Family complex -怪我をした日-
フェリシアーノを引き取る時、使用人には親や家族の代わりになるような人材を選んで揃えたし、もちろん家族のように叱ってもいいと言ってある。どうやら彼らもその役目をきちんと果たしてくれているようだ。
「で、どこに行ってたんだ?」
「ん~?」
問いかけると、フェリシアーノはそこで少し考え込む素振りをして、そしてむにゃむにゃ言いながらも、にこやかにこう言った。
「あのね、よくわかんない人のとこ~」
「はは、そうかそうか……ん?」
フェリシアーノは限界が来たのか、寝息を立て始めている。
「…よくわかんない人…?」
孫の健やかな寝息と天使のような可愛らしい寝顔を眺めながら、秘書が呼びに来るまで、当主は眉間に皺を寄せて暫くの間考え込む羽目になったのだった。
fin.
作品名:Family complex -怪我をした日- 作家名:青乃まち