BYAKUYA-the Whithered Lilac-2
ツクヨミは、自分でも一体何をしているのか訳が分からなかった。しかし、こうして泣く弟(ビャクヤ)を宥める事、それが重要な気がしてしまったのだった。
体を密着させ、片手でビャクヤの頭を撫でてやる。赤紫という不気味な色ではあるが、意外にもさらさらした髪で、指通りも心地よい。
――姉さんと呼ばれるのも、案外悪くないものね。でも、全ては『あの子(ゾハル)』のため……――
「いつまでも腑抜けてないで、私のためにその力を振るい、存分に戦いなさい。我が弟、ビャクヤ」
「ああ。頑張る。頑張るさ。姉さんのためなら何だってする。この生命は。姉さんのためだけにあるんだから……」
ビャクヤは、堰を切ったように声を上げて泣いた。
ツクヨミは実の姉のように、ビャクヤを優しく抱き締め、その額を撫でるのだった。
作品名:BYAKUYA-the Whithered Lilac-2 作家名:綾田宗