土方さんの誕生日
先に来ていた銀時が勘定を済ませて出て行く時、ようやく土方スペシャルが土方の前に出された。それは音を立て、瞬く間に消えていった。横に座っていた山崎は、店主に頼んでソーセージを出してもらっていた。見るからに食欲がなさそうだ。それでも何とか食べ終え、勘定を済せてパトカーに乗り込む。発進させてしばらくすると、先ほど追っていた人物が視界を横切った。
「おい山崎、止めろ!!」
雑踏で高いブレーキ音が響いた。すぐさまパトカーから降りた二人は目的の人物に向かって走り出した。
「桂ぁぁぁ!!神妙にお縄に付きやがれぇぇぇぇぇ!!!!」
土方に気づいた桂は足早に雑踏の中に消えていく。
「チッ。山崎!奴を追え!!」
「はい!ただいま!!」
土方が足を止め、タバコに火をつけた。そして辺りを見回すと、見たばかりの顔と二人の子供が居た。
「てめー、なんで俺の行く所に居やがんだ。」
言われた相手、つまり銀時は嫌そうに土方を睨み、頭をガシガシと掻いた。
「それはこっちのセリフだ、コノヤロー。なんだ?友達になりたいのか、友達になりたいのか!?」
「ぅるっせー!!ちげーわ、ボケぇ!!!!誰がてめーなんかと友達になるか!」
怒鳴った拍子に口からタバコを落としそうになる。そこで冷静を取り戻した土方が
「そういや、てめーら池田屋の時も桂と一緒だったよなぁ」
と、万事屋三人に話しかけた。三人の内の一人、新八から冷や汗が垂れる。
「屯所まで来てもらおーか。」
新八は銀時の胸倉に手を掛けて揺さぶった。
「おぃぃぃぃ!!あんたのせいでまた取調べだよ!!!!なんでいつも巻き込まれるのぉぉぉぉ!?」
「落ち着け、落ち着くんだ、新八君!!でないと銀さんからさっき食べた物が飛び出ちゃいそうだ。ウップ」
それでも揺さぶりを止めない新八を神楽が制した。
「ぱっつぁんよぉ、それぐらいにするアル。人生何が起こるか分からねーから面白いって言うネ。おとなしく付いていってさっさと出てくればいいアル。私は家で留守番しておいてやるから安心するヨロシ。」
と、自分は関係ないと言わんばかりのことを口にした神楽に土方が言い放った。
「おい、てめーもだ。」
「マジでか。」