願い
体に伝う冷たいものを感じ、目を覚ました。うつ伏せになって寝ていたようで、体を起こして最初に見えた地面は、先程の荒廃した「クライシスシティ」と同じくボロボロだった。
──ただ違うのが、雨が降っているということ。あの街は、色々な所が永遠と燃えており、雨が降る気配も全くなかった。
「……晴れてるのに、雨が降るのか?」
そう、ここは晴れていた。雲1つ無く。先程まであんな所に居たからか慣れないが、あれからどれだけ経ったのだろう?
道路を歩いていると、あの高層ビルが見えた。急いで近寄ってみても、何の変化もない。しかし、またそこに「オレ」が居た。
「……アンタか」
オレが話し掛けるより先に彼は気付いた。振り向きながら喋る彼の表情は憂いに満ちていて、何かがあったということがすぐに理解できる。
「何かあったのか?」
彼は答えなかった。彼の視線は青い空に向いていて、降り注ぐ雨とオレにはなんの興味もないみたいだった。
雨が強まってきた所で、彼は口を開いた。
「……アンタは多分、別の世界から来たオレだろ?」
「……ああ、そうだと思う」
「つまり、ブレイズも居るんだよな?」
「……そうだけど?」
突然ブレイズが話題に上がり驚いたが、オレのその一言で彼の表情は安堵に変わった。
そして、重い口を開けた。
「……仲間を犠牲にするなんてこと、アンタにはして欲しくないから」
「……?」
「だからさ。──気をつけろよ」
その一言で悟った。彼は、仲間────否、アイツを犠牲にしてしまったのだと。
「──わかった。だからさ……泣くなよ」
亡くした瞬間を思い出したのか、彼は泣いていた。声を殺して。