二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ファラジ

INDEX|12ページ/13ページ|

次のページ前のページ
 


 「アムロ君。まことにすまないが、近日中に当社の開発部門の協賛研究所となって貰いたい」
久々に訪れたアムロの研究所兼会社のホワイトベース研究所で、シャアは初めて歯に衣を着せないストレートな要請を告げた。
日本式の上半身を折り曲げた挨拶までつけて。
アムロは一瞬目を瞠ったが、直ぐに破顔した。
「貴方も彼らの勢いに根負けしたって事かな?」
今まで聞いたことの無いアムロの明るい声に、シャアは下げていた頭をソロリと持ち上げた。
そこには、木漏れ日の様な笑顔があった。
大きな目が少し細められ柔らかな視線となり、口角が大きく上がっている。その表情と醸し出す雰囲気に、シャアの胸のあたりがギュゥゥッと締め付けられるように感じた。
(心臓の血管に不健康な部分はない筈だが・・・)
シャアは己の中に生じた『恋心』を正しく認識出来ていなかった故に、首をかしげるだけに留まってしまう。
「ん? どうした?」
胸元を抑えて首をかしげて黙り込むシャアの様子に、アムロは体調不良でも生じたかと焦りを感じた。
「体調が優れないのか? CEOは忙しいだろうから」
「いや、別に健康面に問題は無い、筈だ。健康診断でもオールAを貰っているからな」
「ならいいが・・・」
座れよとアムロが手振りをした為、シャアは素直にパイプ椅子に腰を下ろした。
しかし、そのシャアが再び立ち上がる事になる爆弾を、アムロはさりげなく口にする。

「彼らと話をしてみて、新しい開発に理解と賛同を得られない悔しさが肌身に染みてる身としては、協力をしてあげたいと思うよ。知識は分け合わないとな」
「・・・・・・・・・・ぇ?・・・・・ええぇっ!?」

パイプ椅子がシャアの立ち上がる勢いに耐え切れず後方へひっくり返って大きな音を立てた。
だが、そんな些末にこだわってる場合ではないシャアは、アムロの手を両手で握りしめる様にすると、己の方へと引き寄せた。
「ほんとうかね? 本当に! 協力をしてくれると??」
引っ張られて上半身を伸ばされた苦しい姿勢ながらも、アムロは頷きを返す。
「俺の発想が、あがき続ける後進の助けになるなら」
「ありがたい! 感謝に堪えないよ!!」
シャアは涙を浮かべんばかりに喜んだ。その表情を見て、アムロが大笑いする。
「ほんと、彼らの押しの強さが堪えたみたいだな。そんな貴方は初めて見た。笑える。これから嫌な事があったら、彼らに協力してもらって貴方を追い詰める事にしよう」
「頼むから止めてくれ! あんな思いは一度で十分だよ」
胸郭に収まってる空気をすべて吐き出す勢いでのため息に、アムロの笑いは止まらなかった。

 こうして、ダイクン社の防犯システムの向上は他社の追従を観ない程に進み、世界シェアTOPに躍り出る事になり、同時に、アムロの開発している可動性義肢の課題も解決が早くなった。
作品名:ファラジ 作家名:まお