オペラ座の廃人
「三日くらいで戻れるから、後をよろしく」
「うむ、気をつけて行ってくるがよいぞ」
地上に帰る前、オルフェはパンドラの元へ一応顔を出した。
パンドラはいつもにこやかに彼を送りだすが、理由は簡単で『欲しいお土産リスト』を渡しているからである。
リストを受け取ったオルフェは思い出したかのように、
「パンドラ、三巨頭と一緒に『トリスタンとイゾルテ』見に行くって聞いたけど」
「うむ、さすがに耳が早いな」
相当楽しみにしているのか、いつもは落ち着いている彼女が妙にうきうきしている。
そんなパンドラの気分を損ねないように、オルフェは慎重に話を切り出した。
「それなのだけど、ちょっと提案があるんだ・・・・・」