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Fate/GO アナザーワールドインスクロース 1

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さて、どうしたらいいかを考えていると、キャスターが口を開いた。

「あの空中庭園には何があった?」
「え?」
「……質問に答えろ。何があった?」
「え、えっと、古代の建物と森と、黄金の林檎の果樹園がありました」
「……興味深いな。確認してこよう」

そう言ってキャスターは、フワリと浮かび上がった。

「え? 宙に、浮かんだ? ダ・ヴィンチさん、これって―」
『恐らく反重力の魔術だね。時計塔の優秀な魔術師ですら習得することもままならなかった、高等な魔術だ』

反重力の魔術を使用するキャスター。
そうだとわかった瞬間、俺はあることを閃いた。

「あの! よかったら俺たちも一緒に連れていってください!」
「……何故だ?」
「大切な仲間がいるんです。彼らを見殺しにしたくないんです!」
「………」

キャスターはしばらく俺の顔をじっと見ると、手をくいっと上に上げた。
すると、体がゆっくりと地面から離れ、宙に浮き出した。
マシュも同じように宙に浮かび、俺の腕をしっかりと掴んでいた。

「キャスター……」
「いいだろう。連れていってやる」

キャスターはぶっきらぼうにそういうと、すぐさま空中庭園に向けて上昇を開始した。
それに合わせて俺たちも自然と上に上がっていく。
数分もしないうちに最初に到着したところにたどり着くと、激しい戦闘音が聞こえていた。

「さっさと行ってやれ。俺はしばらくここで疑問の解明に勤しんでいる」
「ありがとう、キャスター」
「ありがとうございます、キャスターさん」

俺たちはキャスターに礼を述べ、すぐさまアキレウス達と合流するために果樹園に向かって走り出した。
戦闘音がする方に向かっていくと、やがて状況が明らかになっていった。
武器を構えながら肩で息をするアキレウスとクーフーリン。
その二人に相対するように立っているパリス。
どうやら2対1で戦闘を行っていたが、あの様子だといいようにパリスに弄ばれていたのだろう。
二人の顔に余裕は見られなかった。

「おや、ずいぶんと戻ってくるのが早かったね。途中でペガサスでも手懐けたのかな?」
「残念ながら違います。サーヴァントに助けてもらいました」
「サーヴァント? ……そっか、あの哲学者と義賊か……」

哲学者と義賊?
哲学者って、さっきのキャスターのことか?
それと義賊って……もしかして、仲間になりそうなはぐれサーヴァントのことか?

「まあ、そんな事はどうでもいいさ。女王様の願いの成就のため、君らは少々邪魔だ。消えてもらうよ」

パリスはアキレウス達を無視して俺に照準を合わせて弓を構える。
すぐさまマシュが間に入り盾を構えると、矢が盾に当たる音がした。

「くっ! 反応速度がギリギリです! あの矢は明らかに音速以上の速度が出ていると推測します!」
「さすがに何度も放っていると分かっちゃうか。だけど、それがどうしたっていうんだい? 音速を越える矢を放つ事が分かっても、君らはそれをどうにかする術はない。ただ大人しく射られるのを怯えながら待つだけさ」

確かに、パリスの言うとおりだ。
いくら正体を見破ったからって、今すぐ対処できるとは限らない。
ここは潔く撤退するのが良いと判断するけど……彼に因縁のあるアキレウスがどうするかだ。
俺はアキレウスの方をちらりと向くと、彼は悔しそうに顔を歪ませていた。

「……マスター、引くぞ!」
「……わかった! 全員、撤退!」

すぐさまアキレウスとクーフーリンは俺の元に集うと俺を守るように走り出した。
殿を勤めるマシュはパリスの追撃を警戒しながら撤退をする。
だがしかし、パリスは追撃をしてこなかった。
それどころか、状況を確認するために後ろを振り向くと、微笑みながら手を振っていた。

「今回は見逃してあげるよ。だけど、次は無いからね」
「……ちっ!」

アキレウスは悔しそうに舌打ちをした。
俺たちはキャスターと別れた場所まで撤退すると、一先ず状況を整理するとこにした。

『お疲れ様だね。ろくにアドバイスも出来なくてごめんね』
「いえ、こっちもいっぱいいっぱいでしたから、たぶん聞いてる暇なんてなかったと思います」
『そっか、それを聞いて安心したよ。それじゃ早速、何があったのかを簡単にまとめてみよう。ずっと無口を貫いているホームズ君も、ちゃんと参加するように』
『わかっていますよ』
「まず判明しているのが、ここはヘスペリデスの園であること。そして、敵対しているサーヴァントの真名がパリスであることです」

ヘラの果樹園がある場所がヘスペリデスの園。
俺たちが見た黄金の林檎の木が、その事の証明になっているので、その認識で良いと思われる。
そしてその果樹園を守っているのが、アキレウスを討ち取ったギリシャ神話の英雄パリス。
ここに来てようやくギリシャらしいところが出てきた。

『まあ、まだわからない疑問はある。上空の女神系サーヴァントは何者か。エリザベス女王はどこにいるのか。そして『虚栄の空中庭園(ハンギングガーデンズ・オブ・バビロン)』、その宝具の所有者であるセミラミスはどこにいるのか』
『う~ん……謎は多いね』

ダ・ヴィンチちゃんがそう言ってため息をついた。

「何を言う。疑問は多ければ多いほど良いものだろ」
「え? キャスターさん?」
『やあやあ、挨拶が遅れたね。私は世界一の天才、ダ・ヴィンチちゃんだよ。よろしくね、キャスター君』
「……何故女の幼子の姿をしているのだ? 俺の知っているダ・ヴィンチとは老齢の男性だろ?」
『ふっふっふ~、それはね~……』
「……いや、たいしたことのない下らない質問だった。忘れてくれ」
『(ガーン!)』

キャスターはダ・ヴィンチちゃんとの話を切り上げると、俺の方を向いた。

「さて、お前はなんて名だ?」
「俺? 俺は藤丸立花。カルデアのマスターです」
「ふむ、なるほど」

キャスターは俺の名前を聞いただけで、なにやら考え事を始めた。
……なんだか調子が狂うな……

「あの、キャスター。よかったら、この特異点の修復のために力を貸してくれませんか? この世界の歴史が間違った方向に向かっているんです。それを直すために……」
「この世界に呼ばれて数日が過ぎた。その間にいろいろな国を見てきたが、どこも皆幸せそうに暮らしていた。多少のいざこざや喧嘩、殺人事件は起こっていたが、俺の目から見た限りでは平和だと、そう感じた」

そこまで言ってキャスターは俺を見つめ、そして言い切った。

「お前は、この平和な世界を正しい歴史、つまりトロイア戦争をもう一度起こそうと言うのか?」
「っ! ……それは……」

確かに、街に行商をしに来たという人にしか話は聞いていなかったが、自由に暮らしていたと思われる。
間違った世界だと頭で理解はしているが、実際目の当たりにすると、戦争が起こった正しい歴史の方が間違っているようにも感じてしまう。

「………」

それでも、俺は……