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【可哀想なロンシリーズ】ごめんね、ロン その1

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3章 ホグワーツ特急





ついに、ホグワーツへ行く日が来た。
トランクに教科書や制服を詰めた。
お下がりで、ボロボロな物ばかり。
泣きたくなったが、同じ部屋にジニーがいるから我慢した。
妹に、弱い自分を見せたくなかった。
グッと堪えた涙。
ティッシュで鼻をかむ振りをして、目を拭った。
ロン!と兄に呼ばれ、下に降りた。
「これ、ママが持ってけって。サンドイッチ。お昼かな。」
ロンが嫌いな食べ物。
モリーは、ロンが嫌いな食べ物まで把握出来なかった。
まぁ、一回しか言わなかったロンもロンだが。
無言で受け取り、また部屋に戻った。

サンドイッチは適当に詰めた。
潰れてもいい。どうせ食べないから。
詰め終わったトランクを見て、惨めになった。
杖さえもお下がり。
スキャバーズだって譲って貰えるはず立ったのに死んじゃった。
自分の物なんて、下着ぐらいだろう。
靴下だってお下がり。
穴が空いたらくつろう。
くつろわれたものが、下がってくる。
すっごく嫌だった。
この靴も、フレッドだったかジョージだったかがすぐに履けなくなったからって、ロンの物になった。
ジニーは新しいものばかりなのに。

だけど、魔法薬学の教科書だけ、新しかった。
フレッドとジョージが汚したから。
嬉しくて嬉しくてたまらなかった。
あの男の本がおもしろかったから、この教科書も、面白かった。
暗記できるぐらいには読んだ。
あの本に書いてあった訂正も、思い出せる限り書いた。
あまり羊皮紙に、忘れないうちに沢山書き出した。
その羊皮紙は、ポケットに入れて、トランクを下に持っていった。
ジニーが邪魔そうな顔をしたから。
「おお、もう出来たか。車に乗せとくな。」
父のアーサーがロンのトランクを見ると、さっさと持っていってしまった。
「待って!やっぱり、これは出しとく。どうせすぐ読むから。」
積み込まれる前に、魔法薬学の教科書を出した。
「忘れないようにな」
またすぐにトランクはロンの前から消えた。
これでいい、はずなのだ。