任務は道連れ・世は情け
「俺はどうしても納得できん」
「何がですか」
「やりかけの仕事を途中で投げ出すなど、男としてどうかと思うのだ」
また、男として、ですか。
そう毒付きたくなったムウだが、表面上はいつものもの柔らかな笑みを浮かべるだけに留めた。
「やりかけも何も、話が終了してしまったのですから、仕方のない話です。さっさとギリシャに帰りましょう。帰路はテレポートでいいですね?」
ムウは既に次に頭を切り替えている。
彼は白羊宮のハウスキーパー。戻って片付けなければならない家事が山のようにあるのだ。
だがアイオリアは、任務を中断されたのが相当お気に召さないらしく、
「途中で投げ出すのは……」
と不服そうに何度も言っているので、ムウはコートに袖を通しつつ、ぴしゃっと言ってやった。
「一度決まった事に対してぐずぐず言っている方が、男らしくありませんね。この任務は、途中経過はどうであれ終わったのですから」
アイオリアは、何も言い返せなかった。
作品名:任務は道連れ・世は情け 作家名:あまみ