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章と旌 ( 第一章 第二章)

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平章は髪を束ねる革紐を解く。
「ほら、どの辺の髪か、検討はつくだろ?。私の髪は素直だから、すぐに見つかるぞ。」
もう、それを言われると、平旌はぐうの音も出ない。
「あー、、それを言われちゃうと、、、。えーっと、、、この辺だっけか、、、。」
しばらく探していたが、平旌はすぐに飽きがきてしまう。
「ほら、、ちゃんと探せよ。私は見つけるまで、ここを動かないからな。」
平旌に弄られる、髪の動きを感じていた。
ちらりと後ろに視線を向けると、額に皺を寄せて、真剣に探していた。
━━悪くは無いな。
何だか、ノミ取りする小猿に、見えなくもないが。━━
小さい頃の平旌は、自分の後ろを、いつも付いて回る小猿の様だった。
可愛らしい、自慢の弟だった。
大きくなって、思春期に入り、扱いが難しくなり、父と母を煩わせる。
平章自身は、そうではなかっただけに、少し平旌が羨ましくもあったが、、、、何せ平章は、考え方が父と似ていた。何一つ違(たか)わない。父は平章を認め、色々と任せてくれる。
平旌の思考は、父や平章以上に物事の大元(おおもと)を捉えていて、更に父や平章の、遥か遠い先を見ていた。
父は未だ、平旌の力量を測りかねていた。平章にさせたように、任せ切りにする事には、まだ踏ん切りがつかないのだ。
その上、父に反抗する。
━━私の前では、こんなに可愛いのにな。━━
平旌は、たった一本の白髪を探しきれず、難儀している。

探し続け、一時は諦めかけた、平旌の行方。
平章は半狂乱にもなりかけた。それが、まるで嘘のようだった。

白髪はまた見つからない。
本当は平旌の、見間違いかも知れないが。


ずっと平旌は、日が傾(かし)ぐまで、探し続けるかも知れないが、それでもいい。
またどこかに、平旌が消えてしまうのが怖くて、金陵への帰路の途中、弟を、少し弄ってやろうと思っていたのに、全く出来なかった。

反動だろうか、それとも安心したからか。
少し弟を困らせたい、そんなに兄の悪戯心。

━━いつもの長林王府に、戻ったのだ、、、。━━

しみじみと心に溢れてくる、ちりちりとした嬉しさを、ゆっくりと目を閉じ、平章は噛み締めていた。



(終)