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炬善(ごぜん)
炬善(ごぜん)
novelistID. 41661
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CoC:バートンライト奇譚 『猿夢』 下

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「いや、いやいやいや! 寝ちゃまずいんじゃないかね!?」

 思わず叫びながら、目を覚ました。

 まず目に入ったのは、窓の外の景色。
 夕焼けに染まった都会の、見覚えのある町並み。

 先ほどまでは、特有の横座席にすわっていたのに、いつの間にか、標準的なロングシートに座している。

 乗っているのは、あのアトラクション電車ではない。
 塵芥川と分かれた後の、あの電車だ。

 一拍子遅れたかのように、心臓の鼓動が慌しかった。
 文字通りの拍子抜けの状況に、バリツは言葉を失っていた。
 
 見やれば、反対の座席に、タンと斉藤が腰かけ、顔を見合わせていた。
 バリツは、二人と目があった。
 自分達を覗けば誰も、電車に乗ってはいない。

 皆が不思議がっていたその時、バリツは小さな声を聞いた。
 どこかで聞いたような声――初めて聞いたかのような気もする声。



 ご乗車ありがとうございました

 次は、助かるか分からないですよ?


☆トゥルーエンド