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miss you 5

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為す術も無く身を焼かれ、大切な人の名前を叫ぶ被害者にシンクロし、その恐怖を疑似体験した。
そして、宇宙で連邦軍…ブライトが率いるロンド・ベルと戦闘を繰り広げるモビルスーツ隊。真っ赤な船体のレウルーラ。その艦橋にはシャアの姿。
全てを悟ったアムロは、シャアに会うべくフラつく足を進める。
「なんて事を!約束したのに!」


タラップを降りてデッキへと降り立つシャアを、ネオ・ジオンの幹部や兵士たちが迎える。
「総帥!流石ですね。見事な作戦でした。これで連邦政府も我々の力を思い知った事でしょう!」
「ジークジオン!ジークジオン!」
熱気に溢れるデッキ内の中央で、シャアがそれに応えるように右手をあげる。
それを、レウルーラのモビルスーツデッキで、レズンやギュネイが複雑な表情で見つめる。
当然ながら、アムロと同じように被害者の思惟を感知してしまったギュネイは、頭を抱えて顔を顰める。
「……」
「なんて言うか…後味の悪い作戦だったね」
「通告はしていた筈だ!なのに連邦政府は市民を避難させなかったのか⁉︎」
ギュネイが拳を壁に叩きつける。
「お偉方は真っ先に逃げ出したらしいけどね」
「くそっ!それじゃ落とした意味がない!」
「だけど、ここで作戦を中止したらネオ・ジオンは連邦に舐められる」
「分かってる!けど!」
実際に5thルナの投下作戦に参加したパイロット達の心情は皆、ギュネイと同じ様なものだった。
市民は既に避難している筈だと己に言い聞かせ作戦を遂行した。しかし、結果は罪のない市民を犠牲にしただけだったのである。
「まぁ、これでようやく連邦は重い腰を上げるだろう」
しかし、そう言いながらも、レズンは何か違和感を感じていた。
『本当にこれだけか?総帥はまだ…もっと大きな事をしようとしているんじゃないか?』
考え込むレズンの視界に、フラフラとシャアに近付くアムロの姿が映った。
「アムロ?」
今回の作戦には参加していなかったアムロが、この場に姿を現した事に疑問を覚える。
様子を伺っていると、突然アムロがシャア掴み掛かる。
「アムロ⁉︎」


「シャア!貴様なんて事を!約束はどうした!」
胸ぐらを掴むアムロを、シャアが一瞬驚いた表情で見つめる。
そして、その腕を引き剥がすと不敵な笑みを浮かべる。
「約束?守っているだろう?今回落としたのは5thルナだ」
「そう言う問題じゃない!どれだけの人が犠牲になったと思ってるんだ!」
「連邦は一切避難勧告をしなかったからな。連邦の幹部は皆逃げ出して無事だったようだが、おそらく市民の殆ど…およそ10万人が犠牲になっただろう」
「なっ!貴様なら連邦がどんな判断を下すかなんて予測出来ただろうに⁉︎」
「流石に私もあそこまで連邦が腐っているとは思わなかった」
「嘘つけ!あんな…あんな地獄のような光景…」
身体を震わせ唇を噛みしめるアムロの両腕を掴み、その表情を見つめる。
「まさか、こんなに離れたスウィート・ウォーターで被害者の思惟を感知したのか?…流石だな…」
「何を言って…、貴様だってニュータイプだろう⁉︎あれを感知しなかったとは言わせない!」
「私は君ほど能力が高いわけでは無いからな」
「そんな事!」
その時、アムロは掴まれた腕から伝わるシャアの思惟に顔を上げる。
「…シャア…?貴方…」
シャアはアムロの言葉を遮るように、アムロの顎を掴んで上向かせる。
「それで?君は何がしたい、私を罵る為にここまで来たのか?それともあの約束は反故にしてブライトの元に行くか?」
「なっ!」
「まぁ、行けはしないか。君は既にネオ・ジオンの人間だ。受け入れられる訳がない」
「っ!」
「それよりジョルジョ中尉はどうした?彼には君を屋敷から一歩も出すなと命令していた筈だが?」
「申し訳ありません!」
そこに、息を切らしたジョルジョが現れる。
「ジョルジョ中尉、どういう事だ?」
「ジョルジョは関係ない!私が勝手に来たんだ」
アムロの言葉にシャアが溜め息を吐く。
「失態だぞ、ジョルジョ中尉」
「はい!申し訳ありません」
「シャア!」
シャアは掴んだアムロの腕を引くと、ジョルジョへと引き渡す。
「アムロ、場所を弁えろ」
周りを見れば、兵士達が騒つき、シャアとアムロの様子を窺っている。
「ジョルジョ中尉、アムロを連れて行け」
「はっ!」
「シャア!」
「アムロ。話は今夜、屋敷で聞こう。それまでに君も冷静さを取り戻しておけ」
そう言うと、マントを翻してシャアはアムロに背を向ける。
「シャア、待て!」
「アムロ、落ち着け今はダメだ!」
幹部達の視線に、ジョルジョが眉を顰めアムロを止める。
「離せ、ジョルジョ!」
「ダメだ、とにかくここから出るぞ」
ジョルジョはアムロを守るようにその場から離れる。
『アムロに対する不信感を煽るわけにはいかない。ただでさえ微妙な立場なのに…!』
通路まで移動すると、ようやくジョルジョはアムロの腕を離す。
「ジョルジョ!」
「アムロ!落ち着け」
興奮するアムロの肩をジョルジョが強く掴む。
「ジョルジョは知っていたのか⁉︎こんな…こんな事…!」
今にも泣き出しそうなアムロの顔に、ジョルジョは少し目を伏せながら「知っていた」と答える。
その答えにアムロが叫ぶ。
「どうして⁉︎…だいたい、突然休暇だなんて、おかしいと思ったんだ…おまけに屋敷から出るなって…!」
「この作戦に君は反対すると思ったからね。それに、その場に居れば君の精神が耐えられないだろうと判断した。まさかこんなに離れたスウィート・ウォーターに居て感知してしまうとは思わなかったが…」
昨日感じた思惟を思い出し、アムロがぶるりと身体を震わす。
「…あんな…酷い事…」
アムロは顔を両手で覆い、カタカタと震え出す。
「アムロ…」
そんなアムロをジョルジョが悲しげに見つめ、そっと抱き締める。

そこに、レズンとギュネイが姿を現わした。
「さっきは面白いものを見せても貰ったよ」
「レズン少尉…」
レズンの声にアムロが顔を上げる。
「女に掴み掛かられる総帥なんて滅多に見られないからね」
口ではふざけた物言いで笑いながらも、その瞳は笑っていない。
「あんたはこの作戦の事、知らなかったのかい?」
レズンの問いに、アムロは悔しさに唇を噛み締め小さく頷く。
「…だろうね。あんたもそこのギュネイと同じで結構なダメージを受けていそうだし」
蒼い顔をして立っているギュネイに、レズンが視線を向ける。
「ギュネイ准尉…あの場に居たのか…⁉︎」
強化人間と言えども、ニュータイプ同様に強烈な人の思惟は無意識に感知してしまう。
当然ながら、その現場にいれば相当なダメージを受けただろう。
「大丈夫か⁉︎」
ギュネイは自分を気遣うアムロに、少し視線を逸らしてボソリと答える。
「大丈夫だ。あんた程じゃない…」
遥かに辛そうなアムロに、ギュネイは少し虚勢を張りながらも答える。
「ギュネイ准尉…」
「それよりも、あんたはもう少し周りをちゃんと見ろ」
「おやおや、ギュネイが他人を気遣うなんて珍しいじゃないか」
「茶化すな!レズン」
作品名:miss you 5 作家名:koyuho