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3代目キセノン
3代目キセノン
novelistID. 65653
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STAR TREK TRAVELER

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 ポレックはブリッジに戻っていた。副長は黙ったまま動かなくなっていた。
「私が奴の動きをデータ的に封じ込んでいる。今のうちに何とかしろ。いつまで持つかわからんぞ」
トラベラーは歯を食いしばっていた。ナカタはポレックにトラベラー以外のデータの特定を急がせていた。
「ホロであろうとも、押さえつければ、多少は気が済むといものだ」
ロムガが副長に飛びかかるが、体を通り過ぎて床に落ちる。副長をつかむことはできなかった。
「ロムガ少尉、無駄なことはしない方が良いのではないか」
ポレックは、科学士官コンソールのモニターから、ほとんど目を離さずに言っている。
「多少は気が済んだわ」
ロムガは自分の席に座った。

 「艦長、ハイブリッドAI内にある侵入した新規データをマークアップすることに成功しました」
「主スクリーンに出してくれ」
ナカタは艦長席から立ち上がる。
「ロムガは無駄が多いが、ポレックのキャラクターは使えるな」
トラベラーはポレックを見ている。
「ポレック、新規データを消去しろ」
ナカタが叫ぶと、副長は青白い顔になる。
 主スクリーンいっぱいに表示されていたデータ表示アイコンが、次々に消えていく。10×10のマトリックスが半分以上消えると、副長の姿が揺らぎ消え始めた。
「やめろ、あぁ」
副長は声が途切れていく。
「私のデータは消すなよ」
トラベラーは心配そうになる。
「あんたが、いくなっては今の所困るからな。ポレック注意してくれ」
「艦長、完了しました」
ポレックが言うと、主スクリーン上のマトリックスは全てなくなっていた。

 ワープからインパルス推進に切り替えた『アトカ』は、火星ような惑星にゆっくりと近づいていく。周回軌道に入り、地表をスキャンしていた。

 ブリッジにはナカタ、ロムガ、バーンズ、トラベラーが主スクリーンを見ている。スクリーンには、洞窟のよう場所が映っている。
「ポレック、モバイルエミッターの調子は良さそうだな」 
ナカタは無線を通じて呼びかけていた。
「今の所は、問題がないようです。今後、モバイルエミッター使えるようになれば、艦長だけが惑星降下しなくて済みます」
ポレックは喋りながら歩いている。
「空気がない所を宇宙服なしで歩けるんだから、便利だよな」
「ホログラムですから、当然のことです。特に驚きには当たりません」
「ポレック、もうその辺りが高エネルギーの発信源になるはずだ。カメラを回してくれ」
トラベラーは主スクリーンを食い入るように見ている。
「エネルギー生命体がいるのかな」
ナカタ、カメラが捉えている映像をくまなく見る。
「ポレック、その先に何かある近づいてくれ」
トラベラーが指示を出す。
「了…」
通信が途切れ、主スクリーンがノイズだけになった。
「ポレック。どうした大丈夫か」
ナカタが呼びかけるが、通信は途切れたままであった。
「ポレックの安否が気になる」
「艦長、安否など気にするな。あれはホロだ。艦内でまた再生できる」
「いや、せっかく作ったモバイルエミッターに問題があったのかもれないし、何者かいたのかもしれない。ここは俺が行くしかないだろう」
「確かにモバイルエミッターの回収は必要だな」

 ナカタは宇宙服を着て洞窟内を歩いている。
「どうやら、これは溶岩流が流れた跡らしい。人工物ではないな」
「艦長、そろそろポレックが消息を絶った辺りだぞ。カメラをゆっくりとパーンさせてくれ」
「わかった。これでどうだ。トラベラー何かわかったか」
「そのまま、真っ直ぐ歩けそうか」
「あ、モバイルエミッターが落ちている」
ナカタはモバイルエミッターを拾上げるとカメラの前に持ってくる。
「使えそうか」
「全然、無傷だ。それにポレックと違って、生身の俺は、どんどん奥へ進めるぞ」」
「艦長、お前は今、エネルギー波の発信源のすぐそばにいるはずだ」
「そう言われてもな。それらしいものは見当たらない」
ナカタは、宇宙服の照明を広角にしていた。

 「何か小さな箱のようなものがある。これが多分発信源だな。これを持ち帰って分析しよう。トラベラー、転送してくれ」
「わかった」
「どうした」
転送されるのを待っていたナカタは、通信機で呼びかける。
「出来んのだ。転送ビームが到達できない」
「出来ないだと、ポレックのモバイルエミッターが落ちていた所の外まで戻ってみる」
ナカタは、小箱を持って、軽くジャンプしながら戻っていく。
 ナカタはモバイルエミッターが落ちていた付近まで来ると、透明の壁のようなものにぶつかり、弾き飛ばされた。
「トラベラー、何らかのフィールド内に閉じ込められたようだ。出られない」
「ん…」
「トラベラー、あんたのテクノロジーで何とかならないのか」
「残念ながら無理だ」
「本当はできるのに、やらない気か」
「バカな。身体を持つ生命体のお前がいなくなることは、私にとって致命的なことになる。待て、考えさせろ」
「ここで、50年ぐらい待つのかい」
ナカタは手にしている小箱を放り投げる。ナカタは、洞窟内を見回す。急に恐ろしさを感じたナカタ。
「こんな所に閉じ込められるなら、フィールドに思いっきりぶつかって死んだ方がマシだぜ」
ナカタは、走り出しフィールドに向かってジャンプする。ナカタは、そのまま、通り過ぎるこの惑星の弱い重力によって、数メートル先にゆっくりと着地した。ナカタはさっきまで小箱を手にしていた手を見ている。
 「トラベラー、あの小箱を手放したら、フィールドの外に出られた」
「艦長、今なら転送できるぞ」
トラベラーが言い終える途中で転送が開始された。

 艦内の科学部の分析室に、ナカタ、トラベラー、ポレックがいた。3人の前にある分析台には、カメラとトリコーダーで記録したデータを元に作られた小箱が置いてあった。
「これは、救難信号ポッドの可能性がきわめて高いと言えます」
ポレックは小箱を指さしている。
「誰のものか特定できるか」
トラべらーは、ポレックに向き直っている。
「それは無理です」
「とにかく我々以外にも捉われた者がいっぱいいるんだろう」
ナカタは小箱を見つめていた。
「あのフィールドの組成はわかるのか」
「トラベラー、それはあなたの方が詳しいのではありませんか」
ポレックに言われたトラベラーは、黙っている。
ナカタは、トラベラーとポレックがホロ同士のはずなのに、気まづい雰囲気があるように見えた。
「俺を閉じ込めたフィールドも込みの救難ポッドってところか」
「そうでしょう。フィールド内から持ち出せないようになっているようです」
「あのフィールドはポレックを消してしまったら、一時はびっくりしたよ」
「驚く必要はありません。あれはホロですから」
「そうは言ってもなぁ。あんたら、やっぱり人間の感受性に乏しいな」
ナカタはトラベラーとポレックを交互に見ていた。
「それよりも艦長、ブラウン少佐の発案によるモバイルエミッターは使えそうです」
「他所の船で誰かが発案しているかもしれないぜ」
「それはわかりませんが、私以外のモバイルエミッターも作った方が良いと思います」
「また消えてしまうのは怖いか」
「艦長、それは論理的ではない」
ポレックは、肩眉を軽く上げていた。
作品名:STAR TREK TRAVELER 作家名:3代目キセノン