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Fate/GO アナザーワールドインスクロース 1

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「ちょっと採集してみますか?」
『うん、ダメだよ。もしそこが本当にヘスペリデスの園だったら、ヘスペリデスとラドンが黙っちゃいないさ。いい、決して触ったりしたらいけないよ』
「わかりました。木に触れないように探索します」

俺たちは林檎の木に触れないように注意しながら奥へと進んでいく。
途中ヘスペリデスと名乗る妖精達が俺の髪を引っ張ったりマシュの胸に飛び付いたりしたが、アキレウスとアニキの一喝によって追い返した。

「少しやり過ぎじゃない? 彼女達、ただ遊んで欲しかっただけだと思うし……」
「いいや、これくらいじゃないと意味がない。それに、ヘスペリデスは本来3人から7人だと言われている。明らかにそれ以上いただろ」
「……そういえば、そうだね」

アキレウスに注意されながら進んで行くと、不意にアキレウスが立ち止まった。

「アキレウス?」
「しっ。マスターは動くな。クーフーリンと盾の嬢ちゃんはマスターを守りな」
「りょ、了解しました。オルテナウス起動しま……っ!」

マシュが盾を構えたと同時に、何かが盾にぶつかる音が鳴り響いた。
不意のことでよろめいたマシュを支えながら辺りを警戒する。

「ダ・ヴィンチちゃん!」
『上空のサーヴァントのせいで全然把握できないよ~!』
『こういうことなら観測気のアップグレードしておかないとですね。少々使い物にならないので、各々がたで対処してください。できるだけ早く終わらせますから』
「頼みました!」

周辺にサーヴァントがいるはずなんだけど、上空のサーヴァントのせいで反応が感知しにくい。
そう思っていると、今度は俺の後ろを守っていたアニキがなにかを弾いた音が聞こえた。
弾いた何かが俺の足元に転がってきたが、一瞬で光になって消えた。
だが、明らかにとある形を成していた。

(これは、矢、なのか? だとしたら、この攻撃はアーチャーによる狙撃だ。だったら……)
「みんな、撤退するよ!」
「了解しました、マスター!」
「おうよ!」
「ちっ、仕方ねえな!」

俺たちは狙撃を防ぎながら果樹園を駆け回る。
先ほど見つけた林檎の木のところまで行くと、声が聞こえた。

「相変わらず逃げ回るのは得意なんだね」
「……っ!」

その声に真っ先に反応したのは、アキレウスだった。
その顔はまるで強者を目の当たりにしたような、険しいものだった。

「……テメェは!」
「いくら人類最速を誇っていても、僕の矢からは逃げられない。いくら君が足掻こうとも、僕は絶対に倒せない。それが決まっている運命さ」

果樹園の奥から一人のサーヴァントが現れる。
ニット帽を被ったカジュアルな格好をしたら青年が、アーチェリーの弓を手にしていた。
彼のサーヴァントは魔力で生み出した矢をつがえ構えた。

「……さぁもう一度、僕に殺される時だよ、アキレウス」
「パリスっ!」

アキレウスは大声でその名を呼ぶと、脇目も振らずにパリスへと走り出した。

「ダメだ、アキレウス、戻ってこい!」

俺が静止を呼び掛けても、アキレウスは止まらずにパリスと戦闘を始めた。
パリス。
トロイア戦争の発端の原因を生み出した人物であり、そして、不死身を誇っていたアキレウスを討ち取ったギリシャ神話の英雄だ。

「パリスっ! テメェは俺が!」
「見苦しいよ、アキレウス。あの時も君は、瀕死になりながらもイリオスの軍勢を追いかけ回してたっけ? 何が原動力なんだい?」
「はっ、原動力? そんなもんはねぇ! あん時はお前を殺そうとしただけだ! それが母より与えられた使命! 与えられた宿命だ! それ以外何があるんだよ!」
「そうだね。君はそういう人だったね。かつての親の言葉を信じ、後先考えずに行動する。そういうところが、僕は嫌いだった。死んだら治るかと思ったけど、意味がなかったようだ。 ……それなら、殺してあげるよ、何度でも。 ……第一の女神よ、貴女を認めます」

パリスはアキレウスからさらに距離をとると、弓を引き絞った。

「第一宝具解放『女神の選択・破(トゥリーア・トゥワンズィ・ポフアィ)』!」

限界まで引き絞った弓から放たれた一撃は、アキレウス……ではなく俺に向かってきた。
マシュがとっさに俺の前に立ち塞がり、盾を構えた。
だがしかし、宝具を完全に受け止めたものの、先程までとは威力が高く、俺とマシュはその衝撃で果樹園の外へと、そして、空中庭園から弾き飛ばされてしまった。

「っ! センパイ!」
「マシュ!」

空中でなんとかマシュの手を掴もうとするが、なかなか掴むことができず、やがて離れていってしまう。
地面が猛スピードで近づいてくる!

(くそっ! ここまでか!)

俺は地面に衝突するまであと数十メートルのところで目をつむった。
そして……

「………!」

……いつまでたっても地面に衝突する気配がない。
それどころか感じていた落下している感覚もいつの間にか感じなくなっていた。
恐る恐る目を開くと、鼻先数センチってところで止まっていた。
一体、何が……
すると突然、俺の後ろから男性の声がした。

「どのような法則で空にある大岩が浮いているのか考察していたが、思わぬ出来事が起こったな」
「……あの、えっと……」
「……なにも言うな。無駄な話は嫌いでね。とにかく、何があったのか説明してもらおうか」

体がゆっくりと地面に向かって降りていくと、俺は後ろを振り向いてみた。
そこには眼鏡をかけた成人男性がいた。

「あ、貴方は?」
「俺か? ……俺はこの世界に呼ばれたキャスターだ。さて、何があったのか説明してもらえるか?」

その男性、キャスターは眼鏡をくいっとかけ直した。

◆◇◆◇◆◇

第4部 ゼログラビティ

そのサーヴァントは仏頂面で俺を見つめると、空中庭園の方を向いた。
マシュが俺の近くに着地してすぐに俺の介抱をする。

「大丈夫ですかセンパイ! お怪我は!」
「あ、ああ、大丈夫だよマシュ。あのサーヴァントが助けてくれたんだ」
「サーヴァント、ですか……あの、マスターを助けていただき……」
「うるさい。時間の無駄だ。礼を言うなら勝手にしろ」
「あっ……はい、スミマセンでした……」

明らかにショックを受けて、泣きそうになっているマシュをなだめながら俺はキャスターに訪ねてみる。

「あの、あなたは何をしてるんですか?」
「………」
「あの……」
「………」

……ふう、やれやれ、完全無視を決められてしまったらなす術がない。
一旦このサーヴァントを後回しにして、アニキ達を呼び戻さないとな。

「お~い! 二人とも~! 戻ってこ~い!」
「マスターが呼んでますよ~! 戻ってきて下さ~い!」

空中庭園に向けて大声で叫んでみるが、二人とも姿すら見せてくれない。
恐らくパリスとの戦闘がまだ続いているのだろう。

「……はあ、戻るにしたって、この高さじゃなぁ……」
「さすがにセンパイを抱えて飛び乗ることも出来なさそうです」
『高度は軽く1000を越えてるからね。いくらデミサーヴァントでも、この高さは難しいね』