご報告申し上げます」
猛然と駆け寄ってきたレン、紫の御館様の前に、跪いて言う。多少スライディング気味なの面白い
「厳しき時代故、商店街が苦境に立たされ、我らの軍勢に、助けを求めております」
何度も言うけど、ハジメ、あれだけ文句言ったのはどの双子か。弟ノリノリ
「ぉ屋形様~、いかにすれば~」
立ち上がったIA姉は、精一杯、ウロタエテみせる。胸の前で、手を組んで内股
「「「「きゅうちにございます~」」」」
天使様も弱気の声。ただ、その仕草があまりに可愛らしすぎて、見ている人悶絶。紫の御館様、おもむろに立ち上がり
「よく存じ上げた、主殿。レン兵卒、あい解った」
お芝居をする彼。はっきり言う、カッコイイ。と、お客様に向けていた視線をわたし達に移して
「『妹』姫様、幼き者達よ、うろたえるでないっ。堪え忍び、まず戦の潮目を見極めるのじゃ」
そして昨日の夜、打ち合わせた、秘密の小芝居を始めるわたし
「『姉』姫様、刀をこれへ」
「オオセノままに、御館様」
持っていた刀『楽刀』を差し出すわたし。可能な限り、恭しく。うふふ、今わたしは、メンバーみんなも知らなかったお芝居を演じている。彼とわたしだけの、なんて思って、心蕩けたな、あの日。紫様、これまた恭しく刀をつかみ取り、一歩前へ出る。そして今度は、師範代仕込みの居合いよろしく、楽刀を抜く紫様。引き抜くと同時に、楽器の刀、爽やかな音を奏でる。その効果もあいまって、大変に格好イイ
「戦場(いくさば)には、流れが変わるその刹那がある。堪え忍び、知恵を巡らせ、潮目が変わるその『時』見逃すでない。そして時が来たら打って出る。死中に活を見いだすのじゃ」
『御館様』の大歓声が上がる。バックヤードから見つめるメンバーからも、だ。その歓声が静まると
「如何した、その程度の気迫では、苦境に立ち向かえんぞっ。まずは各々方、気を張らずして道が開けようかあっ。そなた達の御声(おんこえ)を、今一度張り上げてみせよっっっ~」
再び上がる『御館様~』の歓声。全員が大盛りあがりする。御館様、今度は楽刀を掲げ、その場全員『エイエイお~』と拳をあげる。八回目で切り上げて
「神威がくぽ、軍勢を率い、商店街の景気づけにまかりこしたぁっ」
「「「「いざ、しゅつじんじゃ~」」」」
集まって下さったお客さんの大声援。紫様に連れられ、ヒヨコの行進が始まる。軍勢と呼ぶには『可愛らしすぎた』というのは、後で聞いた感想。ステージを駆け下り、跪くレン。わたし達もできる限り素早く降りて、人力車へ乗り込む。天使様は、引き手さんが抱っこで乗せてくれる。わたしとIA姉は、ここでサプライズ
「姫様方っ」
人力車の前で跪き、自分の膝を踏み台にして、乗り込みを手伝ってくれる彼。ああ、もうかっこいいの
「ぁりがとう~に~さ~ん」
「がっくん、ありがとう」
IA姉とわたし、小声でお礼。イタズラっぽく笑う紫の彼、こちらも小声で
「御館様の膝は『姉』姫様の指定席じゃない」
今日は『姫様専用昇降台』などと笑わせてくる。全員整ったところで、もう一度勝ち鬨。レンを先頭に、紫の御館様。人力車はIA姉わたしが先頭車、オリバーくん、いろはちゃん二号車。最後、ユキちゃん、リュウト君の三号車、歳の順。広い商店街を練り歩く。もっともわたし達は乗って引かれているだけなので楽だったけど。彼と弟は、それなりの運動だっただろう。歓声に応え、手を振る、お礼を述べる。出陣行列メンバー全員で。眩いばかりに、焚かれるフラッシュ『ほらほら、昨日の歌い手さん』という、前日出会ったであろう人の声。前夜に買い物をし、心配りまで頂いた海鮮屋さんの前。大将さん、店員さん、総出で大歓声。ここで紫様足を止め、報恩のサービス
「昨日(さくじつ)は、御馳走になったのぅ、主殿(あるじどの)大層美味じゃった。観覧においでの皆様方においても、海の幸はこの御店(おんみせ)にて求められるのが良いであろう」
大将さん、感激、大衆喝采。彼のアピールで、このお店は昼までに完売御礼の札が下げられたそうだ。これ以降、IA姉や天使様も、それぞれ心配りを頂いたお店の前でアピールをする。そして、一時間近くかけて、商店街を巡った。最後、ステージ前へ戻ってくると
「さ~、慌ただしくなるわよ、あんた達」
「でも、四十分は歌MC、ダンスで稼ぐス」
「準備整える、えるえる、えるさいず」
先に着替え、ステージ袖に待機していためー姉達に出迎えられる。勇馬兄、今日は小さな鈴付きヘアピンで、前髪分け。カル姉は、扇でアオイデくれる
「おっしゃ、急ご~ぜみんな」
「早き替えじゃない、さ、リン、IAも」
作品名:はじまりのあの日19 メイコとカイトの 作家名:代打の代打