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Family complex -怪我をした日-

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おまけ2








「おう、お帰り」
「ただいま、兄さん」
フェリシアーノを送ってルートヴィッヒが戻ると、ギルベルトは居間でテレビを見ていた。
迎えに出てくれた菊は、お茶を淹れてきますねと言って台所だ。
「なあ、さっきのお前の友達か?」
ルートヴィッヒが卓に座ると、ギルベルトはにやにやと笑いながら身を寄せてそう尋ねてくる。
「そうだけど、どうしてだ?」
家に連れて来るのだから、友達なのは当たり前だ。
ルートヴィッヒが首を傾げると、ギルベルトは尚もにやにやとしながら肩に腕を回してきた。
「おい、お前もやるじゃねえか、かわいい子だったな!」
…なんだ、そういうことか。
すぐに合点のいったルートヴィッヒは思わずため息をついた。
「…兄さん、フェリシアーノは男だぞ」
そう言うと、ギルベルトは「は!?」と素っ頓狂な声を上げて目を丸くする。
その時、ガシャンという音と「熱ッ!」という声がして、何事かとそちらを見れば、テーブルの上で菊が運んで来たのだろう湯のみをひっくり返している。
「お、男…?」
「なんとまあ…」
ギルベルトだけでなく、どうやら菊まで勘違いをしていたらしい。彼は誤摩化すように笑いながら、「布巾、ふきん」と言って台所へ行った。
ルートヴィッヒは苦笑した。
フェリシアーノは顔も女の子みたいだし、性格もあんな感じなのでいつも女子に間違われるのだ。しかも、本人がそれをあまり気にしていないのか一向に変わる気配がないから、いつもルートヴィッヒが誤解される羽目になる。
最近ではもう馴れきったのか諦めがついているが、まさかうちの大人達まで間違うとは思わなかった。
「マジかよ…」
ギルベルトはよほどショックだったようで、顔を引きつらせている。
「あんな可愛い子が…いや、信じらんねえ」
ぶつぶつ言う声を後ろで聞きながら、ルートヴィッヒは菊から布巾を受け取ると、一緒にテーブルを拭いた。