はじまりのあの日19 メイコとカイトの
おおっ、なんて誰かの声。ミク姉、察したのか、何が起きてもヌカリナイように、か。スマホカメラを翳す
「え~っと、はは、やっぱり照れるな」
「ほ~ら、カイトしっかり」
「ん、わかってるよ、め~ちゃん」
姉と一度、視線を合わせ、兄は今度、宣言した
「オレ達、結婚するよ」
一瞬は静まりかえる。だって、勘付いた人が居た一方、唐突すぎて、という人も居た。イヤ、婚約はメンバー周知の事だ。だけど『連絡事項』といつものノリで言われて『結婚』宣言は、わたしには思い至らない。え、アレ、としばらく呆けた。半分くらいのメンバー、特に子供組は
「おめでと~うカイト、やったじゃない。本当に良かったな、メイコ」
「お姉様~、お兄様~。わたくしも今、とっても幸せですわぁぁぁ」
「コレカラハ、真の夫婦(めおと)でゴザルなっ、メイコ殿、カイト殿~」
姉兄夫妻の元に、紫の彼、ルカ姉、アル兄の年長組が駆け寄って祝福。甘露の言葉を振りかける。その声、その行為が始まるまで、わたし、レンの姉弟は揃って呆けていた
「おっ、おめでとうございますっ、メイコさん、カイトさん。わわっ『連絡事項』なんて言ってたから、結婚なんて思わなくって。ビックリして、固まっちゃったっ。おめでとう~」
「これこそサプライズというに、相応しいタイミングでしたね。お二方とも、おめでとうございます。生涯のご多幸、心より祈念しますよ」
跳ねるように立って、お辞儀はめぐ姉。微笑みながら手を叩く、キヨテル先生。リリ姉は気が付いていたらしく、紫の兄を伴って、年長組と共に、新婚夫婦を祝福している
「「「「おめでとうございま~す」」」」
天使様も駆け寄っていく
「いや~あ、素晴らしい光景っ。おめでと~、め~姉、カイ兄。カメラ回しといて良かったあ」
相変わらずのミク姉。撮影を一人続ける。みんなそれぞれ、祝辞を述べる中、わたし、慌てる。お祝いの言葉、ええっと、兎に角
「カイ兄~ぃっ、めー姉~ぇ、おめでとうっ。二人の結婚、おれ何かすっごくうれしい」
と、ここで立って駆けていく弟の行動が、わたしに変な対抗意識を奮い立たせた
「めー姉、カイ兄、おめでとうっ。わたしだって嬉しいよっ。ずっと前から約束してたんだよねっ」
そう、二人の婚約を知った日のことを思い出す。偉大な宇宙戦艦が運んで来てくれた思い出話
「いやいやあ~最高の画が撮れたっ。めー姉、カイ兄、おめでとさ~ん」
最後、ミク姉、撮影を続けつつ、全速力でお祝いの塊の中へ。いつの間にやら、全員団子。新婚二人を中心に
「男衆集まれっ、カイトを胴上げしようじゃないっ」
「え、そっそんな、イイよ殿」
「おれ賛成っ。カイ兄に拒否権は無~い」
親友の紫様が、カイ兄を担ぎ出し、レンは囃し立てる
「ウッス、がくサンッ。派手にイクっすよ~」
「あはは~、うちも賛成っ。わっしょいわっしょ~い」
「では皆さん、しっかりと手を添えて胴上げいたしましょう」
「手ヲ緩めてハ、イカンデゴザル」
勇馬兄もしっかり胴上げ体制に入り、Mikiちゃんまでもが参戦。先生、アル兄、気がつけばめー姉まで胴上げに加わって、カイ兄、まな板の鯉状態
「これよりどうあげのかいしです」
リュウト君の発声
「カイトさん、メイコさん、おめでとう」
ユキちゃんの祝辞
「「いッセーのーッデ」」
いろはちゃん、オリバーくんの声かけで
「「「「「「「「「「ぅわあっしょ~いっぅわあっっしょい(わっしょいわっしょい)」」」」」」」」」」
始まる、カイ兄の胴上げ。手の届かない者も、一緒になって飛び跳ねる
「おめでたいタイ、鯛のお頭」
「メイコさんがお嫁さんです~」
飛び跳ねる、カル姉。手を挙げるピコ君。計14回宙を舞う兄。それは、兄がこの世に生まれた日と同じ数。初め戸惑いの笑顔
「あ、あはははは~みんな~ありがと~」
「愛してるわよ~、大好きっ、カイト~」
しだいに、破顔でお礼のカイ兄、めー姉とも会話。14回目で胴上げを終え、しっかりとカイ兄を、床に降ろす一同
「カイ兄、おめでとうっ。ちょっとヘタレだけど、おれ自慢の優しい兄ちゃん」
「へへへ、レンタンも似たところあるじゃね~か。こんな弟がいて幸せ者だぜ、カイトタンよ」
照れ交じり、皮肉交じりの弟に、ツッコミ祝福テト姉
「わ~い、カイ兄、めー姉っだいしゅきぃぃぃ(大好き)」
「わたしもわたしもっ、大好きだよ、おめでとうっ、メイコお姉ちゃん、カイトお兄ちゃん」
心底嬉しげなミク姉。わたし、敢えて昔の呼び方で
「カイト、メイコ。幸せにな。おめでとう、尊敬するマブダチ二人」
「お姉様、お兄様、生涯掛けて、お慕いしていますわ」
世間様に言われる『始まりの七人』わたし達一族六人。そして、一族と事務所の括りなど関係ない。固い堅い、縁を持った、紫の彼。本当に初めの頃から、苦も楽も共にした仲間。その祝福の声で、ぼろぼろと泣き始める、兄。泣きながら近寄っためー姉。大泣きで抱き留めるカイ兄
「よろしくね、カイト。マダマダ此所からだけど、せめてここまで来ることが出来たわ。アンタのおかげよ」
「~っ、よ、よろしくね。ああ、あ~、辛かったな~ぁ。~~め~ちゃんのおかげだよ、今のオレがあるの」
兄の涙の理由、わたしには解ってあげられなかった。兄が語り始めるまで。紫の彼、思いを語るまで。だから
「へっへっ、うれし泣きか~、カイト。んにしても泣きすぎじゃね」
「カ~イ兄、泣いてんなよ~。めでたい席でさあ。いっくらめー姉と結婚できるのが嬉しいからってメソメソ―」
リリ姉の冷やかし。弟が、兄の涙を止めようとしたであろう軽口に、わたし、同調しようかと思った。紫の彼、優しい微笑みと物言いで遮った
「リリ、レン、そんなに簡単な涙じゃない。カイト、俺の推測になるけどさ、色んな気持ち、混じってるだろ。少し前まで、俺も込みコミで、どんな仕事させられてたか。ま、俺は今でもじゃない『道化』演じるの。レン、カイトが何て呼ばれてたか覚えてる」
「え、え~っと、バカ―」
にこやかに言おうとして、凍り付く弟。途端、憤怒の顔になるリリ姉。全員が思い至る。思い至って、悲しさ、仕方のなさ、それでも込み上げる、悔しさ。なぜ、兄達は執拗なまでに『変な役』をさせられるのか、という、口惜しさ。そう演じなければ『食べて生けないからね』と兄は言っていた。そう、事実仕事を選べなかった、はじめの頃
「ま、俺ら基本、仕事は選ばないけどさ。あの舞台は、主達でさえ戸惑ってたじゃない」
わたし達、事実仕事は選んでない。あくまでも『紙一重』だって、さすがに『倫理的にどうか』という仕事は、プロさん達だってさせようとしない。が、あるときのことだ『大手からのオファー』とプロデューサーと共に訪れた先で。張り切っていた皆に告げられた役割は衝撃的だった。紫の彼、前触れ無く『変な道化役』を押しつけられた。リリ姉激高、多少修羅場と化した。カイ兄までも、その役にしようとする主催者サイドに、プロさん達さえ戸惑う中、当の紫様
「俺一人でイイでしょう。やりますよ、食っていくために。俺の仲間を、兄妹を、護るために、ね。かかってこいよ」
「え~っと、はは、やっぱり照れるな」
「ほ~ら、カイトしっかり」
「ん、わかってるよ、め~ちゃん」
姉と一度、視線を合わせ、兄は今度、宣言した
「オレ達、結婚するよ」
一瞬は静まりかえる。だって、勘付いた人が居た一方、唐突すぎて、という人も居た。イヤ、婚約はメンバー周知の事だ。だけど『連絡事項』といつものノリで言われて『結婚』宣言は、わたしには思い至らない。え、アレ、としばらく呆けた。半分くらいのメンバー、特に子供組は
「おめでと~うカイト、やったじゃない。本当に良かったな、メイコ」
「お姉様~、お兄様~。わたくしも今、とっても幸せですわぁぁぁ」
「コレカラハ、真の夫婦(めおと)でゴザルなっ、メイコ殿、カイト殿~」
姉兄夫妻の元に、紫の彼、ルカ姉、アル兄の年長組が駆け寄って祝福。甘露の言葉を振りかける。その声、その行為が始まるまで、わたし、レンの姉弟は揃って呆けていた
「おっ、おめでとうございますっ、メイコさん、カイトさん。わわっ『連絡事項』なんて言ってたから、結婚なんて思わなくって。ビックリして、固まっちゃったっ。おめでとう~」
「これこそサプライズというに、相応しいタイミングでしたね。お二方とも、おめでとうございます。生涯のご多幸、心より祈念しますよ」
跳ねるように立って、お辞儀はめぐ姉。微笑みながら手を叩く、キヨテル先生。リリ姉は気が付いていたらしく、紫の兄を伴って、年長組と共に、新婚夫婦を祝福している
「「「「おめでとうございま~す」」」」
天使様も駆け寄っていく
「いや~あ、素晴らしい光景っ。おめでと~、め~姉、カイ兄。カメラ回しといて良かったあ」
相変わらずのミク姉。撮影を一人続ける。みんなそれぞれ、祝辞を述べる中、わたし、慌てる。お祝いの言葉、ええっと、兎に角
「カイ兄~ぃっ、めー姉~ぇ、おめでとうっ。二人の結婚、おれ何かすっごくうれしい」
と、ここで立って駆けていく弟の行動が、わたしに変な対抗意識を奮い立たせた
「めー姉、カイ兄、おめでとうっ。わたしだって嬉しいよっ。ずっと前から約束してたんだよねっ」
そう、二人の婚約を知った日のことを思い出す。偉大な宇宙戦艦が運んで来てくれた思い出話
「いやいやあ~最高の画が撮れたっ。めー姉、カイ兄、おめでとさ~ん」
最後、ミク姉、撮影を続けつつ、全速力でお祝いの塊の中へ。いつの間にやら、全員団子。新婚二人を中心に
「男衆集まれっ、カイトを胴上げしようじゃないっ」
「え、そっそんな、イイよ殿」
「おれ賛成っ。カイ兄に拒否権は無~い」
親友の紫様が、カイ兄を担ぎ出し、レンは囃し立てる
「ウッス、がくサンッ。派手にイクっすよ~」
「あはは~、うちも賛成っ。わっしょいわっしょ~い」
「では皆さん、しっかりと手を添えて胴上げいたしましょう」
「手ヲ緩めてハ、イカンデゴザル」
勇馬兄もしっかり胴上げ体制に入り、Mikiちゃんまでもが参戦。先生、アル兄、気がつけばめー姉まで胴上げに加わって、カイ兄、まな板の鯉状態
「これよりどうあげのかいしです」
リュウト君の発声
「カイトさん、メイコさん、おめでとう」
ユキちゃんの祝辞
「「いッセーのーッデ」」
いろはちゃん、オリバーくんの声かけで
「「「「「「「「「「ぅわあっしょ~いっぅわあっっしょい(わっしょいわっしょい)」」」」」」」」」」
始まる、カイ兄の胴上げ。手の届かない者も、一緒になって飛び跳ねる
「おめでたいタイ、鯛のお頭」
「メイコさんがお嫁さんです~」
飛び跳ねる、カル姉。手を挙げるピコ君。計14回宙を舞う兄。それは、兄がこの世に生まれた日と同じ数。初め戸惑いの笑顔
「あ、あはははは~みんな~ありがと~」
「愛してるわよ~、大好きっ、カイト~」
しだいに、破顔でお礼のカイ兄、めー姉とも会話。14回目で胴上げを終え、しっかりとカイ兄を、床に降ろす一同
「カイ兄、おめでとうっ。ちょっとヘタレだけど、おれ自慢の優しい兄ちゃん」
「へへへ、レンタンも似たところあるじゃね~か。こんな弟がいて幸せ者だぜ、カイトタンよ」
照れ交じり、皮肉交じりの弟に、ツッコミ祝福テト姉
「わ~い、カイ兄、めー姉っだいしゅきぃぃぃ(大好き)」
「わたしもわたしもっ、大好きだよ、おめでとうっ、メイコお姉ちゃん、カイトお兄ちゃん」
心底嬉しげなミク姉。わたし、敢えて昔の呼び方で
「カイト、メイコ。幸せにな。おめでとう、尊敬するマブダチ二人」
「お姉様、お兄様、生涯掛けて、お慕いしていますわ」
世間様に言われる『始まりの七人』わたし達一族六人。そして、一族と事務所の括りなど関係ない。固い堅い、縁を持った、紫の彼。本当に初めの頃から、苦も楽も共にした仲間。その祝福の声で、ぼろぼろと泣き始める、兄。泣きながら近寄っためー姉。大泣きで抱き留めるカイ兄
「よろしくね、カイト。マダマダ此所からだけど、せめてここまで来ることが出来たわ。アンタのおかげよ」
「~っ、よ、よろしくね。ああ、あ~、辛かったな~ぁ。~~め~ちゃんのおかげだよ、今のオレがあるの」
兄の涙の理由、わたしには解ってあげられなかった。兄が語り始めるまで。紫の彼、思いを語るまで。だから
「へっへっ、うれし泣きか~、カイト。んにしても泣きすぎじゃね」
「カ~イ兄、泣いてんなよ~。めでたい席でさあ。いっくらめー姉と結婚できるのが嬉しいからってメソメソ―」
リリ姉の冷やかし。弟が、兄の涙を止めようとしたであろう軽口に、わたし、同調しようかと思った。紫の彼、優しい微笑みと物言いで遮った
「リリ、レン、そんなに簡単な涙じゃない。カイト、俺の推測になるけどさ、色んな気持ち、混じってるだろ。少し前まで、俺も込みコミで、どんな仕事させられてたか。ま、俺は今でもじゃない『道化』演じるの。レン、カイトが何て呼ばれてたか覚えてる」
「え、え~っと、バカ―」
にこやかに言おうとして、凍り付く弟。途端、憤怒の顔になるリリ姉。全員が思い至る。思い至って、悲しさ、仕方のなさ、それでも込み上げる、悔しさ。なぜ、兄達は執拗なまでに『変な役』をさせられるのか、という、口惜しさ。そう演じなければ『食べて生けないからね』と兄は言っていた。そう、事実仕事を選べなかった、はじめの頃
「ま、俺ら基本、仕事は選ばないけどさ。あの舞台は、主達でさえ戸惑ってたじゃない」
わたし達、事実仕事は選んでない。あくまでも『紙一重』だって、さすがに『倫理的にどうか』という仕事は、プロさん達だってさせようとしない。が、あるときのことだ『大手からのオファー』とプロデューサーと共に訪れた先で。張り切っていた皆に告げられた役割は衝撃的だった。紫の彼、前触れ無く『変な道化役』を押しつけられた。リリ姉激高、多少修羅場と化した。カイ兄までも、その役にしようとする主催者サイドに、プロさん達さえ戸惑う中、当の紫様
「俺一人でイイでしょう。やりますよ、食っていくために。俺の仲間を、兄妹を、護るために、ね。かかってこいよ」
作品名:はじまりのあの日19 メイコとカイトの 作家名:代打の代打