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エースコンバット レイム・デュ・シュバリエール

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第1話『リボンの子犬』


 2072年、それは混迷を極める年だった。
 予てから地球との衝突が予測されていた小惑星ユリシーズ、これが地球に最も近づく年だったんだ。
 無論、対策は講じられた。大掛かりな砲台を建造、地球上から宇宙空間にある石っころをぶっ壊してそれで万事解決……だがそれで終わるはずもなかった。
 最初の一発で隕石はバラバラになった。大きめの破片も撃ち漏らさずに粉々になるはずだった。
そう。不測の事態というものは必ず起こり得るものなんだよね。あの日、この目でテレビ中継を見て度肝を抜かれたよ。
 世界の中心とも言える我が国、オーシア連邦国の都市機能はほぼ壊滅。ただ一個の破片、破壊するタイミングが少しずれただけでこの有様だ。
 星屑が降り注ぎ、首都は穴ぼこ状態になってしまった。
 ビルが倒れ大勢の人が命を落とし、ハイウェイ諸共インフラは機能しなくなり、とにかく大混乱だった。
 ……うん。あの日は本当に世界が終わってしまったんじゃないかと錯覚するような日だったね。

 ――そして、その三年後の2075年。こんなになっても世界の中心で在り続けられるってのは、やっぱり核大量保有国の強みなのかねぇ。
 オーシアは、国連と多国籍企業体『ゼネラルリソース』の全面協力により最低限の復興をなんとか成した。これから元の勢いを取り戻すぞ、というようなコマーシャルが国中で流され続けてたね。
 皆、復興への光を見て活き活きとしていた。人間の心ってのは希望の光があるといくらでも強くあれるんだ。

 ……え?なんでそんなこと話すのかって?
 物語の始めってのはこういうものだろう。ちょっとはさ、皆に状況知ってもらわなきゃいけないし?
 あの戦争を知らない奴なんていないと思うけど、二年前だしね。
 雰囲気だよ雰囲気。そっちの方が数字も稼げるんじゃあないかい?
 ……あー、はいはい。長ったらしいのは良いから、あたしとアイツの馴れ初めからってね。分かったよ。