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章と旌 (第三章)

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「でも、行くのは私じゃなけりゃ、、。兄上は、父上といつも一緒にいるもん。きっと、敵の誰かに顔が知られてた。子供の私だから出来たんだよ。」
「平旌、、お前、そこまで分かって行ったのか、、。」
「、、、ぇっ、、と、、、何となくだけど、私の方が都合が良いんだろうなぁ、って、。敵兵は、誰も疑わなかったよ。『大事にな』って、通してくれたよ。」
「、、、、怖くなかったのか?。」
「ぜんぜん。」
「全然?、見破られて、敵に捕えられるとは、思わなかったのか?。」
「うん、、兄上や父上を騙すより全然、楽、、、あっ、、。」
「、、、、ん?、。」
「ゴメンナサイ、、兄上を騙したりなんかしないよ。必ず見破られるもん。父上なんて、騙そうと思った事もない、、、だって怖いもん。父上に嘘ついたらどうなると思う??、、きっと机にある物ぜーんぶ投げつけられて、、、縛られて棒打ちされて、、雑巾みたいになっちゃうもん。」
「、、ぷっ、、、そうか?、怒りはするだろうが、そこまではしないだろう?。」
「きっとするよ、、、私には、、。兄上にはしないけど、、。」
「??、、お前には??、、。私だって時々、怒られてるぞ。」
「でも、兄上より、私を叱る時の方が、顔が、、、おっかない。」
「する事が、デカいからなぁ、、。お前のやる事は、父上や私の想像をはるかに超えていた。あれだけの事をして、いつもいつも、よく無傷で帰って来るもんだ、と思っていたよ。今回の事もな。」
「うーん、、、でも今回のって、そんなに大変なことだったのかな、、。死ぬなんて思わなかった。」
「ふふふ、、じゃあ、お前は、敵に捕まってしまうより、父上に叱られる方が怖かったのか?。」
「、、、、どっちかというと、、うん、、。」
「ふふふふふふ、、、。」
「だって、ただ逃げ回るだけでしょ?。梁の方にはなかなか近付けなかったけど、それでも迂回しながら、戻ろうとしてたんだよ。
潜伏している間はねぇ、左路軍の哥哥達に、野営の仕方を色々教えてもらったり、火の起こし方なんか、ぐっと早くなったよ。道具なんか、無かったら作るんだって。木の実でお酒を仕込む人もいたよ。み〜〜〜んないい人ばっかりで、左路軍に来たら、お酒の飲み方を、教えてくれるって。」
━━ああ、、平旌は、、、。━━
大人の世界を垣間見たのだ。
嬉しそうに話す弟を見て、平章は、自分の小さな頃を、思い出していた。

子供の頃の平章は、父親が王府に居れば、いつも父の傍にいた。別段、長林王に命じられた訳ではなく、何となく居たのだ。それは、部屋の隅であったり、又は父親の隣であったり。長林王も邪魔だと追い払うわけでもなく、かと言って、自分の持つ能力を、平章に教え込む様な事もせず。
ただ平章の、持って生まれた能力とも言おうか、側で大人の話を聞くだけで、驚くべき速さで、父親の軍務を吸収していった。
平章が今の平旌と同じ歳の頃だったろうか。長林王府に長林軍の将軍が顔を寄せ、結論が出ずに困り果てていた時があった。ふと、長林王が平章に、『如何したら良い?』と尋ねると、平章は状況を単純に振り分けて、見事な解決策を示してみせた。
その場にいた者は、目から鱗が落ちる思いで、膝を叩いて頷いていた。
『自分が役に立った』そう思った。
平章にとっては、初めて大人の世界に加わり、震えるほどの感動だったのだ。
──平旌は、あの時の私と、同じ体験をしたのだ。──
嬉しいという、平旌の気持ちはわかる。

「そうか、良かったな。」
国への思いや、人への思いが、平章とほとんど変わらぬのに、何故、結果がこうも違うのか。平旌から、小さな溜息が漏れた。
「、、、なんで、、、なんでさ、、、、」
ポツリと平旌が言葉を零す。
「ん?。」
「私が動くと、どうしてこんなに、大騒ぎになるのかな、、。悪い事してるんじゃないんだけどなぁ、、、。兄上みたいに、綺麗に解決できない、、、。」
「ふふふ、、、私だって、初めから色々出来た訳じゃないさ。思慮が足りなくて、怒られた事も何度もある。
物事は、人の心が入るから、複雑だ。人々の中には、どう考えても、読み取れない人種というのもいる。」
「えっ?、兄上でも分からない事があるの?。」
「そんなの沢山あるぞ。私など、まだ何も分からない生意気な若造だ。」
「えぇっ、、嘘だぁ。だって父上は信頼してるし、他の将軍達だって、一目おいてる。てきぱき皆に指示出して、兄上は凄くかっこいいんだよ。、、、、、、、、そういうの、謙遜って言うんだよね。、、そうか、、謙遜すればいいのか。」
「バカ、違うよ。勘違いするな。もっとお前は、父上や私と、一緒に行動すればいいんだ。そうすればどう動けばいいのかなんか、すぐ分かる。平旌は飲み込みが早いから、すぐに父上に認められて、頼りにされるさ。」
「えーー、、父上と、、。」
「そう嫌な顔をするなよ。お前も父上も、お互いに誤解している。損してるぞ。側で見ていて、歯痒くて仕方ない。」
「、、、父上と、、、、。」
「父上と、、嫌か?。」
「私と一緒だと、きっと父上、毎日機嫌が悪くなるよ。」
「ならば、私の側にいろ。私なら、大丈夫だろ?。」
「うん、兄上の側ならいいや。」
「王府の事も、長林軍の事も、お前も知っておかなけりゃ。」
「え〜、だって兄上が居るもん。私はしなくってもいいよね。」
「私に何かあったら、お前がしなけりゃ。だから見ておけよ。」
「兄上に何か無いように、私は兄上の親衛になるよ。江湖を渡って、強くなって、そして兄上を守るんだ。」
「、、、、、、、。」
平章は無言になり、平旌の顔を見る。
「、、え?、違うの?。ダメ?。」
「ダメに決まってるだろ。お前も軍を率いるんだ。」
「え〜〜、、そういうの好きじゃないっていうか、、、。」
「長林の男子だろ?、ならばやらねらば。」
「、、、、、、う、、。」
平旌は次第に目が潤み、少し泣きそうになっている。
本当に嫌なのだ。
確かに煩わしさあるが、何もしない事には、平旌の、何の可能性も分からないのだ。
「、、お前は自分が分かっていない。お前は、時代を変えられる力をもっている。嫌いだろうが何だろうが、その力を奮うべきだ。」
「、、、無理だよ、、、。」
平旌は首を振りながら答える。涙が零れて落ちる。
「お前は、父上にも私にも、無い力を持っているんだ。その力を奮ったなら、どれ程の命が救われるか。お前のような能力を持つものは、どこにも居ない。お前なら、国境の戦乱を、終息出来るかもしれない。」
「、、、私は、まだ子供だよ。兄上はどうしてそんな事が分かるの?。、、、そんなの無理だ。
、、私は大人にはなりたい。認めて貰いたい。でも、無理だよ、、。だって私は子供なんだ。その辺の子供より子供なんだ。、、、分かってるよ。だから認められたくて、、、。でも無理だよ、、嫌だよ、、。どうしてそんなこと言うの?。出来ないよ。」
俯いて、平旌は泣いている。いつもの威勢の良い平旌とは、まるで別人だ。
「、、、、平旌、、。」
急に言われて戸惑ったのか、めそめそと涙が止まる様子はない。
皇帝や王族には溺愛され、屈託の無さから、誰からも愛される弟が、兄に詰め寄られ、泣き出して止まらない。
頭を撫で、平旌を引き寄せる。
作品名:章と旌 (第三章) 作家名:古槍ノ標