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振り返れば奴がいる 後編

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50分の授業が終わり、星矢は廊下に移動したアイオリアの元へやって来る。
以下の会話は、全てギリシャ語である。
「アイオリア、つまらなくなかったか?」
アイオリアはギリシャ語以外は分からない。つまり、日本語も理解できない。
それを心配した星矢の言葉だったが、アイオリアは首を横に振る。
「いや、少年少女たちが懸命に何かに打ち込む姿は、言葉がわからなくても面白いものだぞ。お前も英語の勉強に励んでいただろう」
にっこりと微笑んでみせる。その光景に、周りの女子生徒や女性の保護者から黄色い声が上がった。
「どうした?何かあったのか?」
魔鈴に懸想はするが、それでもどこか木石なアイオリアには、彼女らの歓声の理由が分からないらしい。
星矢はニヤニヤ笑いを浮かべると、アイオリアの逞しい背中をポンポン叩いて、
「アイオリアはモテるなって話」
「俺がモテる?」
訝しそうに眉間に皺を寄せるアイオリア。
「むしろ俺は女性にモテなくて困っているのだが」
「いや、あんたが気付いていないだけだと思うぜ?」
「魔鈴からはいつも素気なく扱われているが」
「……魔鈴さんは特別だから」
苦笑いが、ついつい浮かぶ。
アイオリアが星矢の師匠に惚れているのは、聖域内ではわりと知られた話だ。
シャカがアイオリアから恋愛相談を受けているそうなのだが、あの『最も神に近い男』がどんな表情で人のコイバナに耳を傾けているのか、非常に興味深い。
「……あのさ」
「どうした、星矢」
「シャカって、アイオリアの恋愛話、ちゃんと聞いてくれるのか?」
その問いを受け、きょとんとした表情を浮かべるアイオリア。
「皆同じことを聞くのだな。シャカが俺の話を聞くのかと」
だろうな。
胸の中で星矢は呟く。
あのシャカが、このアイオリアと、まともに会話が成り立つということすら眉唾物なのに。
恋愛相談なんて、とてもではないができるとは思えない。
ところがアイオリアは真顔で、
「シャカは親身になって話を聞いてくれるぞ」
「……マジかよ」
ああ、この二人のコイバナの現場を覗いてみたい。
あのシャカがどんな顔でコイバナを聞いているのか、見てみたい。
……半ば、恐いもの見たさに近い感情であるが。