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ファラジ

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「半月ぶりにこちらに来てみれば、この必要以上のアムロ・レイ勧誘依頼の多さはどうした事かな?」
シャアは、欧州の本社と支社を巡って会議と訓示を述べて来たのだが、シリコンバレーの支社長に机の上に山と置かれている書類の束に吃驚したのち、その頂上を叩きながら問いかけた・・・と言うより詰問した。
「はぁ・・・・・・」
「はぁ、じゃ説明になっていないのだが?」
「え〜〜、実にお腹立ちの事と理解いたしておりますが、防犯システムの開発部並びに研究部門が自分達の新たな発想を現実化する為には、ど〜〜〜〜〜っしても彼の協力が必要不可欠であると強く、つよ〜〜〜〜〜〜〜〜っく言い募っておりまして、この書類の束は全てその件を延々と述べているものです」
そう返答を返した支社長の顔には、半月前には無かった隈が色濃く浮き出ているし、言葉の端々にこの件に対しての疲労困憊と苛立ちが見られる。
「何故これ程に?」
「開発部と研究部門が出してきた新しい開発の構想を、上層部が鼻にもかけない扱いをしてきた結果だとの主張です」
「その主張と、私が交渉を続けているアムロ・レイとが、どこをどうして繋がったと言うのかね」
「存じ上げませんっ! 研究オタクのネットワークで繋がりでもしたのではないですか?!
私では対応しきれません!社長御自らお話をして頂きたく、強く希望するものであります!!」
支社長はまるで政治家が街頭演説でもするかのような言葉で締めくくり、心底疲れ果てた様子で自分の椅子に座り込んでしまった。
これほどに疲れ果てた彼を目にしたことが無いシャアは、この書類の山を作り出した人物に会う事に気後れを生じたのだった。



 「で?君達が?」
「「はいっ!」」
CEOに呼び出されたにしては緊張が無い青年二人は、見事に声を合わせて返事を返す。それに対して、シャアは心の中で体を後方へ引っ込めた。
「この嘆願書と言うか、新開発の企画書と言うかを書き記したのは我々です」
「新開発の要になるのは、型破りな発想が可能なアムロ・レイさんの参加である事は、疑いようのない事実です」
「ですから、どうあっても、彼を参加させて下さい」
「ってか、参加させろ!!」
「カミーユ! 拳を固めるなっ!!」
「おっと、ヤバイヤバイ;」
人のよさそうな青年−ジュドー・アーシタ−が血気盛んな雰囲気のカミーユ・ビダンを、暴れ馬を宥めるかの様に抑えている。

(この異常なまでの熱の籠め様は何なのだろう。何がこれ程までに彼らを夢中にさせた?)
シャアは意味が解らず戸惑いを隠せなかった。だが、解らないなら素直に訊けば良いと(『訊くは一時の恥、知らぬは一生の恥』との言葉を日本人から聞かされていたので)考えているシャアは、その思いを口にした。
その点において、シャアは経営者として柔軟性を持っていると言えよう。
「彼を傘下に収めたいとは、私自身も以前から強く抱いている思いだがね。何故君達がそれ程に熱心に彼を引き込みたいと思ったのか、聞かせて貰えるかね」

シャアは年上の余裕を装ってそう訊ねたのだが、後から考えればそれは間違いだった。
彼はその後一時間に及ぶ、開発オタクによる、開発オタクの為の勧誘の必要性と言う解説を、有無も言わさぬプレゼンテーションと言う名の拘束で味わう憂き目に遭ったのだから。
作品名:ファラジ 作家名:まお