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その先へ・・・3

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目的の為には、相手の心を永遠に凍り付かせても平気なのだろうか……?
ユリウスは『アレクセイ・ミハイロフ』の面影を蘇らせた。
エフレムと同じ反逆者の彼。
二人は知り合いだったりしたのだろうか?


「ねえさまはね」
リュドミールは言葉をつづけた。
「本当にエフレムの事を愛してたんだ。いつでもエフレムと邸を出られるように、密かに荷づくりまでしていたそうだよ」
「……」
「ねえさまは愛のある結婚を選ぼうとしていた。それが自分の身分を捨てる事になったとしても、選ぼうとしていたんだ。愛に生きようとしていたんだよ」
「そうなんだ……」
「愛した人に裏切られていた。その事実がわかっても、ねえさまはいまだにエフレムを忘れられないでいる。……ねえさまは強い人だよ。強くて……悲しい人だ。本当にそう思う」
「リュドミール……」
頬を紅潮させ、うっすらと涙を浮かべているリュドミールにユリウスの心も揺れた。
恋人に裏切られたのに。
恋人を兄に殺されたのに。
ヴェーラのその強さはどこから来るんだろう。
「昔好きだった人を忘れられないって、どんな気持ちなんだろう?」
「え?」
「ヴェーラはエフレムの事を忘れられない。どんなつらい仕打ちを受けたって、愛した事を…愛された事を忘れられないでいる。……ぼくは?ぼくは忘れてしまった。愛した人がいたかどうかさえも覚えてない」
「ユリウス、それは……」
「今のぼくには、ヴェーラの気持ちが分からないよ」
「……」
「愛した人はいたのかな?忘れられない程の恋を……した事はあるのかな?」
「……」
言葉を失ったリュドミールの揺れる瞳が、まっすぐにユリウスを見つめていた。


作品名:その先へ・・・3 作家名:chibita