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Fate/GO アナザーワールドインスクロース 1

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「正しい歴史とか間違った歴史とかを何度も目の当たりにしてきた。その度にその国の聖杯の持ち主と戦って、間違った世界を正しい歴史に戻していった。今回も、同じようにするだけだ。例えそれが、心の傷になることでも、俺はそれを背負って歩き続ける。今も、これからも」
「ふむ、なるほどな」

キャスターはまたもやなにかを考えるしぐさをする。
そして一言。

「……いいだろう。お前の気持ちはわかった。この世界の特異点の修復のために力を貸してやる」
「あ、ありがとう、キャスター!」
「ただし、まだお前に真名を明かすことは出来ない。お前の事をよく理解してから真名を明かすことにする。それでもいいな?」
「うん、それでもいいよ」
「そうか……契約成立だな」

キャスターが握手を求めてきたので、俺もキャスターの手を握る。
キャスターを通じて魔力が流れるのを確認し、仮契約が完了した。

「これからよろしくね、キャスター」
「……ふん」

突然、キャスターは手を握ったまま俺を引っ張ると、頭を捕まれた。

「いいか、そう簡単に人を信用するな。初対面の相手は真っ先に疑え。でないと足元を掬われるぞ」
「は、はい、わかりました」
「……ふん」

なんだか不機嫌なキャスターは俺の頭から手を離すと、腕組をしながらなにかを考え始めた。
キャスターとのやり取りを終えたのを見ていたダ・ヴィンチちゃんは咳払いをすると、今後の方針を立てた。

『よしよし、これでこちらの戦力は増えたね。それじゃ、一先ずは空中庭園の探索を続行しよう。なるべく中心部に近づかないように注意しながら女王を探すんだよ。一通りの探索が終わったら、また指示を出す。それじゃあ皆、頑張ってね~』

ダ・ヴィンチちゃんはどや顔で敬礼すると、ホログラムが切れた。
俺たちは少しだけ休憩をとってから探索へ向かったのだった。

◆◇◆◇◆◇

第5部 辺境の学者

空中庭園の外堀からぐるっと回るように探索を開始した俺たちは、異常な所は見受けられないか、変に魔力係数が高いところは無いかを探して歩いていた。
途中、ワイバーンとラドンに出くわして戦闘になったが、サーヴァントが一騎増えただけでも戦闘が楽になった。
そして思う、キャスターとは案外名前の知れ渡ったサーヴァントなのではないのかと。
色々と観察して回っては自分なりの考察を口にし、俺たちのパッと出の疑問にすら何故で問いかけてくる。
きっと、自分が納得するまで考えてしまう性格の持ち主なのだろう。
そしてあの反重力の魔術。
恐らく生前にその術を編み出したか、もしくは発見したか。
……まぁ、重力って単語だけで誰かが想像つくが、本人は俺の事をまだ信用していないようだし、ここは彼に認めてもらえるように頑張るしかないだろう。

一行が探索を続けていると、ひとつの廃屋を発見した。
『虚栄の空中庭園(ハンギングガーデンズ・オブ・バビロン)』にはあちこちに遺跡の跡地のような物が多数存在するので、建物のひとつやふたつあって当たり前なのだが、不思議なことに、ここの空中庭園には一つの大きな建物以外見つけられなかったのだ。

『古い石造りの建物で二階建て。中には生体反応が感知できるけど、サーヴァントなのかどうか分からないね。上空のサーヴァントのせいというか、とにかく厄介だね』
『嘆いても仕方ないさ。一先ずはコンタクトするのが懸命だろう。仮に何かあってもミス・キリエライト達が守ってくれるさ』
「わ、わかりました」

俺は最大限の注意を払いながらボロボロの扉をノックする。

「す、すみませ~ん! 誰か居ませんか~!」
「……イナイヨー! ヒトナンテイナイヨー!」

明らかに誰かの声がした。
だけど、その人の声は侵入することを拒んでいた。
俺は一旦みんなに相談する。

「……どうしよう?」
「えっと、入ってほしくないなら、扉越しに情報提供してもらうしか無いのでしょうか?」
「いや、ここは正面突破に限るな。な~に、心配は要らねえよ! 何かあったら俺たちが何とかする! だからマスター、お前はドンと構えていろ!」

アキレウスが俺の肩を叩くと、ニカッと笑った。

「わかった。そうするか」

話がまとまった俺たちは再び扉をノックした。

「ヒトナンテイナイヨー! ワカッタラサッサトイナクナッテー!」
「人が居ないんだったら入っても問題ないですよね! それじゃあ、失礼します!」
「えっ! あっ、ちょっと!」

アキレウスが扉を蹴破ると、人影が建物の奥に逃げる姿が見えた。
俺はクーフーリンにアイコンタクトで合図すると、クーフーリンは直ぐに建物の奥に向かっていった。
暫くすると、猫のように襟首を掴まれながらボロ泣きしている女性とクーフーリンが戻ってきた。

「いたぜ、マスター。こいつがーーー」
「いや~~~! ごめんなさいごめんなさい! 居ないと嘘ついちゃってホントにスミマセンでした~~~! だから殺さないで下さい~~~! 何でもしますし、体も差し出します! だから命ばかりは~~~!」

こっちがドン引きするくらいのボロ泣きで命乞いをしている女性。
その人はいかにもギリシャ人って格好をしており、髪はボサボサ、牛乳瓶の蓋のような眼鏡をかけていて、いかにも何かの研究に没頭してそうな感じだった。
とりあえず話でもと思ったがこの状態じゃ話にならないので、マシュに頼んで宥めてもらうことにした。
数分後、ようやく落ち着きを取り戻した女性は俺たちの話を聞く態勢ができた。

「と、取り乱してしまい、申し訳ありませんでした! わ、私はしがない学者のメラニアと申します!」
「こんにちはメラニアさん。俺たちは……カルデアという機関の者で、藤丸立花と申します。それでこっちが助手のーーー」
「マシュ・キリエライトです」

メラニアさんと直接話し合ってみた感じ、サーヴァントの反応は感じ取れなかったらしく、マシュは耳打ちで一般人と認識したと告げる。
それを確認した俺はこれまでの経緯をかいつまんで説明した。

「ーーーと言う訳なんですよ」
「そうですか、いろんな世界に行って間違った歴史を正しているんですね。若そうな見た目からは想像もつかない冒険をしてるんですね~。私とは大違いだ」
「ありがとうございます。それで、メラニアさんはどうしてここに?」

俺がそう聞き出すと、メラニアさんはどや顔のような、自信満々に勝ち誇ったような顔をしたと思ったら、ちょっとだけ席を立って、パタパタと2階へ上がっていった。
暫くすると、後ろ手になにかを隠しながらやって来た。

「ふっふっふ~! 聞きたい? 私がここにいる理由? それだったら仕方ないね! 君らは間もなくこのメラニア大先生の歴史に残る研究を目の当たりにするからね! 刮目してみよ! これが私の研究だ!」

そう言って後ろ手に隠していた物を見せた。
黄金の林檎だった。

「なっ、これって……」
「そう、これが私の研究の題材として発見した黄金の林檎、その名も『パンドラ』なのだ!」
「パンドラ、ですか」