二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
自分らしく
自分らしく
novelistID. 65932
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

彼方から 第三部 第三話

INDEX|5ページ/12ページ|

次のページ前のページ
 

 ゼーナもアゴルの申し出に彼の手を取るが……
「ダメですか?」
「うん、完璧に破裂だわ――こりゃ」
 大きく吐いた息と共に、肩を落としていた。

 ――それにしても……

 占いが出来なくなってしまったゼーナを囲むガーヤたちを見ながら、イザークはふと、思う。

 ――何故、ノリコを占うのにおれまで……
 
 と。
 ノリコもそう思ったのだろうか……
 少し難しい顔をしてゼーナたちを見やるイザークを、何か言いたげにしながら見詰めていた。

          ***

「許容範囲……」
 皆から少し離れたところで、そう呟きながら互いに顔を見合わせているロンタルナとコーリキ。
 ガーヤは険しい表情を見せながら、
「ど……どういうことだい、これは。それ程、相手がすごい奴らだということなのか……」
 姉の占い能力の高さを知っているが故に――ノリコを襲った連中の正体を占ってくれたとばかり思っているが故に、ガーヤは相手が、ゼーナの能力の許容範囲を越えた『力』を持つ者だと、そう思った。
 しかし……
「あの〜〜〜」
 意図せず、空気が張り詰めていきそうになる中、ロンタルナが至極申し訳なさそうに、ガーヤに声を掛けてくる。
「もしかしてそれって、ゼーナが出来ないって言ってるのにさ、おれ達が無理に恋占いを頼んだせいかな?」
「ばっ、ばかっ! 兄さんっ!!」
 バカ正直に、兄ロンタルナがそんなことを言い出したものだから、コーリキは慌てて兄の言葉を制しようとしたが、時既に遅し――後の祭りである。
 怪訝そうに振り向くガーヤの前で、
「内緒でやろーとしてたのに、本人達を前にしてバラしてどうすんだよっ!!」
「おっ、おまえこそ! おれは別にイザークとノリコの恋占いなんて一言も……!」
「わーっ!! 今、言ったじゃねーかっ!」
 二人で勝手に焦り、騒ぎ、大声で墓穴を掘ってしまっていた。

 ――え?

 『恋占い』――
 その単語に反応し、二人を見やるノリコ。
「恋占い……」
 ロンタルナたちの言葉の意味が直ぐには解せなかったのか、ガーヤはまだ怪訝そうな表情を浮かべ、その単語を口にしている。
「恋占いーっ!?」
 一番反応したのは、バラゴだった。
 互いに意識し合っているのに――恐らく、イザークが一歩踏み出せば、この二人の仲は進展するのだろうが、そのイザーク本人が躊躇している今のこの状況で、『恋占い』などという直接的なことは悪い意味での刺激になりかねない。
 自然に、互いの気持ちを確かめ合うことが一番だと思うからこそ、バラゴはからかうのをやめたのだ。
 なのにこれでは……
 それ故に、バラゴは思わず大声で反応してしまっていた。

 ――恋……占い

 その新鮮な響きに、イザークの心が少し、高鳴る。
 自分とノリコ……普通の男女として出会っていたのであれば、恋の行方を占ってもらう――そんなことを考えることもあったかもしれない……と。

「あーっ!! それで姉さん、関係ないイザークの手まで取ったの!?」
 やっと、兄弟二人の話しの意味に気付いたのか、ガーヤは大声でそう言いながらゼーナを振り返った。
「いや、わたしは…………」
 ゼーナは、半ば呆れたような表情で自分を見る妹に弁明を試みようとするが、
「ごっ、ご免なさい、あたし達がっ!!」
「ゼーナ様が恋占い苦手だって知っていながら、止めなかったからだわ!」
「つい面白がってしまって……」
「まさかここまで、ご負担になるなんて思わなかったんですもの」
 アニタとロッテニーナが、自分たちの責を感じて謝り始めてしまった為、彼女の否定の言葉は届かず仕舞い……
「姉さん!! 何、呑気なことやってんのっ!! ただでさえゴタゴタして神経疲れているのに! そんな苦手分野に手を出してっ!」
「あの……」
 ガーヤはすっかり、この四人の言葉を信じ、姉が苦手分野なのにも拘わらず、イザークとノリコの恋占いをして破裂してしまったと……そう、思ってしまっていた。
 ゼーナはゼーナで、『恋占い』をしたのではないと否定しようとするのだが……
「すいません、おれ達が悪いんです」
「こんな事になるとは考えなくて……」
 しきりに謝ってくるロンタルナたちの声に、ゼーナの声はまたしても、掻き消されてしまう。
「なんで、そんなこと頼んだんだよ!」
 ノリコが狙われ、ゼーナたちもややこしいことに巻き込まれている今、この時に、そんなことを頼んだ二人に、バーナダムはつい声を荒げ、問い質してしまう。
 ジーナには荷が勝ち過ぎていたからこそ、より経験と実績のあるゼーナに、占ってもらおうとしていたのに……
 事が、ノリコに関する事だけに、どうしてもイラ立ちを隠せない。
 だが二人は、至極、済まなそうな表情を見せてはいるものの、
「だってさ」
「おまえ、ノリコとイザークの仲、気にしてたからさ」
 と、『気を利かせたつもり』のようなセリフを吐いてくる。
 二人にとって、バーナダムは同じ警備隊員であると同時に、良き友人でもあるのだ。
 その友人の恋の為に、何かしてやりたいというその気持ちは、とても有難いものなのだろうが……
「ばっ――!」
 バーナダムは、顔を真っ赤にして、言葉を詰まらせながらも、
「ばかーーーーっ!! おまえら、余計な世話焼きやがって!!」
 二人の有難迷惑な友情に対して、怒鳴りつけていた。
 勿論、二人の関係を知りたくないかと言えばそれは嘘になるが、だが、人の手を借りてまで知りたいとは思わない。
 ましてや、こんな大勢の前で……本人たちの眼の前で――
 『恋占い』に頼ってまで、知りたいとは……
 しかもそのせいで、ゼーナの占い能力が一時的とはいえ、失われてしまったのだ。
 自分の責のように感じて仕方がない。
 その上、期せずして、知られてしまった恋心。
 バーナダムはただただ、余計なお世話をしてくれた二人に、怒鳴り続けていた。

          ***

 ――あいつが、おれとノリコの仲を……
 
 自分とノリコ……二人の間に無理矢理割り込もうとしている――そんな気がした。
 ノリコは自分のものではないし、誰のものでもない……誰が誰を好きになろうと、それは、その人の自由だ……そんなことは分かっている、分かっていても、『誰か』が『ノリコ』のことを想う――しかも、特別な感情で……
 それが、嫌だった。
 驕った考えだ。
 バーナダムの想いを否定する権利など、自分には無いというのに……
 それでもやはり――嫌なものは嫌なのだ。

 イザークの眉根が寄せられていく。
 嫌悪の表情が、浮かんでいる。
 皆、ゼーナやロンタルナたちを囲み、騒いでいる為、彼のその表情に気付いた者はいなかったが、もしも、誰か、彼を見たならばきっと思っただろう……それは『嫉妬』だと。

          ***
 
 ――えーと
 ――恋占いをしたわけじゃないんだけどな
 ――あ……でも
 ――二人の関係を知ろうとしたから、恋占いのなるのかね……
 ――う……う〜ん
 ――なんだか、わけ分かんなくなってきたぞ

 ワイワイと騒いでいる皆を、蚊帳の外の状態で見ているゼーナ。