はじまりのあの日~一夏の恋の物語1~
三泊四日、旅行へ行こう。湖畔のコテージ、予約できそうだから。そんな楽しい提案をするのは、いつもメイコ女王陛下。メンバー全員が愛してやまない、メンバー全員を愛して止まない。始まりの歌姫にして、最高権力者の女王陛下様。なら、着いたらすぐに騒げるように、と。ある程度の惣菜は作ろうじゃない。三時起きして、今現在。隣家の台所へとやってくる。タワーマンションのこの家と、我が家、シェアハウス。三家共々、合い鍵は使い放題。メンバーの中に、悪党なんぞいないじゃない。好きなもの、作ってあげるから、リクエストを書いとけと。言っておいたらこのありさま。まぁ、作るのも、無茶振りも。このメンバーのためならば、むしろ歓迎するじゃない。女王陛下で、ふと思う
「ポテサラって、つまみにもなるじゃない」
「言われてみれば確かに」
じゃがいもの皮を剥きながら思う
「カイト、やっぱメイコ一筋だな。ポテサラ、メイコも含んでのリクじゃな~い」
聴いてみたら
「はずかしながら肯定するよ」
「のろけたな」
「うん」
カイトとメイコ。この二人の縁(えにし)語ることなど、不可能なほど深いものだ。他者が入り込むことなど、失礼の極みだろう
「ポテサラ、食材買ってないけど作れるかな」
「芋と、ハムと、マヨネーズ。玉子にフルーツ缶、スライスきゅうり。大人用には、玉ねぎ入れてってとこか。イコール」
思い至る顔、ダチ
「ああ、常備菜と冷蔵庫のレギュラーメンバー」
「何も心配することないじゃない。さていくぞ」
調理開始
作品名:はじまりのあの日~一夏の恋の物語1~ 作家名:代打の代打