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On s'en va ~さぁ、行こう!~ 後編

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「やっとカミュを返してくれる気になったのか?」
『馬鹿か!』と叫び出したいのを堪え、煙草の灰を潮風に流しつつ、感情を殺した声でシュラは告げた。
「ミロ、俺と賭けをしろ」
「賭け?」
青い瞳が、訝しさで陰る。シュラは無表情で淡々と、
「そうだ。『カフェ・ド・パリ』にアメリカン・ルーレットがある。そこで俺と勝負しようと言っているのだ。素手で貴様を半殺しにしてやりたいのが本音だが、聖闘士の間では私闘は禁止だからな。穏便にルーレットで勝負を付けてやる」
「面白い!」
夜の闇の中で、輝くコートダジュールの瞳。
ネオンの光を浴びて、緩やかに燃える黄金の髪。
「面白いな、受けて立とうじゃないか。体術じゃ負けるかも知れないが、ルーレットでならボコボコにしてやるからな」
「そうか。では俺が勝ったら、お前の為に掛かった経費…お前の給料の約二ヶ月分程度だな…をキャッシュで即座に支払ってもらった上、反省の意を見せてもらうために『丸刈り』になってもらおうか。とどめに、夜間は天蠍宮から上の宮に行く事を止めてもらう」
シオンは夕方には自宅の白羊宮に帰ってしまうため、夜間は教皇からの呼び出しもない。
もし何かあっても、ミロの一つ上の宮には時期教皇のアイオロスが控えている人馬宮がある。
トラブルは彼が処理する事であろう。
そう。よほどの事がない限り、ミロは天蠍宮より上に行く必要はないのだ。
他の人間なら痛くも痒くもない条件なのだが、カミュと夜通し遊びたいミロにとってはかなりきつい。
けれどもミロは悪戯を仕掛けた子供のように笑うと、
「その程度でいいのか。なら…オレが勝ったら、カミュとこのモナコで豪遊させてもらう!その間の経費はシュラのクレジットカードで払う!」
「何故私が……」
こめかみを押さえるカミュ。
シュラとミロの勝負なのに、どうして自分が賭けの対象にならなくてはならないのだ。
カミュの視線の先でニコニコと満面の笑みを浮かべているミロ。
彼の頭の中では、サイコキネシスを駆使したイカサマ方法がいくつかシミュレートされていたのだ。
しかしその考えを察したのか、カミュがクールに一言。
「小宇宙やテレキネシスでのイカサマを行った場合…その場で負けとなるので、よく考えるようにな」
「………………」
「黄金聖闘士二人を目の前にして小宇宙でイカサマを行うのは、相当困難だろうと思うぞ」
カミュの言葉には、何の感情もこもっていない。ミロは声と頬をやや震わせると、
「い、イカサマなんかする訳ないだろう!?アテナの黄金聖闘士なんだぞ!!」
『する気だったな……』
カミュとシュラは、同時にため息を付いた。