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はじまりのあの日23 それからの四年間

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ただ、変化したこともある。それは、わたしの身体の変化。約40日に一度、腹痛と吐き気に襲われ、微熱と気怠さに苛まれる、あの現象。わたし、かなり遅い方だった。彼に告白した、あの一月後から始まった。しかもわたしのは、相当に重い方だったらしい、腰痛まで併発したし。今は痛み止めや『温めて』軽減させる事が出来る。その『症状』を軽くする方法を知ったから。でも、それこそ初めの頃は大変で、姉達も、何が合うか『試し』ながらしか対処できない。自分も含めて悪戦苦闘。半年間は、完全に『難病』状態

「リン、ムリするんじゃない。何でも言って」
「ぅ、がっくん。ぇぅ、気持ち悪ぅ、お腹痛い~」

『その日』は、プロデューサーも仕事を外してくれた、何があっても。学校も『病欠』体調不良ということにしてくれて。まあ、事実体調は最悪だったわけだし。初めの3日くらいは腰の痛みで、歩くことさえ避けたいくらいだった『ソレ』が始まってから思い知る。お嬢組、みんな『その日』が有るはずだけど、休みにしてくれるのは、わたしだけ。それくらい、初めの頃はキツかった。歩くのさえ気だるいわたしを

「さて、今日も茶の間で良いかな、横になる場所。俺ん家のさ。一応布団、敷いたじゃない」
「ん、おねが~い、がっくん。畳だとまだ少し楽だからぁ。ぅっつぅ、腰痛ぁ」

脚を怪我したあの日よろしく運んでくれる彼。畳寝、効果あるのでは、と教えてくれたのは、カイ兄。以前、撮影で『腰』を痛めた。その時、客間の畳に布団を敷いて寝た。すると、ベッドより楽だったということを教えてくれた『その日』は腰痛まで併発するわたし。本物の畳、板敷きの神威家、効果抜群なの

「熱もあるな、額に貼ろうじゃない、冷却シート」
「ありがとう、がっくん。ぅ~」

薄く汗ばみ、張り付く前髪を指で分けて、オデコに貼ってくれる。それまで本当に子供の身体だったわたし。彼への想いに気付いた事が、わたしの変化を呼び覚ましたようだった

「何かして欲しいことあるかな。出来ることはしてあげようじゃない。邪魔なら言って、消えるから」
「消えちゃやぁだ~。膝枕ぁ~、がっくん、撫でて~」

必ず、彼を看護に当ててくれた。もちろん、姉の誰かが居るときは姉にもお世話になった。でも、姉達が残ることが出来ないときは必ず彼。彼自身は『俺が看護師役っておかしくない』って言ってたけど。でも、際限なく甘えさせてくれた彼。初めは『周期』さえ読めなくて。何時なのか、予測不能

「今回は『急』っだったからさ。しょうがないじゃない」

そう言って『必需品』まで買いに行ってくれて。それがどれだけ勇気の要ることか、知ったのは一年後。食欲のない、わたしのため

「でも食べなくちゃ。体が悲鳴上げちゃうじゃない」

そう言って、工夫を重ねて作ってくれて。ある時は、わたしが好きな、クリームたっぷりのコーンスープ

「ありがと、がっくん、食べさせて~」

またある日は、トマトの酸味を利かせ、本当の鶏肉から煮だした、栄養たっぷりコンソメスープ

「少~しずつ、栄養ある物食べようじゃない。リン、今日のおやつはこれ」
「ありがとう、がっくん。ぅぇ、食欲出ない~。でも、これなら食べられそう」

おやつにくれた、かぼちゃプリンや濃厚メープルミルク。その日が来るのは憂鬱以外の何物でも無かったけれど、彼が優しくしてくれるのは嬉しくて。彼が作ってくれた恵みも相まってか、よくよく手入れの行き届いた『滑走路』みたいだった身体、ささやかながら凹凸ができ始めて。少しずつ、身体が変化して。告白の日から伸ばし始めた髪の毛、徐々に『雰囲気が大人っぽくなるじゃない』紫様、褒めてくれて

「がっくん、膝~。頭撫でて~、よ~やく具合良くなった~ぁ」
「甘えんぼさんモードの日、治ってよかったじゃな~い」

それでも、変わらずに接してくれた、優しい彼。彼自身は接し方を変えてくれていたんだろう。抱っこの仕方が、変化した。触れ方が変わった。でも、わたしの望むように接してくれた。けれど、後の二年は、変化した。それは、わたしがより『大人に近い、まだ子供』に成ったから