その先へ・・・3
(2)
珍しくメイドが起こしに来る前にリュドミールは目を覚まし、ベッドの中で大きく体を伸ばした。
まだはっきりとは目覚めていない瞼をこすりながら窓辺へと歩いていき、厚いカーテンを開けると……
一瞬にして眩しい光で部屋中が満たされ、思わず目を細めた。
「うわぁぁ!きれい!」
夜の間に降り積もった雪は朝日に反射してキラキラと光り、新しい一日の始まりを祝福している様だった。
冬が始まってからずっと鈍色の雲に包まれた空であったが、今朝は珍しく朝日がまぶしく綺麗な青空を見せている。
久しぶりに差し込む美しい朝の光は、見慣れた筈の雪景色をすっかりと魅力的な風景に変えてしまっていた。
外に出て雪の上で転げまわりたい!
まだ誰も足跡の付けていない雪の上を一番に踏みしめたい!
リュドミールは心躍らせた。
雪に閉じ込められる辛さをそんなに経験していない少年にとって、雪はまだまだ楽しい遊び道具の一つであるようだ。
そうだ!あの古い物置小屋には「そり」がしまってあるはずだ!
「あの人」とそりで一緒に遊べるかな?
うん、そうだ!エフレムに出してもらおうっと!
自分の楽しい思いつきにワクワクした。
「おねえさまにお願いしなくちゃ!」
リュドミールは急いで着替えて姉の部屋へと向かった。