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土方さんの誕生日

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「おぅ、トシ。遅かったな。準備は出来てるぞ!」
「準備だぁ?なんのことだ、近藤さん。」
疑問符を浮かべて振り返る土方に対し、近藤はガハハと豪快に笑った。
「トシぃ。お前今日が何の日か分からねーのか?」
「今日?何かあったか?」
土方はまったく分からないと言った様子だ。すると、呆れた声が横から聞こえた。
「近藤さん、土方さんはまったく分かっていない様ですゼ。このマヌケな土方さんに答えを教えてあげたらどうですかィ?」
「マヌケは余計だ!」
土方が沖田に文句を付けるが、誰も相手にしない。沖田に言われた近藤はあごひげを手でなぞり、頷いた。
「そうだな。トシ、今日はお前の誕生日だろ。」
「ああ、そうだったかも知れねーな。」
自分の誕生日と言われた土方は、さもどうでも良いといった様子だ。近藤は肩をすくませる。
「つれねーな、トシは。まぁ今日は昼から宴会だ。夜まで無礼講で楽しもうじゃねーか」
そう言って笑った近藤は、足元に転がっていた山崎に気付いた。
「お、ザキ。こんなところで寝てると風邪ひくぞ。」
「寝てるんじゃありません!立てなかったんです、副長に蹴られて・・・あ」
土方が山崎に乗せていた足をどかす。何かを思い出した山崎はすぐさまパトカーの後部座席を開けた。
「あ〜、外の空気だ。」
「なんでこんな目に合わなきゃならねーんだ、コノヤロー。」
「車はお日様カンカン、照り焼きネ〜。」
次々に車から出てくる万事屋一同。神楽は窓から入ってくる日の光のせいで少し弱っているようだ。ふらふらした足取りでいる。
「おいおい、うちの神楽ちゃんになんてマネしてくれてんだ。俺たちを拷問するために連れてきたんですか、コノヤロー!!」
銀時は土方に指を突きつけた。土方の眉間にしわがよる。
「よ〜し、分かった。拷問室でじっくり取り調べてやらぁ。」
「ダメだよ、トシぃ。今日はお前が主役なんだぞ!何で連れてきたのかは知らないけどさぁ、さっさとこいつらを離して!!なんかこいつらがいるとロクでもないことに巻き込まれる気がする・・・」
近藤が火花を散らしている銀時と土方の間に割って入った。その近藤の肩に手が乗せられる。
「え、なになに、こいつ主役で宴会でもすんの?じゃ、俺たちも混ぜてもらわねーとなぁ」
「銀さん、僕タッパー持ってますよ。これで明日のご飯は決まりですね。」
「オラオラ〜、さっさと部屋に通すヨロシ!!」
近藤が振り返る前にズカズカと屋内に入っていく三人。後を土方が追った。
「おい、待て!!なに勝手に中に入ってやがる!」
それを見る近藤、沖田、山崎の三人。
「新八君は良いとして、なんで他の奴らまで・・・」
「あ〜あ、土方さんが連れてくるから。」
「すいません。外で偶然桂とあの人たちに会ってしまったもので。」
反省する山崎に、近藤が首を傾げる。
「ん?偶然会ったってどういうこと?だって桂を追っていたんだろ?」
「局長、あんたまさか自分で言ったこと忘れてるんじゃないでしょうね?」
疑問に疑問で返した山崎。近藤は少し考えてから笑って答えた。
「忘れた!!」
その言葉に沖田が肩を落とす。
「自分で俺たちに宴会の準備が出来るまで内緒にしようって言ったじゃないですかィ。まさかそれを近藤さんが忘れるたァ・・・」
「朝は焦りましたよ。局長、自分から言おうとしていましたからね。桂を口実に副長を外に連れ出させてもらいましたけど。」
その言葉に近藤は納得した表情で頷いた。
「なるほど、だから偶然と言った訳か。ご苦労だったな、ザキ!」
「いえ、それほどでもありませんよ。」
照れながら返答する山崎。が、近藤はそれを聞く前に屋内へと入ってしまっていた。
「あれ、ひどくないですか?」
「しゃーねーだろィ、山崎。てめーは地味だからなァ。」
山崎に言葉を残した沖田は頭の後ろで手を組み、歩いて山崎から離れていく。
「え、地味だからって理由になるんですか?」
誰にも聞こえない、小さな声で呟いた。
<改ぺージ>
「まだ仕事がある奴は一杯だけになるが、無礼講で楽しんでくれ。それじゃトシの誕生日を祝って乾杯!」
近藤が乾杯の音頭を取る。それに合わせて隊士全員が「乾杯」と言って酒の入ったコップを持ち上げる。
「おめでとう、トシ。」
着席して隣に座っていた土方に祝いの言葉を告げる。
「ありがとよ、近藤さん。だが、気にくわねえ。」
視線を横に送る土方。
「おい、てめーら!そこの肉に手を出すんじゃねぇ!!!!こいつは俺のだ、文句のある奴は出て来い!!」
「え〜っと、唐揚げにサラダに・・・これも入れとこう。」
「ガツガツ・・・旨いアルな〜。」
本来ならば真選組に居るはずのない銀時、新八、神楽が机の上に載せてある食事を次々と消していく。それを見てため息をつく土方。
「こいつらが居たんじゃ楽しめるもんも楽しめねー。」
立ち上がって部屋から出て行く。だが、誰も止めるものは居なかった。銀時は土方に気付いたが、興味がなかったのか何も言わなかった。それに加え、近藤は服を脱いではしゃぎ、沖田は神楽とバトルを開始しており、山崎は沖田の足の下敷きにされていたので気付きもしなかったのだ。
作品名:土方さんの誕生日 作家名:ギリモン