二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

テイルズオブジアビス 星の願いが宿る歌2

INDEX|4ページ/34ページ|

次のページ前のページ
 

 今しがた出てきた事務室で「握手しておけばよかった」と大騒ぎされている事など知る由もないルークは、大聖堂前に戻る道中でティアから封筒を渡された。アニスが差出人だというあれだ。
「アニスはザレッホ火山に出向いているみたい」
「なんでまたそんな所に」
 ザレッホ火山はアニスにとっても因縁のある場所だ。彼女が自ら好んで立ち入るとは思えない。それでも行かなければならなかった理由はここに書いてあると言うことだろう。いいから読んでみて、とティアに促されルークは封筒を開いた。後ろからガイも覗き込む。
『ティアへ
 もしかしたら必要なくなるかもだけど、一応書き置きしていくね☆私もすぐにそっちに合流するつもりだったけど、その前にヨハン総長から命令が入っちゃったの。(タイミングわる〜!)裏預言士の潜伏場所がある可能性が高いから調べろってことで、アニスちゃんはザレッホ火山の調査に行ってきま〜す☆命令書の写しも入れとくから詳しくはそっちを見てね♡』
(相変わらず目が滑る……)
 無駄に丸っこい筆跡は十代女子らしい、というよりも所構わず媚を売って歩くアニスの人柄そのものを表すようだ。しかしこんな連絡でもわざわざ薄桃色の便箋を選んで使うあたりにアニスのこだわりを感じ、変なところで感心した。
(……ん?)
 ティア宛の文面から少し行間を取った便箋の下方、数行だけ自分に宛てられたものを見つけてルークは顔に皺を寄せた。
『ルーク様♡
  頑張ってお仕事してるアニスちゃんはご褒美にレスト・ド・アリストリアのディナーが食べたいな♡時間があるときによろしくぅ♡』
 レスト・ド・アリストリアというのがよく分からないが、安請け合いしてはならない類の店だというのは察した。こういう所も変わってないなと思うと自然に笑みが零れた。
 便箋にくっついていた二枚目を見ると、命令書の写しだった。裏預言士の摘発、行方不明者の調査及び保護が指示されているようだ。何名か部下を連れて調査に出ているらしい。命令書の発行日は三日前だ。
「アニスさんはお出かけしてるですの?」
「そうみたい。困ったわね……」
 今落ち合う約束をしていたわけでもないが、今後自分達がどこへ行くことになるかわからない。またすれ違いになる可能性が高い事を考えると、アニスとはここで合流しておきたかった。
「どうする、アニスが戻るのを待つか?」
「そうだな。こっちも急いでるわけじゃねえし、取り敢えず調べ物でもして待ってみるか」
 ダアトを訪れた一番の目的は第六音素の意識集合体アスカについて調査することだ。婚儀の最中にナタリアを攫い、アッシュが消えるきっかけになった出来事にも絡む光り輝く大鳥の正体がそれではないか、ということで意識集合体を研究しているという人物に会いに来たのだ。
「……とはいえ、そっちも手がかりが多いわけじゃないからな」
 ベルケンドで入手した尋ね人の情報は、ディケ・ウェストンという名と「体の大きい騒がしい人」ということだけだ。しかも定住先がある訳ではなく、まだダアトにいるかどうかわからないと来ている。そんな状態で本当に見つかるのか、不安要素は多いがやってみなければ始まらない。一行は情報収集も兼ねて、今夜の宿泊先へ向かうことにした。