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エースコンバット レイム・デュ・シュバリエール

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 少しして、落ち着いてきたところでアイツはハグをやめ、あたしの顔を見た。
「……ありがとう」
 はにかんだその顔は、とてもいい顔だった。この純粋さも、アイツの強さなんだろうね。
 しかし、今言ったのはあくまでもあたしの気持ち。
「言っとくけど、まだ決定じゃないんだよ? ほら、そこでニヤついてないで、オヤジ共もなんとか言いなよ」
 そう言って、あたしはちょっと腹立たしい目つきで見ている三人に意見を求める。見世物じゃあないんだよ、あたしらは。
「俺様に決定権はないぜ。オーナーに聞きな」
「バートレットに同じく。私はただの整備士さ」
「俺は元々引き入れるつもりだった」
 だが、返ってくるのはそんな答え……始めっからあたし次第だったようだね。
「なんだい、大人がそんなんでいいのかい? ていうか、人事はどう言っているのさ?」
 そういや人事のことはまだ聞いていなかったと質問するが、おっちゃんがすぐさま返答する。
「人事にはしっかりと伝えてある。飛んでいるところも見てもらった。あとはモニカ、お前の返答だけさ」
「それに、おめえだってもうそろそろ一人前ならなきゃな」
 そして教官から以外な返答。あたし自身の成長を見てくれていたと思うと、ちょっと照れくさい。調子狂うよね。
「な、なんだい、そりゃ」
「……チャッティ、顔赤い」
「う、うるさいなぁ」
 アイツもクスクスと笑っている。参ったねこりゃ。
 参ったから、ここは場の空気を変える必要があるね。あたしは大きく「……よし!」と言って、アイツに向き直った。
「まあ、なんだ。そういうことなんだけど、それついでに、あたしが認めたついでに頼まれてほしいことがあるんだ」
 そして、あたしは右手をアイツに差し出す。
「え?」
「あたしはモニカ・ドウモト。これからあたしが本当に一人前になるために……いや、成功をつかむためかな? とにかく、お前さんとなら成し遂げられると思うんだ」
「……!」
「お前さんの名前を教えてくれ、『相棒(バディ)』」
 ただのひよっ子のお嬢様だと思っていたから、名前なんてどうでもいいと思っていたからね。これから一緒にやっていくんだ。名前を知らないとやっていけん。
 ……しかし、その場のノリとは言え、今思うとちょいと恥ずかしいねこの言い回し。
 けれど、それを聞いたアイツはこっちの目をしっかり見て、その手を強く取ってくれたのさ。
 そして一言。アイツは名前。
「ラヴィ……ラヴィ・M(マクドネル)・ダグラス!」
 それが、アイツ……ラヴィと、あたしモニカの馴れ初め。ここから全て始まったのさ。