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miss you 8

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ラー・カイラムの艦橋では、レウルーラとアクシズの動向に緊張が走る。
「始まったか…」
ブライトは眉を顰め、誰にも聞こえない様に小さく呟く。
「よし、連邦軍本部に報告しろ!本艦及びロンド・ベル隊各艦はこのままレウルーラを追尾する!総員第ニ次戦闘配備に付け!」
ロンデニオン宙域で待機していたラー・カイラム率いるロンド・ベルの艦隊はレウルーラに進路を向けて動き出した。


 戦闘配備サイレンが艦内に響き渡り、医務室でジョルジョの側に付いていたアムロが顔を上げる。
「何だ?戦闘配備?どう言うことだ」
アムロは立ち上がると、医務官に艦橋へと通信を繋ぐように頼む。
「ブライト!一体何が起こった⁉︎」
アムロの問いに、ブライトがネオ・ジオン軍の動向を伝えると、アムロは艦橋へと走り出した。
 アムロが艦橋に上がると、艦橋のモニターにシャアの姿が映し出されていた。
それはホログラムの映像で、連邦の停戦条約違反を告げると共に、アクシズの投下作戦の決行を告げていた。
「シャア⁉︎何を馬鹿な!」
そして、ネオ・ジオンのモビルスーツ隊が発進し陣を構える。
「そんな!なんて事だ…」
愕然とするアムロに、ブライトが声を掛ける。
「なぁアムロ、何かおかしくないか?」
「え?」
ネオ・ジオン軍の陣営配置と戦闘の様子を映し出したモニターをブライトが指差す。
それを見つめ、アムロが目を見開く。
「…違う…シャアじゃない!この戦闘の指揮をしているのはシャアじゃない!」
アムロの言葉に艦橋が騒めき、ブライトはコクリと頷く。
「俺もそう思う、シャアにしては何というか隙が多過ぎるし動きが鈍い」
「どう言う事ですか?艦長」
副官のメランが問うと、ブライトが大きな溜め息を吐く。
「ネオ・ジオンも一枚岩では無いと言う事だ」
「は?まさか…ネオ・ジオン内でクーデターが?」
「その可能性はある。かつてハマーン・カーンが起こしたネオ・ジオン紛争でも、結局はグレミー・トトの率いるザビ家のギレン派によってネオ・ジオンは二つに割れた」
ブライトは腕を組み、かつての紛争を思い出す。
「それを考えれば、あの、ハマーン・カーンですらも掌握しきれなかった組織を、シャアは今ままで上手く纏めてきていたんだろうが…何かあったか…」
「そう言えばさっきの映像、あれも以前の演説の内容を合成していたと思う」
アムロの言葉に、ブライトが顎に手を添え頷く。
「なるほどな」
「…私の所為だ…」
「アムロ?」
「私の存在が…ザビ家派の人間の不興を買ったんだ…」
アムロが拳を握り締めて呟く。
「私を襲ったのはネオ・ジオンの人間だ…。思い出した…あの時聞こえた声…あれは、シャアの政治面での側近、ホルスト・ハーネスだ!」
「何だと⁉︎」
「多分、間違いない…」
あの男は自分の存在を誰よりも疎んじていた。
それはそうだろう。
私はザビ家の生き残りであるミネバ・ザビの父親、ドズル・ザビを殺したのだから。
引き金はシャアの言葉か?
シャアの子を身籠もったと言う事実がホルストの箍を外したのか?
「シャアの言葉…」
「どうした?アムロ」
「…いや…」
何故シャアはあんな不用意な事をあの場で言った?まるでホルストや連邦を煽る様な…。
「まさか、シャアの奴…」
口元に手を当て、嫌な予感に顔を顰める。
「アムロ?」
「いや、何でもない。それよりもアクシズの降下を止めなければ!ブライト、私が乗れるモビルスーツはあるか?」
「お前、その怪我で出撃する気か⁉︎」
「かすり傷だ!それに利き腕じゃない!問題ない」
「馬鹿野郎!二発も銃弾受けて擦り傷な訳ないだろう!」
「だけど!私の責任だ!それにアクシズの内部構造は頭に入ってる!最悪、止められなければ内側から爆破して半分に割る」
「内側からか…、それにしたってモビルスーツは…」
「艦長!あるじゃないですか」
そこに、メカニックのチェーンが現れる。
チェーンはアムロの元に歩みより、ニッコリと微笑む。
「お久しぶりです。アムロ大尉」
「チェーン…」
チェーン・アギ。モビルスーツ開発に携わる連邦の技術者だ。彼女とは、シャアが事を起こした時の為にと設計していたνガンダムの開発を一緒に進めていた。
結局は建造に入る前に自分がネオ・ジオンに入ってしまった為、開発自体は止まってしまったが…。
「モビルスーツがあるって…」
「はい、アムロ大尉と開発を進めていたνガンダム。ブライト艦長が上を説得してくれて、三ヶ月前にロールアウトし、現在はこのラー・カイラムに配備されています」
「え⁉︎」
アムロは驚いてブライトを見上げる。
ブライトはまずい事を知られたと言うような表情を浮かべ、視線を逸らす。
「ブライト!」
「だが、まだ調整が出来ていないんだろう?」
溜め息まじりにブライトが確認する。
「確かに、サイコミュの調整は以前に採取した大尉の脳波データでしか行っていないので完全ではありません。しかし機体の調整は問題ありません」
はっきりと言い放つチェーンにブライトは更に大きな溜め息を漏らす。
「しかし、アムロの体調を考えたら出撃の許可など出来ん」
「あ…」
左肩に包帯を巻き、腕を固定した状態のアムロの姿にチェーンが口を噤む。
「だから問題ないと言っている!」
「そんな訳ないだろう、それに怪我だけの問題じゃない!」
アムロの腹部に視線を向け、ブライトが叫ぶ。
「それは…でも…」
「先ずはネオ・ジオンを止めるぞ!シャアが指揮をとっていないなら勝機はある!それと平行してアクシズの内部爆破の準備も進める、アムロ、先ずはこちらの指示をしてくれ」
「…分かった」
尤もなブライトの言葉に、アムロは納得がいかないまでも素直に従う。
しかし、艦橋を出て行こうとするチェーンを呼び止め、小さく耳打ちをする。
「チェーン、念の為νガンダムに火を入れておいてくれ」
「アムロ大尉?」
「念の為だよ…」
ニッコリと微笑むアムロに小さく頷くと、チェーンは艦橋を後にした。

◇◇◇

 レウルーラでは、シャアが兵士に銃を向けられた状態で黙って戦況を映すモニターを見つめていた。
艦橋のオペレーター達は、いつもとは違う戦況の流れに戸惑いを隠せない。
艦長であるライルも、シャアにチラリと視線を向けはするものの、ホルストの手前指示を仰げずにいた。
 一方ホルストも、元々計画されていた作戦を遂行していくが、ロンド・ベルの攻撃を受け、思うように作戦が進まない状況に苛立ち始める。
とは言え、連邦本部からの応援のないまま攻防を続けるロンド・ベルにも焦りが見え始めていた。

「地球からの援軍はまだか⁉︎」
ブライトの苛立った声が艦橋に響く。
「地球からの援軍、まだ確認出来ません!」
「クソっ!お偉方はこの状況が分かっていないのか⁉︎このままじゃ5thルナの二の舞だ」
「艦長!核ミサイル準備完了!」
「よし!撃て!」
カムラン・ブルームから横流しで得た核ミサイルをアクシズに向けて発射する。
これでアクシズが砕ければ地球への投下は防げる。
ブライトを始め艦橋のクルー達が祈る様な思いで、モニターに映る核ミサイルの動きを見守る。
と、それを横で見つめていたアムロがボソリと呟く。
「ダメだ…落とされる…」
「何?アムロ?」
作品名:miss you 8 作家名:koyuho